台湾の源泉徴収|非居住者への支払いは配当21%・給与18%・報酬20%、納付は徴収から10日以内
非居住者への配当は21%、給与18%、報酬20%を源泉徴収し、徴収から10日以内に納付する。
台湾の会社が、台湾に居住しない個人や、台湾に固定の営業場所を持たない外国企業に給与、報酬、配当などを払うときは、支払う側が所得税を源泉徴収しなければなりません。財政部の「各類所得扣繳率標準」(2021年6月30日修正)第3条によると、配当は21%、給与は18%、手数料や執行業務者の報酬は20%です。徴収した税は、徴収の日から10日以内に国庫へ納めます(所得税法第92条)。台湾子会社から日本の親会社や日本人従業員へ支払う場面が多い日本企業のために、対象、率、期限、罰則を整理します。
居住者と非居住者の区別
所得税法第7条は、台湾内に居住する個人を、次の2種類としています。
- 台湾内に住所があり、常時台湾内に居住する人
- 台湾内に住所がなく、1課税年度のうちに台湾内で居留した日数が合計183日以上になる人
これ以外の個人は、台湾内に居住しない個人です。日本から台湾へ出向する従業員は、その年の台湾での居留日数が183日に達するかで、扱いが変わります。
源泉徴収の義務者
第88条と第89条は、次の所得について、支払う側が源泉徴収の義務を負い、所得を受け取る側が納税義務者になると定めます。
- 公司が、台湾内に居住しない個人株主や、本店が台湾外にある営利事業へ払う配当
- 給与、利子、賃貸料、手数料、権利金、執行業務者の報酬、賞金、退職金などの所得
- 台湾内に固定の営業場所も営業代理人もない外国の営利事業に払う所得
非居住者・外国企業への税率(第3条・第4条)
| 所得 | 源泉徴収率 |
|---|---|
| 配当(個人株主)、本店が台湾外の営利事業が受ける配当 | 21% |
| 給与 | 18%。ただし月額の給与総額が基本工資(最低工資)の1.5倍以下の個人は6% |
| 手数料 | 20% |
| 利子 | 債券等15%、その他20% |
| 賃貸料・権利金・執行業務者の報酬 | 20% |
| 賞金・退職所得 | 賞金20%、退職所得は定額免税後の残額の18% |
| 上記以外の所得(台湾に営業場所・代理人がない外国企業) | 20% |
台湾の最低工資は2026年1月から月額29,500元なので、1.5倍は44,250元です。日本と台湾の間では、日台民間租税取決めが配当、利子、使用料の税率を10%を超えない額に抑えます。その適用は別稿で整理しています。
居住者向けの税率との違い
第2条は、台湾内に居住する個人や、台湾内に固定の営業場所がある営利事業への支払いの率を別に定めています。手数料、利子(一般)、賃貸料、権利金、執行業務者の報酬は10%、退職所得は定額免税後の残額の6%、給与は「全月給付総額に応じた扣繳辦法」または5%の選択制です。非居住者の方が、率が高い所得が多い構造です。
納付と申告の期限
| 対象 | 期限 | 根拠 |
|---|---|---|
| 居住者向けなどの一般の源泉徴収 | 毎月10日までに、前月に徴収した税を国庫に納付。翌年1月末までに扣繳憑單を税務署に報告、2月10日までに納税義務者に交付 | 第92条第1項 |
| 非居住者・台湾に営業場所のない外国企業への支払い | 徴収の日から10日以内に納付し、扣繳憑單を税務署に申告して確認を受けた後、納税義務者に交付 | 第92条第2項 |
違反した場合(第114条)
- 源泉徴収を怠った場合:期限を指定した追納と扣繳憑單の補報を命じるほか、徴収し忘れ・不足した税額の1倍以下の罰鍰。期限内に追納しない場合や、虚偽の補報をした場合は3倍以下
- 徴収した税の扣繳憑單の報告・交付を期限内にしない場合:1,500元以上2万元以下の罰鍰。指定期限内に補正しない場合は3,000元以上4万5,000元以下
- 徴収した税を期限を過ぎて納めた場合:滞納金
手順
- 支払う所得の種類(給与、手数料、利子、権利金など)と、受け取る側が居住者か非居住者かを確認する。
- 非居住者や台湾に営業場所のない外国企業には、第3条の率で徴収する。日台租税取決めの上限が使える場合は、その適用の手続を確認する。
- 徴収した日から10日以内に国庫へ納付する。
- 扣繳憑單を作り、税務署に申告して確認を受けた後、受取人に交付する。
- 居住者向けの支払いもある場合は、翌年1月末までに扣繳憑單を税務署に報告し、2月10日までに納税義務者に交付する(第92条第1項)。
注意点
- 日台租税取決めの10%の上限は、国内法の率より低い場合に使います。適用の手続は財政部の規定に従い、本稿では確認していません。
- 非居住者への給与の6%は、月額の給与総額が基本工資の1.5倍以下の個人に限られます。
- 本稿の税率は、2021年6月30日修正の扣繳率標準にもとづきます。改正の有無は、支払いの前に財政部で確認します。
- 給与の源泉徴収は、受取人が居住者か非居住者かで率が変わります。出向者の居留日数を年内に把握します。
よくある質問
台湾で外国企業に手数料を払うとき、源泉税は何%ですか。
台湾に固定の営業場所のない外国企業には、第3条により20%です。
日本人の出向者の給与の源泉税率は何%ですか。
台湾内に居住しない個人には18%(月額が基本工資の1.5倍以下なら6%)です。台湾内に183日以上居留して居住者になる場合は、居住者の方法で扱います。
源泉税はいつまでに納めますか。
非居住者などへの支払いでは、徴収の日から10日以内です。居住者向けなどの一般の徴収は、翌月10日までです。
源泉徴収を忘れるとどうなりますか。
追納を命じられ、不足した税額の1倍以下の罰鍰が科されます。期限内に追納しないと3倍以下です。
出典
- 全國法規資料庫「各類所得扣繳率標準」第2・3條(2026-10-17 查證):薪資按給付額扣取百分之十八。
- 全國法規資料庫「所得稅法」第7・88・89・92・114條(2026-10-17 查證):所扣稅款向國庫繳清,並開具扣繳憑單,向該管稽徵機關申報核驗後,發給納稅義務人。