台湾の法定盈余公積と配当の手順|配当の前に税引後利益の10%を積立て、違法配当は1年以下の懲役か6万元以下の罰金
台湾の配当は、損失を補填し、税引後利益の10%を法定盈余公積に積み立ててから。違反は1年以下の懲役か6万元以下の罰金。

台湾の子会社が利益を出し、日本の親会社へ配当を出すとき、台湾の公司法の手順に従う必要があります。配当は、決算の承認だけで自由に出せるのではなく、先に損失を補い、法定盈余公積を積み立てる必要があります。違反すると、会社の負責人に刑事罰が科される場合もあります。この記事では、公司法の第228条から第241条にもとづいて、配当の前に必要な手順、法定盈余公積の積立て、表冊の承認、配当の禁止、積立金の使い道を整理します。配当にかかる台湾側の源泉徴収や、日本側の課税は、別の記事で扱います。公開発行の会社の特則は、ここでは省きます。
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配当までの流れ
- 決算の後、董事会が、営業報告書、財務報表、盈余分派または損失補填の議案を作ります。
- これらの表冊を、定時株主総会の30日前までに、監察人に渡して、チェックを受けます(公司法第228条第1項)。
- 表冊と監察人の報告書は、定時総会の10日前までに本店に備え、株主がいつでも閲覧できるようにします(第229条)。
- 定時総会に表冊を出して、承認を求めます。承認を得たら、董事会は、財務報表と、盈余分派または損失補填の決議を、各株主に分発します(第230条第1項)。
承認された表冊は、董事と監察人の責任を、会社が解除したものとみなされます。ただし、董事や監察人に不法な行為があるときは、この限りではありません(第231条)。
法定盈余公積
第237条第1項は、会社がすべての税金を納めた後に、盈余を分配するときは、まず10%を、法定盈余公積として積み立てなければならないと定めています。法定盈余公積がすでに実収資本額に達している場合は、積み立てなくてかまいません。また、法定盈余公積のほかに、定款の定めまたは株主総会の決議で、特別盈余公積を積み立てることもできます(同条第2項)。
たとえば、納税後の利益が1,000万元で、損失の補填が不要なら、10%の100万元を法定盈余公積として積み立て、残りの900万元が、配当などに回せる額の基礎になります。(算術は本稿のものです。)
負責人が、法定盈余公積を積み立てなかった場合は、各2万元以上10万元以下の罰鍰です(同条第3項)。
配当してはならない場合
第232条は、次のように定めています。
- 損失を補填し、法定盈余公積を積み立てる前は、配当を出せない(第1項)。
- 盈余がないときは、配当を出せない(第2項)。
- 負責人が、これらの規定に違反して配当を出した場合は、各自、1年以下の懲役、拘役、または6万元以下の罰金(併科あり)が科されます(第3項)。
会社が違法に配当を出した場合、会社の債権者は、配当の返還を請求でき、それによって受けた損害の賠償も請求できます(第233条)。
積立金の使い道
法定盈余公積と資本公積は、会社の損失を補う場合を除き、使えません(第239条第1項)。ただし、第241条の場合や、ほかの法律に定めがある場合は、この限りではありません。資本公積で資本の損失を補う場合は、先に盈余公積で補っても足りないときに限られます(同条第2項)。
第241条は、損失がない会社が、法定盈余公積と、株式を額面超で発行して得た差額、贈与を受けた収入などの資本公積を、株主の持株比率に応じて、新株または現金で株主に発行できると定めています。法定盈余公積を分配に使う場合は、その積立金が、実収資本額の25%を超える部分に限られます(同条第3項)。決議は、発行済株式の3分の2以上を代表する株主が出席する総会で、出席株主の議決権の過半数の賛成が必要です。
有限公司の場合
有限公司にも、同じ趣旨の規定があります。公司法第112条第1項は、損失を補い、すべての税金を納めた後に盈余を分配するときは、まず10%を法定盈余公積として積み立てると定めています。上限は、実収資本額ではなく、資本総額です。特別盈余公積は、定款の定めか、議決権の3分の2以上の同意で積み立てます(同条第2項)。負責人が積み立てなかった場合は、各2万元以上10万元以下の罰鍰です(同条第4項)。
配当を新株で出す場合
第240条は、株主総会が、発行済株式の3分の2以上を代表する株主の出席と、出席株主の議決権の過半数の賛成で、配当の全部または一部を新株の発行で出すことができると定めています。1株に満たない部分は、現金で支払います。新株は、決議した総会が終わった時に効力を生み、董事会はすぐに各株主へ通知します。
中間配当
公司法第228条の1は、定款に定めがあれば、四半期または半期ごとに、盈余の分配や損失の補填ができると定めています。この場合、分配の議案は、営業報告書と財務報表とともに、監察人の査核を受けて、董事会が決議します。分配の前に、納税の予想額と、損失の補填、法定盈余公積を、先に確保します(同条第3項)。現金で出す場合は、董事会の決議が必要です。
法人株主1人の会社の場合
政府または法人の株主1人だけの会社は、第128条の1により、株主総会の職権を董事会が行使します。その場合の表冊の承認や配当の決議を、どのように行うかは、この記事では確認していません。外国法人がこの規定の対象に当たるかも、確認していません。
手順
- 決算が終わったら、営業報告書、財務報表、盈余分派または損失補填の議案を作る。
- 定時総会の30日前までに、監察人へ渡す。
- 総会の10日前までに、本店に備える。
- 総会で承認を得る。
- 損失を補い、納税後の利益から10%を法定盈余公積に積み立てる。
- 配当を決議し、財務報表と決議を各株主へ分発する。
- 親会社への配当は、台湾側の源泉徴収の手続きを、別途確認する。
注意点
- 法定盈余公積が実収資本額に達していれば、積立ては不要です。
- 損失がある場合は、損失の補填が先で、配当は後です。
- 違法な配当は、債権者から返還を求められる可能性があります。
よくある質問
配当の前に、何を積み立てますか。
納税後の利益の10%を、法定盈余公積として積み立てます。ただし、積立金が実収資本額に達していれば不要です(公司法第237条)。
利益がないときに配当できますか。
できません。違反した負責人には、1年以下の懲役、拘役、または6万元以下の罰金が科されます(第232条)。
四半期ごとに配当できますか。
定款に定めがあれば、四半期または半期ごとに、盈余の分配ができます(第228条の1)。
法定盈余公積は、何に使えますか。
会社の損失の補填が原則です。損失がない会社は、積立金が実収資本額の25%を超える部分に限り、新株や現金で分配できます(第239条、第241条)。
出典
- 全國法規資料庫「公司法」第228・229・230・231・232・233條(2026-10-19 查證):公司非彌補虧損及依本法規定提出法定盈餘公積後,不得分派股息及紅利。
- 全國法規資料庫「公司法」第237・239・240・241條、第228-1條(2026-10-19 查證):分派盈餘時,應先提出百分之十為法定盈餘公積。