店舗ビジネスでは、物件選びが売上やコストに大きく関わります。また、「借りたけれどその業種の営業許可が取れなかった」というリスクもあります。契約前に次の順番で確認しましょう。
1. 立地と客層
- ターゲット客が実際に通るか(平日・週末、昼・夜に現地で観察)
- 周辺の競合店と価格帯
- 駅・バス停からの動線、駐車・バイク駐輪
- 人通りの多さだけで判断しない(客層が合わなければ売上にならない)
2. その物件で営業できるか(用途)
- 都市計画上の用途地域と、建物の使用許可(使用執照)の用途で、その業種が営業できるか
- 飲食店は、排気・排水・厨房設備の条件
- 会社登記・営業登記に使えるか → 不明な点は、契約前に自治体の窓口や専門家に確認
3. 建物の状態
- 消防設備、避難経路
- 電気容量、給排水、ガス
- 内装工事の制限と原状回復の範囲
4. 賃貸契約
| 確認項目 | ポイント |
|---|---|
| 賃料・管理費 | 税込か、値上げ条件 |
| 保証金(押金) | 金額と返還条件 |
| 契約期間 | 最低期間、中途解約の違約金 |
| フリーレント | 内装工事期間の扱い |
| 原状回復 | 退去時の範囲 |
| 名義 | 法人名義で契約できるか |
契約前チェック
- [ ] 現地を複数回、時間帯を変えて見た
- [ ] 業種の営業可否を確認した
- [ ] 内装・設備の見積もりを取った
- [ ] 契約書を専門家に確認してもらった
条文で確認する「用途」:建築法第73条
物件の用途については、建築法第73条が基本になります。
- 建物は、使用執照(使用許可)を受けなければ、水道・電気の接続や使用ができません(一部の例外を除く)。
- 建物は、認められた「使用類組」(用途の区分)どおりに使う必要があります。用途の区分を変える場合や、主要な構造、防火区画、避難設備、消防設備、駐車スペースなどを変える場合は、使用執照の変更を申請しなければなりません。
- ただし、一定の規模以下の用途変更は、変更の手続きが不要な場合があります。その基準は各直轄市・県・市が定めます。
つまり、「前の借り手が同じような店をしていた」だけでは、自社の業種で使えるとは限りません。物件の使用執照に書かれた用途の区分と、自社の業種が合うかを、契約の前に自治体の建築担当や建築士に確認しましょう。基準は自治体ごとに違う可能性があります。
条文で確認する賃貸借:民法
台湾の民法には、賃貸借(租賃)についての規定があります。契約書で別の取り決めをすることもできる部分があるため、契約書の内容とあわせて確認してください。
1年を超える契約は書面で(第422条)
不動産の賃貸借で期間が1年を超える場合は、書面で契約する必要があります。書面で結ばなかった場合、期間の定めのない賃貸借とみなされます。期間の定めのない賃貸借は、原則としていつでも終了を申し入れられるため(第450条)、長く営業したい店舗には不利になるおそれがあります。
修繕は原則として貸主の負担(第429条)
借りている物の修繕は、契約で別に決めていない限り、原則として貸主が負担します。ただし、契約で別に決めることができるため、エアコン、給排水、外装などの修繕をどちらが負担するかは、契約書で確認しましょう。
内装・設備と退去時の扱い(第431条)
- 借主が支出した費用で物件の価値が上がり、貸主がそれを知りながら反対しなかった場合、契約終了のときに、今残っている価値の増加分を限度に、費用の返還を求められます。
- 借主が設置した設備は取り外せますが、原状に戻す必要があります。
内装工事をする前に、工事の内容と退去時の扱いを書面で貸主と合意しておきましょう。
物件が売られた場合(第425条)
物件が借主に引き渡され、借主が使っている間に、貸主が物件を第三者に売っても、賃貸借契約は新しい所有者に対しても続きます。ただし、公証を受けていない不動産の賃貸借で、期間が5年を超えるか期間の定めがない場合は、この規定は当てはまりません。長期の契約を結ぶ場合は、公証を受けるかどうかも検討しましょう。
期間の終わり(第450条)
期間を決めた賃貸借は、期間が終わると終了します。更新の条件は契約書で確認しましょう。
契約前に確認したい書類
| 書類 | 確認すること |
|---|---|
| 使用執照 | 用途の区分(使用類組)が自社の業種に合うか |
| 建物の登記 | 貸主が所有者か、所有者から貸す権限を得ているか |
| 賃貸借契約書 | 期間、修繕、内装、原状回復、中途解約 |
保証金(押金)の上限や返還のルールが店舗の賃貸借にどう当てはまるかは、この記事では未確認です。専門家に確認してください。
物件探しから契約までの流れ(例)
| 段階 | すること | 関連 |
|---|---|---|
| 1. 条件の整理 | 業種、必要な広さ、設備(厨房、排気など)、予算の上限を書き出す | 開業費用 |
| 2. 候補の絞り込み | 立地と客層を現地で観察する | 本記事の「1. 立地と客層」 |
| 3. 用途の確認 | 使用執照の用途の区分を自治体や建築士に確認する | 建築法第73条 |
| 4. 条件の交渉 | 賃料、期間、修繕、内装、原状回復を交渉する | 民法第422条・第429条・第431条 |
| 5. 契約書の確認 | 専門家に契約書を見てもらう | 契約書 |
| 6. 登記・営業の準備 | 会社の所在地として登記できるか確認する | 登記住所・オフィス |
よくある質問
Q. 契約書は中国語だけでもいいですか? A. 中国語の契約書に署名する場合は、内容を正確に理解できるよう、翻訳や専門家の確認を受けましょう。
Q. 内装工事の期間も賃料がかかりますか? A. 契約の条件によります。フリーレントの有無や期間は交渉の対象になる可能性があるため、契約前に確認しましょう。
次にすること
飲食店の開業全体の流れは台湾で飲食店を開業するにはへ。
関連ガイド
参考資料
- 政府資料開放平台 https://data.gov.tw/ (閲覧日 2026-10-23:用途地域等の地図データの確認先)
- ジェトロ「台湾 飲食店の開業」https://www.jetro.go.jp/world/qa/J-170401.html (確認先)
- 全國法規資料庫「建築法」第73條 https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawSingle.aspx?pcode=D0070109&flno=73 (閲覧日 2026-10-23)
- 全國法規資料庫「民法」第421、422、425、429、431、450條 https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawAll.aspx?pcode=B0000001 (閲覧日 2026-10-23)
內部編輯附錄
= R_B25 研究筆記:需實地場勘資料與用途核查;本稿不列租金數字。已依建築法§73、民法§421,422,425,429,431,450擴寫;押金上限適用性、各縣市免變更使用執照基準未確認。 - 2026-10-23 擴寫:新增段落依「参考資料」所列官方頁內容撰寫,未加入無出處之數字。 - 2026-10-23 擴寫:新增段落依「参考資料」所列官方頁內容撰寫,未加入無出處之數字。