台湾の年終獎金と利益の分配|労働基準法第29条は黒字の会社に全年無過失の労働者への賞与か利益配分を求める、施行細則は年終獎金を経常的な給与から除く
黒字の会社は、税・損失・配当・積立金を除き、1年無過失の労働者に賞与か利益配分を出す義務(第29条)。

台湾の子会社が従業員に払う「年終獎金」(年末賞与)には、労働基準法の規定が関わります。「賞与は会社が自由に決められる」と考えると、台湾の法律の規定と食い違うことがあります。この記事では、労働基準法第29条、同法施行細則第10条、公司法の員工酬勞(第235条の1)にもとづいて、年終獎金の法律上の位置づけ、利益がある年の義務、賃金との関係、員工酬勞との違いを整理します。ボーナスの金額の相場や、個別の契約書の書き方は、この記事では扱いません。
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労働基準法第29条
第29条は、事業単位が営業年度の終了で決算し、利益が出ているとき、税金の納付、損失の補填、配当と積立金の計上をした後に、1年を通じて働き、過失のなかった労働者に対し、賞与を出すか、利益を分配するよう定めています。
つまり、決算で利益があり、損失の補填、配当、積立金を除いてもなお残る場合は、労働者に賞与か利益配分を出す義務があるのが、条文の読み方です。ただし、金額の基準や、割合は、条文に書かれていません。この記事では、賞与の最低額や、割合の基準は確認していません。
また、「全年工作並無過失」の条件があるため、1年を通じて働き、過失がなかった労働者が対象です。
賃金との関係
労働基準法第2条第3号は、賃金を、労働者が仕事に対して得る報酬で、経常的な給与を含むと定義しています。施行細則第10条は、「その他の名義による経常的な給与」に当たらない給付を、次のように列挙しています。
- 紅利(利益の分配)。
- 獎金:年終獎金、競技の賞金、研究発明の賞金、特別な功績の賞金、勤続の賞金、燃料物料の節約の賞金、その他の非経常的な賞金。
- 旧正月、端午節、中秋節の節金。
- 医療補助費、労働者とその子女の教育補助費。
- 労働者が顧客から直接受け取るサービス料。
- 婚姻や葬儀などで雇主が贈る祝い金、見舞金、香典。
- 労災の補償費。
- 労工保険と、雇主が労働者を被保険者として加入する商業保険の保険料。
- 出張費、出張手当、交際費。
- 作業服、作業用品、その代金。
- その他、中央主管機関が指定したもの。
年終獎金は、この列挙の中にあり、「経常的な給与」に当たらないものとして扱われています。つまり、年終獎金は、賃金の定義から外れる給付として列挙されています。個別の賞与が実際に賃金に当たるかどうかは、支払いの規則、契約、実態で判断されます。この記事では、個別の判断は確認していません。
員工酬勞(公司法第235条の1)
公司法第235条の1第1項は、股份有限公司(株式会社に相当)が、定款に、当年度の利益の定額または比率で従業員報酬(員工酬勞)を分配する旨を定めなければならないと定めています。ただし、累積損失があるときは、先に補います。公営事業は、原則として適用されません(同条第2項)。有限公司には、公司法第110条第3項が第235条の1を準用しています。無限公司・兩合公司など、その他の会社への適用は、この記事では確認していません。
員工酬勞は、株式または現金で出し、董事の3分の2以上の出席と、出席董事の過半数の同意による董事会の決議が必要で、株主総会に報告します(同条第3項)。
労働基準法第29条の賞与や利益配分と、公司法第235条の1の員工酬勞は、別の条文です。どちらも利益に連動して従業員に出す給付ですが、根拠となる法律が違います。両者の関係(員工酬勞を出せば第29条の賞与を出したことになるか)は、条文に書かれておらず、この記事では確認していません。
年終獎金と平均工資
施行細則第10条の列挙に当たる給付は、平均工資の「工資総額」にも含まれない扱いになります。平均工資の計算では、事由が発生した日の前6か月間の賃金総額を、その期間の総日数で割って使います(労働基準法第2条第4号)。年終獎金が賃金に当たらないとされる場合は、平均工資に入りません。勤続が6か月に満たない労働者は、働いた期間の賃金総額を、働いた期間の総日数で割ります(労働基準法第2条第4号)。日給・時給制の労働者には、賃金総額を実際に働いた日数で割った額の60%という下限もあります。労働基準法第17条第1項第1号は、資遣費を、勤続1年ごとに1か月分の平均工資と定めているため、平均工資に何が入るかで、金額が変わります(勞工退休金條例の対象者の資遣費は別の規定で、この記事では扱いません)。
手順
- 決算の後、利益の有無と、税金、損失の補填、配当、積立金を計算する。
- 利益が残る場合は、第29条の賞与または利益配分を出す義務を検討する。
- 年終獎金の支払いのルールを、就業規則か契約書に書く。
- 員工酬勞の定款の規定と、董事会決議の記録を確認する。
- 年終獎金が賃金に当たるかどうかを、契約の書き方と支払いの実態で確認する。
注意点
- 条文は賞与の金額を決めていません。
- 「1年を通じて働き、過失がなかった」という条件は、第29条にあります。
- 股份有限公司の員工酬勞は、定款の定めが必要です。
よくある質問
台湾の年終獎金は、法律上の義務ですか。
労働基準法第29条は、利益のある事業単位に、1年無過失の労働者への賞与か利益配分を求めています。金額の基準は条文にありません。
年終獎金は賃金ですか。
施行細則第10条は、年終獎金を、経常的な給与から除かれる給付として列挙しています。個別の判断は、契約と実態によります。
員工酬勞とは何ですか。
股份有限公司が、公司法第235条の1にもとづいて出す、利益の定額または比率による従業員報酬で、定款に定めが必要です。
平均工資に年終獎金は入りますか。
賃金に当たらない扱いなら入りません(労働基準法第2条、施行細則第10条)。
出典
- 全國法規資料庫「勞動基準法」第2・29條(2026-10-19 查證):對於全年工作並無過失之勞工,應給與獎金或分配紅利。
- 全國法規資料庫「勞動基準法」第17條(2026-10-19 查證):每滿一年發給相當於一個月平均工資之資遣費。
- 全國法規資料庫「公司法」第110條第3項、第235條之1(2026-10-19 查證):公司應於章程訂明以當年度獲利狀況之定額或比率,分派員工酬勞。
- 全國法規資料庫「勞動基準法施行細則」第10條(2026-10-19 查證):獎金:指年終獎金、競賽獎金、研究發明獎金、特殊功績獎金、久任獎金、節約燃料物料獎金及其他非經常性獎金。