台湾の労働組合(工会)|30人以上の連署で結成、企業工会の労働者は加入義務、裁決で決定された不当労働行為は10万〜50万元の罰鍰
工会は労働者30人以上の連署で結成。雇主の不当労働行為は解雇が無効。裁決後の罰鍰は10万〜50万元。

台湾の子会社でも、従業員が労働組合を作ることができます。台湾では労働組合を「工会」と呼び、「工会法」が結成の手続き、雇主が禁じられる行為、組合の運営を定めています。工会があるかどうかは、残業の延長の同意(労働基準法第32条)や、労資会議の運営にも関わるため、雇主にとっても確認が必要です。この記事では、工会の種類、結成の手続き、雇主の禁止行為、公假、罰則を、条文で整理します。団体交渉や争議行為の細かい手続きは、別の法律(団体協約法、労資争議処理法)が定めており、この記事では扱いません。
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工会の種類
工会法第6条第1項は、工会を次の3種類に分けています。
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 企業工会 | 同じ工場、同じ事業単位、会社法の支配・従属の関係にある企業、または金融持株会社と子会社の労働者で作る |
| 産業工会 | 関連する産業の労働者で作る |
| 職業工会 | 関連する職業の技能を持つ労働者で作る(同じ直轄市または県・市を区域とする) |
第4条は、労働者は誰でも、工会を組織し、加入する権利があると定めています。現役軍人と国防部が監督する軍需産業の従業員は、工会を作れません。
企業工会の加入義務
第7条は、企業工会が組織された場合、その企業の労働者は工会に加入しなければならないと定めています。第14条は、雇主に代わって管理権を行使する主管人員は、その企業の工会に加入できないと定めています。ただし、工会の規約に別の定めがあれば、この限りではありません。
結成の手続き
第11条は、工会の結成について、次のように定めています。
- 労働者30人以上の連署で発起する。
- 準備会を作り、会員を公開で募集し、規約を作り、成立大会を開く。
- 成立大会の後30日以内に、規約、会員名簿、理事・監事名簿を、本拠地の直轄市または県・市の主管機関に提出して、登記証書を請求する。
全国を区域とする連合組織は、中央主管機関に登記します。
台湾の子会社の従業員にも、工会を結成する権利があります。発起には、労働者30人以上の連署が必要です。雇主が結成を妨げることは、第35条により禁じられています。
雇主が禁じられる行為
第35条第1項は、雇主と、雇主に代わって管理権を行使する人に、次の行為を禁じています。
- 労働者が工会を組織する、加入する、活動する、役職に就くことを理由に、雇用の拒否、解雇、降格、減給などの不利な扱いをする。
- 工会に入らないことや、役職に就くことを、雇用の条件にする。
- 団体交渉の要求や参加を理由に、不利な扱いをする。
- 争議行為への参加や支持を理由に、解雇、降格、減給などをする。
- 工会の成立、組織、活動に、不当な影響を与え、妨げ、制限する。
雇主が、この規定に反して行った解雇、降格、減給は無効です(同条第2項)。
公假(組合活動のための休暇)
第36条は、工会の理事と監事が、勤務時間中に会務を行う必要があるとき、工会と雇主が約定して、一定の時間数の公假を与えると定めています。企業工会と雇主の間に約定がない場合は、次のとおりです。
- 理事長:半日または全日、公假を請求できる。
- そのほかの理事と監事:1か月に50時間の範囲で、公假を請求できる。
雇主が、約定のない場合の公假を与えなかったときは、2万元以上10万元以下の罰鍰です(第46条)。
不当労働行為の罰則
第45条第1項は、雇主が第35条第1項に違反し、労資争議処理法による裁決で決定された場合、中央主管機関が、雇主に10万元以上50万元以下の罰鍰を科し、名称、代表者の氏名、処分の日、違反した条文、罰鍰の金額を公表すると定めています。裁決の決定書に定められた期限までに、必要な作為や不作為をしなかった場合は、さらに20万元以上100万元以下の罰鍰になります(第45条第2項、第3項)。
手順
- 従業員から工会結成の動きがあった場合、第35条の禁止行為に当たる対応をしない。
- 工会が結成された場合、登記証書の有無と、企業工会かどうかを確認する。
- 管理権を行使する主管人員が、工会に加入しないよう、規約と社内の職位を確認する。
- 工会の理事・監事の公假について、工会と約定を結ぶか、約定がない場合の月50時間の枠を把握する。
- 残業の延長など、工会の同意が必要な手続きの窓口を決める。
注意点
- 工会があるときの同意の相手は、労資会議ではなく工会です。労働基準法の「工会の同意、無ければ労資会議」の順序に注意します。
- 工会の結成を理由にした解雇は、無効です。不当労働行為については、労資争議処理法に裁決の制度があります。
- 工会が登記を受けていない準備段階の活動も、第35条の保護の対象になるかは、この記事では確認していません。
よくある質問
従業員何人から、工会を作れますか。
労働者30人以上の連署で発起します(工会法第11条第1項)。
工会の結成を理由に従業員を解雇したら。
解雇は無効です(第35条第2項)。労資争議処理法の裁決で違反と決定された場合は、10万元以上50万元以下の罰鍰です(第45条第1項)。
管理職は工会に入れますか。
雇主に代わって管理権を行使する主管人員は、工会の規約に別の定めがなければ加入できません(第14条)。
工会の役員が会務を行う時間は、勤務時間に含まれますか。
約定がなければ、理事長は半日または全日、ほかの理事・監事は月50時間の範囲で、公假を請求できます(第36条)。
出典
- 全國法規資料庫「工會法」第4・6・7・11・14條(2026-10-19 查證):組織工會應有勞工三十人以上之連署發起。
- 全國法規資料庫「工會法」第35・36・45・46條(2026-10-19 查證):雇主或代表雇主行使管理權之人,不得有下列行為。