まずやること

  • 契約書、メール、発注書、請求書などの記録を整理
  • 相手に書面で状況を伝える(中国語訳を添える)

解決方法

方法 特徴
交渉 早く、費用が少ない
調停 第三者が間に入る
仲裁 契約で合意が必要。非公開
裁判 強制力。時間と費用

事前の備え

  • 契約書で紛争解決の方法と場所を決める → 契約書
  • 前払い・少額からの取引開始
  • 取引先の確認 → 企業検索

仲裁を選ぶ場合のポイント(台湾の仲裁法)

台湾の「仲裁法」第1条では、現在または将来の争いについて、当事人が仲裁協議を結び、仲裁人1人または奇数の複数人で構成する仲裁廷に仲裁させることができると定めています。対象は、法律上和解できる争いに限られます。仲裁協議は書面でしなければなりません。ただし、当事人間の文書、手紙、電報などのやり取りから仲裁の合意があったと認められれば、仲裁協議が成立したものとみなされます。契約書の紛争解決条項に仲裁を入れる場合は、仲裁機関、仲裁地、言語、仲裁人の人数をあわせて決めておくと、争いになったときに迷いが少なくなります。

手続きの期間と効力

仲裁法第21条では、当事人の間で別の約束がない場合、仲裁廷は仲裁人に選ばれた通知を受けた日から10日以内に仲裁の場所と審問の日を決めます。判断書は6か月以内に作成し、必要なときは3か月延長できます。期間内に判断書が作成されなければ、当事人は訴訟を起こすことができます。

第37条では、仲裁人の判断は当事人の間で、裁判所の確定判決と同じ効力を持つと定めています。ただし、強制執行するには、原則として裁判所に執行裁定を申し立てる必要があります。金銭の支払いなど一定の内容で、当事人双方が「裁判所の裁定なしで強制執行できる」と書面で合意している場合は、その手続きを省けるとされています。

日本で出た仲裁判断を台湾で使う場合

仲裁法第47条では、中華民国の領域外で作成された仲裁判断などを「外国仲裁判断」としています。外国仲裁判断は、裁判所に承認の裁定を申し立て、承認されると確定判決と同じ効力を持ち、執行名義になります。第49条は、承認を拒否される場合として、次の2つを挙げています。

  • 承認・執行が台湾の公序良俗に反する場合
  • 台湾の法律では仲裁で解決できない争いの場合

また、判断地の国が台湾の仲裁判断を承認しない場合には、裁判所が申立てを却下できるとしています。第50条では、仲裁協議が無効な場合や、仲裁人の選定・手続きについて適切な通知を受けなかった場合などに、相手方が通知を受けてから20日以内に却下を求められると定めています。

裁判を選ぶ場合のポイント(台湾の民事訴訟法)

外国判決の承認

日本の裁判所で勝訴しても、その判決がそのまま台湾で効力を持つとは限りません。台湾の民事訴訟法第402条では、外国裁判所の確定判決について、次のいずれかに当たる場合は効力を認めないと定めています。

  1. 中華民国の法律では、その外国裁判所に管轄権がない場合
  2. 敗訴した被告が応訴していない場合。ただし、訴訟開始の通知が適法に送達されていた場合などは除く
  3. 判決の内容や訴訟手続きが、中華民国の公序良俗に反する場合
  4. 相互の承認がない場合

相手の財産が台湾にある場合、日本の判決を台湾で執行できるかどうかは個別の判断になります。契約の段階で、台湾の裁判所を管轄にするか、仲裁を選ぶかを専門家と検討してください。

少額・簡易の手続きと調停

民事訴訟法第436条の8では、金銭などの支払いを求める訴訟で、請求額が新台湾ドル10万元以下のものに少額訴訟手続きを適用すると定めています。第427条では、財産権に関する訴訟で、請求額が新台湾ドル50万元以下のものに簡易訴訟手続きを適用すると定めています。

また第403条では、雇用主と従業員の間の雇用契約をめぐる争い、組合員の間の争いなど一部の事件は、訴訟を起こす前に裁判所の調停を経なければならないとしています。どの手続きに当たるかは、事件の内容によって変わります。

日本企業が実務で気をつけたいこと

  • 契約書の準拠法と紛争解決の方法(裁判所・仲裁機関・場所・言語)をはっきり書く
  • 中国語と日本語の契約書がある場合、どちらが優先するかを決めておく
  • 請求の根拠になる記録(契約、発注、納品、支払い、やり取り)は、日付がわかる形で保管する
  • 台湾の弁護士に依頼する場合は、委任の範囲と費用の決め方を事前に確認する。費用の目安は本稿では示しません
  • 時効や期限がかかわるので、問題がわかったら早めに専門家に相談する

調停を選ぶ場合のポイント

台湾の調停には、主に裁判所で行う調停と、市区町村にあたる郷・鎮・市の公所に置かれた調解委員会で行う調停があります。

郷鎮市の調解委員会

「鄉鎮市調解條例」第1条では、郷・鎮・市の公所に調解委員会を置き、民事事件と、告訴がなければ起訴できない刑事事件(告訴乃論)の調停を扱うと定めています。第10条によると、申立ては当事人が書面または口頭で行い、調停の理由と争いの状況を示します。書面で申し立てる場合は、相手方の人数分の写しを出します。ただし、第一審の裁判所で弁論が終わった事件は申し立てられません。

第27条では、調停が成立して裁判所の核定を受けると、当事人はその事件についてもう一度訴訟を起こすことができなくなります。核定を受けた民事調停は、民事の確定判決と同じ効力を持ちます。

裁判所の調停

民事訴訟法第416条では、裁判所の調停は当事人の合意で成立し、成立すると訴訟上の和解と同じ効力を持つと定めています。調停に無効や取消しの原因がある場合は、元の裁判所に調停の無効確認や取消しの訴えを起こせます。

調停は、取引関係を続けたい場合や、費用と時間を抑えたい場合の選択肢になります。ただし、相手方が合意しなければ成立しません。調停の場は中国語で進むことが多いと考えられるため、通訳や現地の代理人を手配するかどうかは事前に検討してください。

関連ガイド

参考資料

  • 中華民国仲裁協会 https://www.arbitration.org.tw/ (閲覧日 2026-10-23)
  • 司法院 https://www.judicial.gov.tw/
  • 全国法規資料庫「仲裁法」第1・21・37・47・49・50条 https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawAll.aspx?pcode=I0020001 (閲覧日 2026-10-23)
  • 全国法規資料庫「民事訴訟法」第402・403・427・436条の8 https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawAll.aspx?pcode=B0010001 (閲覧日 2026-10-23)
  • 全国法規資料庫「鄉鎮市調解條例」第1・10・27条 https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawAll.aspx?pcode=I0020003 (閲覧日 2026-10-23)

內部編輯附錄

外国判決承認等未寫。 - 2026-10-23 擴寫:新增段落依「参考資料」所列官方頁內容撰寫,未加入無出處之數字。 - 2026-10-23 擴寫:新增段落依「参考資料」所列官方頁內容撰寫,未加入無出處之數字。