台湾の製造業者は、日本企業が製造委託先を探すときの候補の一つです。ここでは、委託先探しから量産までの流れを紹介します。
1. 依頼内容をまとめる
- 仕様書(図面、素材、品質基準)
- 希望数量とMOQ(最小発注量)
- 目標単価、納期、認証の要否
- 秘密保持契約(NDA)を結ぶタイミング
2. 候補を探す
- 業界の展示会(台北の国際見本市など)
- 台湾貿易センター(TAITRA)のB2Bサイト
- ジェトロのビジネスマッチング
- 業界団体、同業からの紹介
3. 候補を確認する
- 登記情報 → 台湾企業の調べ方
- 工場見学(設備、品質管理体制、取得認証)
- 他の日本企業との取引実績
4. 見積もりを比較する
| 項目 | A社 | B社 | C社 |
|---|---|---|---|
| 単価(数量別) | |||
| 金型・初期費用 | |||
| MOQ | |||
| 納期 | |||
| 支払条件 | |||
| 貿易条件(FOB等) |
5. 試作と検品
- 試作品を基準書に照らして評価
- 量産時の検品方法(抜き取り、第三者検品)を決める
6. 量産契約
品質不良時の対応、知的財産(金型・図面の所有権)、支払条件、納期遅延を契約で明確にしましょう。
契約の法的な性質:民法の「承攬」
OEMの製造委託は、契約の内容によって、台湾の民法上「承攬」(請負に近い契約)や「売買」として扱われる可能性があります。どちらにあたるかは契約の内容で判断されるため、専門家に確認してください。ここでは、承攬にあたる場合の主な規定を紹介します。
承攬とは(民法第490条)
承攬は、一方(承攬人=メーカー)が相手(定作人=委託する側)のために一定の仕事を完成させ、相手が完成後に報酬を払う契約です。メーカーが材料を用意する場合、材料の価格は報酬の一部と推定されます。
品質の責任(民法第492条〜第494条)
- メーカーは、約束した品質を備え、価値や通常の使い方を損なう欠陥(瑕疵)がないように仕事を完成させる必要があります(第492条)。
- 欠陥がある場合、委託する側は相当の期限を決めて修補を求められます。期限内に修補されなければ、自分で修補して、その必要な費用を請求できます(第493条)。
- 修補されない場合などは、契約の解除や報酬の減額を求められます。ただし、欠陥が重要でない場合は解除できません(第494条)。
欠陥を主張できる期間(民法第498条)
上の権利は、仕事の引き渡しから1年を過ぎて欠陥が見つかった場合には主張できません。量産品の受け入れ検査をいつ、どのように行うかを契約で決めておくことが大切です。
納期の遅れ(民法第502条)
メーカーの責任で納期に遅れた場合、委託する側は報酬の減額や、遅れによる損害の賠償を求められます。特定の期限までの完成が契約の重要な要素である場合は、契約の解除もできます。
民法の規定は、契約で別の取り決めをすることもできる場合があります。品質基準、検査の方法と期間、遅延の扱いは、契約書にはっきり書いておきましょう → 契約書
図面やノウハウを守る:営業秘密法
仕様書や図面、製法をメーカーに渡す場合は、台湾の営業秘密法も関係します。
- 営業秘密とは、方法、技術、製造工程、配合、プログラム、設計など、生産や販売に使える情報で、次の3つを満たすものです(第2条)。
- その分野の人に一般に知られていない
- 秘密であることで経済的な価値がある
- 持ち主が合理的な秘密保持の措置をとっている
- 不正な方法で取得したり、契約で得た秘密を不正に使ったり漏らしたりすることは、営業秘密の侵害になります(第10条)。
3つ目の要件があるため、NDAを結ぶ、資料に「機密」と表示する、渡す範囲を必要最小限にするなどの措置をとっておくことが大切です。
量産契約で決めておきたい項目
上の法律の規定をふまえて、量産契約では次の項目を確認しましょう。
| 項目 | 決めておくこと | 関係する規定 |
|---|---|---|
| 品質基準 | 仕様書、許容範囲、使う材料 | 民法第492条 |
| 受け入れ検査 | 検査の方法、時期、不合格のときの扱い | 民法第493条・第498条 |
| 修補・交換 | 期限、費用の負担、送料 | 民法第493条・第494条 |
| 納期 | 納期、遅れたときの減額や賠償 | 民法第502条 |
| 秘密保持 | 対象の情報、使ってよい目的、契約終了後の返却 | 営業秘密法第2条・第10条 |
| 知的財産 | 金型・図面・改良技術の権利が誰のものか | 契約で定める |
| 準拠法と紛争解決 | どの国の法律で、どこで解決するか | 契約で定める → 紛争解決 |
金型の費用を委託する側が払った場合でも、金型の所有権が自動的に委託する側のものになるかどうかは、この記事では未確認です。契約で明記しておきましょう。
輸入するときの確認
台湾で作った製品を日本に輸入する場合は、日本側の規制や関税も確認が必要です。台湾国内で販売する場合は、製品によっては台湾の検査制度の対象になることがあります → BSMI(商品検査)
物流や通関の流れは物流・通関をご覧ください。
よくある質問
Q. 口約束でも契約は成立しますか? A. 台湾の民法でも、契約は必ずしも書面でなくても成立する場合がありますが、後で争いになったときに内容を証明しにくくなります。重要な条件は書面にしておきましょう。
Q. 欠陥が見つかったら、いつまでに伝えればいいですか? A. 承攬にあたる場合、引き渡しから1年を過ぎて見つかった欠陥については、修補などを主張できません(民法第498条)。契約で別の期間を決めている場合は、その内容も確認しましょう。
Q. メーカーの候補はどこで探せますか? A. 台湾貿易センター(TAITRA)が運営する Taiwantrade や、展示会などがあります → 展示会
チェックリスト
- [ ] 仕様書と品質基準を書面にした
- [ ] NDAを結んでから図面を渡す
- [ ] 登記情報で候補企業を確認した
- [ ] 見積もりを同じ条件で比べた
- [ ] 受け入れ検査の方法と期間を契約に書いた
- [ ] 金型・図面の権利を契約に書いた
関連ガイド
参考資料
- Taiwantrade(台湾貿易センター)https://www.taiwantrade.com/ (閲覧日 2026-10-23)
- ジェトロ 台湾 https://www.jetro.go.jp/world/asia/tw/ (確認先)
- 全國法規資料庫「民法」第490、492、493、494、498、502條 https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawAll.aspx?pcode=B0000001 (閲覧日 2026-10-23)
- 全國法規資料庫「營業秘密法」第2、10條 https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawAll.aspx?pcode=J0080028 (閲覧日 2026-10-23)
內部編輯附錄
不寫自家人脈案例(需揭露利益關係,pending)。已依民法承攬§490,492-494,498,502、營業秘密法§2,10擴寫;契約定性(承攬或買賣)與金型所有權未確認。 - 2026-10-23 擴寫:新增段落依「参考資料」所列官方頁內容撰寫,未加入無出處之數字。 - 2026-10-23 擴寫:新增段落依「参考資料」所列官方頁內容撰寫,未加入無出處之數字。