台湾の賃金支払のルール|全額を直接払い、月に2回以上が原則、明細の交付と賃金台帳は5年保存、違約金の天引きは禁止、第21〜25条の違反は2万〜100万元の罰鍰
賃金は全額を直接払い、原則月2回以上。明細を示し、台帳は5年保存。第21〜25条の違反は2万〜100万元の罰鍰。

台湾の子会社で給与を支払うとき、金額の決め方だけでなく、支払いの方法、頻度、明細の出し方にも、労働基準法の規定があります。日本から派遣された経理担当者が、給与の支払日や控除の扱いを決めるときは、これらの規定に反していないか確認する必要があります。この記事では、労働基準法第21条から第27条の規定のうち、賃金の支払いに関わる部分を、条文で整理します。残業代の割増率と、基本工資の金額は、別の記事で扱います。賃金から社会保険料などを控除する場合の詳細な手続きは、この記事では扱いません。
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賃金は基本工資を下回れない
労働基準法第21条第1項は、賃金は、労使が決めるが、基本工資を下回ってはならないと定めています。基本工資は、中央主管機関が、基本工資審議委員会に案を作らせ、行政院が決定します。基本工資の金額は、別の記事(台湾の最低賃金)で扱っています。なお、2024年1月1日に最低工資法が施行され、他の法規が定める基本工資には、最低工資の規定が適用されます(最低工資法第18条)。
支払いの方法
第22条は、賃金の支払いについて、次のとおり定めています。
- 賃金は、法定の通貨で支払う。習慣や業務の性質で、労働契約に定めがあれば、一部を現物で支払える。現物の評価は、公平で合理的であり、労働者と家族の必要に合う必要がある(第1項)。
- 賃金は、全額を、直接、労働者に支払う。ただし、法令に別の定めがある場合や、労使が別の約束をした場合は、この限りではない(第2項)。
支払いの頻度と明細
第23条第1項は、賃金は、当事者に特別な約束がある場合や、月ごとの前払いの場合を除き、毎月少なくとも2回、定期に支払うと定めています。賃金の各項目の計算方法の明細も提供しなければなりません。出来高払いの場合も同じです。
つまり、月給制で、月末に1回だけ支払う場合は、労使の約束が必要です。給与明細で、基本給、手当、控除などの計算方法がわかるようにします。
第23条第2項は、雇主が賃金台帳を備え、賃金を支払ったこと、賃金の各項目の計算方法の明細、賃金の総額を記入するよう定めています。賃金台帳は、5年間保存します。
違約金などの天引きは禁止
第26条は、雇主が、違約金や賠償費用の名目で、賃金をあらかじめ差し引いてはならないと定めています。つまり、辞める人に違約金を課して、賃金から差し引くようなことはできません。
男女同一賃金
第25条は、雇主が、性別を理由に差別的な待遇をしてはならず、仕事が同じで、効率が同じなら、同じ賃金を払うと定めています。
賃金を払わないとき
第27条は、雇主が期限どおりに賃金を払わないとき、主管機関は、期限を決めて支払いを命じることができると定めています。
雇主が破産、清算、廃業した場合の賃金の扱いは、第28条が定めています。6か月分未満の積欠賃金は、第1順位の抵当権、質権、留置権で担保された債権と同じ順位で弁済を受け、積欠工資墊償基金から立替払いを受けられる制度があります。
違反したときの罰鍰
第26条(違約金や賠償費用の名目で賃金を差し引くことの禁止)の違反は、第78条第2項により、9万元以上45万元以下の罰鍰です。以下は、第79条の罰鍰です。
第79条第1項は、第21条第1項、第22条から第25条などの規定に違反した場合、2万元以上100万元以下の罰鍰と定めています。第4項により、主管機関は、事業の規模、違反の人数、情節に応じて、法定の最高額の2分の1まで、罰鍰を加重できます。賃金台帳の備置、保存(第23条第2項)の違反も、第79条第1項の対象です。
手順
- 給与の額が、基本工資を下回っていないか確認する。
- 賃金は、全額を、本人の口座などへ直接支払う。
- 支払日を、月に2回以上とするか、月給の1回払いについて、労使の約束を書面で残す。
- 給与明細に、基本給、手当、控除の計算方法を書く。
- 賃金台帳に、支払いの内容を記録し、5年間保存する。
- 違約金や賠償費用の名目で、賃金を天引きしない。
注意点
- 賃金の一部を現物で払う場合は、労働契約に定めが必要です。
- 「全額」の例外は、法令に別の定めがある場合と、労使が別の約束をした場合です(第22条第2項)。
- 賃金台帳の5年の保存は、解雇や退職の時の記録としても使われます。
よくある質問
台湾では、給与は月に何回払いますか。
特別な約束がなければ、毎月少なくとも2回です。月ごとの前払いなどの約束があれば、別になります(労働基準法第23条第1項)。
給与明細は必要ですか。
賃金の各項目の計算方法の明細を提供する必要があります(第23条第1項)。
賃金から違約金を差し引けますか。
できません。違約金や賠償費用として、賃金をあらかじめ差し引くことは禁止されています(第26条)。
賃金台帳は何年保存しますか。
5年です(第23条第2項)。
出典
- 全國法規資料庫「勞動基準法」第21・22・23・25條(2026-10-19 查證):工資之給付,除當事人有特別約定或按月預付者外,每月至少定期發給二次,並應提供工資各項目計算方式明細。
- 全國法規資料庫「勞動基準法」第26・27・28・79條(2026-10-19 查證):雇主不得預扣勞工工資作為違約金或賠償費用。