本格進出の前に、まず台湾に拠点を置いて情報収集や取引先との連絡をしたい、という場合の選択肢が駐在員事務所(台湾では「辦事處」)です。

できること・できないこと

できること(例) できないこと(例)
市場調査、情報収集 売上を立てる営業活動
本社と取引先の連絡 自ら契約当事者として販売
購買・品質確認の補助 統一発票の発行を伴う取引

範囲を超える活動をする必要が出たら、支店や子会社への切り替えを検討します。

比較

形態 営業 主な用途
駐在員事務所 不可 調査・連絡
支店 可 本社の信用で営業
子会社 可 本格的な現地事業

設置後に確認したいこと

  • 駐在する日本人の就労・居留の手続き → 就労と居留
  • 現地スタッフを雇う場合の労務・保険 → 労務の基本
  • 事務所経費の税務上の扱い

法律上の位置づけ:会社法第386条

台湾の会社法(公司法)では、外国の会社が台湾に支店を設けて営業するつもりがなく、代表者を派遣して事務所を置く場合について、次のように定めています(第386条)。

  • 外国の会社が、支店(分公司)の登記をせずに、代表者を派遣して台湾に辦事處を置く場合は、主管機関に登記を申請しなければなりません。
  • 辦事處を続ける意思がなくなったときは、廃止の登記を申請します。
  • 辦事處の代表者がいなくなったり、所在地がわからなくなったりした場合、主管機関は期限を決めて代表者の指定や所在地の変更を命じることができ、それでも対応しないときは登記を廃止できます。

つまり、駐在員事務所は「届け出なしで自由に置けるもの」ではなく、登記が必要な拠点です。代表者が日本に戻る場合や事務所を移転する場合も、手続きが必要になる点を覚えておきましょう。

営業をしてはいけない理由:会社法第371条

会社法第371条では、外国の会社は支店の登記をしなければ、外国の会社の名義で台湾で業務を営むことはできないと定めています。違反した場合、行為をした人には1年以下の懲役などや15万台湾ドル以下の罰金が科されることがあり、民事上の責任も負います。

駐在員事務所で「少しだけ販売する」「取引先と契約を結ぶ」といったことをすると、この規定に触れるおそれがあります。どこまでが調査・連絡で、どこからが営業になるかは、具体的な活動によって判断が分かれるため、専門家に確認してください。

支店との違い:会社法第372条

支店を設ける場合は、会社法第372条により、営業に使う資金を専用に割り当て、台湾での責任者(代表)を指定する必要があります。登記の後にこの資金を本社に戻したり、本社が回収したりすると、刑事罰の対象になります。

駐在員事務所にはこのような営業資金の規定はありませんが、その代わりに営業ができません。

比べる点 駐在員事務所 支店
根拠 会社法第386条 会社法第371条・第372条など
登記 必要 必要
営業 できない できる
営業資金の割り当て 規定なし 必要
台湾での代表者 必要 必要

「外国の会社」とは

会社法第4条では、外国の会社を「営利を目的として、外国の法律に基づいて組織・登記された会社」と定めています。日本の株式会社や合同会社は、台湾の会社法では外国の会社として扱われます。

よくある質問

Q. 駐在員事務所の登記にはどんな書類が必要ですか? A. 必要な書類や手数料はこの記事では未確認です。経済部商業発展署の最新の案内を確認してください。

Q. 駐在員事務所で台湾人スタッフを雇えますか? A. 雇用の可否や手続きは、この記事では未確認です。雇う場合の労働条件や保険については労務の基本を参考に、専門家に確認しましょう。

Q. 後から支店や子会社に切り替えられますか? A. 切り替えの可否と手続きは未確認です。支店については支店、子会社の設立については設立手続きをご覧ください。

チェックリスト

  • [ ] 台湾で行う活動を書き出し、営業にあたるものがないか確認した
  • [ ] 辦事處の代表者を決めた
  • [ ] 登記の申請先と必要書類を確認した
  • [ ] 代表者の交代や事務所の移転のときに手続きが必要なことを把握した
  • [ ] やめるときは廃止の登記が必要なことを把握した

活動を整理するための表

駐在員事務所を置く前に、台湾で予定している活動を次のような表に書き出し、専門家と一緒に確認すると、後でトラブルになりにくくなります。

予定している活動 相手 お金の流れ 営業にあたるか
例:展示会での情報収集 なし 事務所の経費のみ 専門家に確認
例:本社の商品の問い合わせ対応 台湾の取引先 契約・代金は本社と取引先 専門家に確認
例:仕入れ先の品質確認 台湾の仕入れ先 代金は本社が支払う 専門家に確認

「営業にあたるか」の欄は、自分で判断せずに必ず確認しましょう。とくに、事務所の名義で契約を結んだり、代金を受け取ったりする予定がある場合は注意が必要です。

日本から派遣する代表者の手続き

辦事處の代表者として日本から社員を派遣する場合、台湾での就労や居留の手続きが別に必要になります。どの手続きが当てはまるかは、派遣する人の立場によって異なります。詳しくは就労と居留をご覧ください。

次にすること

台湾で「何をするか」を書き出し、営業行為が含まれないか専門家に確認しましょう。

関連ガイド

参考資料

  • ジェトロ「台湾 外資に関する規制」https://www.jetro.go.jp/world/asia/tw/invest_02.html (閲覧日 2026-10-23)
  • 全國法規資料庫「公司法」第4、371、372、386條 https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawAll.aspx?pcode=J0080001 (閲覧日 2026-10-23)

內部編輯附錄

已依公司法§4,371,372,386擴寫(辦事處須登記)。所需文件、規費、雇用可否未確認;專業審查 pending。 - 2026-10-23 擴寫:新增段落依「参考資料」所列官方頁內容撰寫,未加入無出處之數字。 - 2026-10-23 擴寫:新增段落依「参考資料」所列官方頁內容撰寫,未加入無出處之數字。