台湾の自己株式の取得と処分|原則は禁止、董事会の決議で発行済株式の5%まで、3年以内に従業員へ譲渡、議決権の過半数を持たれる会社は、持っている会社の株を買うのも禁止
自己株式の取得は原則禁止。例外は董事会決議で発行済株式の5%まで。取得した株は3年以内に従業員へ譲渡。

台湾の股份有限公司は、自社の株式を取得できる場面が、公司法で限られています。台湾の子会社が、自社の株式を買い戻す、あるいは、グループ会社の株式を買う場合には、この制限に当たらないかを確認する必要があります。この記事では、公司法の第167条、第167条の1、第186条を中心に、自己株式の取得の原則、例外、取得した株式の処分、子会社が親会社の株を取得する制限、違反したときの責任を整理します。従業員への株式報酬は、別の記事で扱います。公開発行の会社に適用される特別の準則は、取り上げません。
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原則は禁止
公司法第167条第1項は、会社は、法律が認める場合を除き、自社の株式を、自分で収回、買い取り、または質物として受け取ってはならないと定めています。例外として挙がるのは、次の条文による場合です。
- 第158条:特別株を、定款に従って回収する場合。
- 第167条の1:董事会の決議で、従業員に譲渡する目的で買い取る場合。
- 第186条:株主が、反対の意思を表明して、会社に買取りを請求する場合。
- 第235条の1:従業員報酬を株式で出す場合。
- 第317条:合併や会社の分割で、反対の株主が買取りを請求する場合。
また、株主が清算に入ったり、破産の宣告を受けたりした場合には、会社が、その株主の会社に対する債務の弁済として、市価で株式を取り戻せます(第167条第1項ただし書)。
董事会決議による買取り(第167条の1)
第167条の1は、法律に別の定めがある場合を除き、会社が、董事会の決議で、自己株式を買い取れると定めています。要件は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 決議 | 董事の3分の2以上の出席と、出席した董事の過半数の同意 |
| 数量の上限 | 発行済株式総数の5%まで |
| 金額の上限 | 買取りの総額は、保留盈余と実現した資本公積の合計額まで |
| 買い取った株式の処分 | 3年以内に従業員へ譲渡する。期限までに譲渡しなければ、会社が発行していない株式とみなし、変更登記を行う |
| 権利 | 会社が買い取った株式は、株主の権利を持たない |
定款に定めがあれば、譲渡の相手に、一定の条件を満たす支配会社や従属会社の従業員を含められます(同条第4項)。
第167条のその他の制限
第167条第2項は、清算や破産の弁済、または第186条により取得した株式は、取得から6か月以内に、市価で売却しなければならないと定めています。売却しなかった株式は、会社が発行していない株式とみなされ、変更登記が必要です。
第3項は、議決権のある発行済株式の総数、または資本総額の過半数を持たれている従属会社は、支配会社の株式を買い取ったり、質物として受け取ったりしてはならないと定めています。第4項は、支配会社とその従属会社が、合計で、他の会社の議決権株式の過半数を直接または間接に持っているとき、その他の会社も、支配会社とその従属会社の株式を買い取れないと定めています。
台湾の会社が、ほかの会社に議決権のある株式の過半数を持たれている場合、その台湾の会社(従属会社)は、持っている側の会社(支配会社)の株式を買い取ることも、質物として受けることもできません(第167条第3項)。親会社の株式報酬の制度を、台湾の子会社が資金を出して運営するような場合は、この制限を確認する必要があります。この制限が、日本の会社の株式にも及ぶかは、条文が「支配会社」と書いているだけで、会社が外国の会社かどうかを書いていません。この記事では、外国会社への適用までは確認していません。
反対株主の買取請求(第186条)
第185条の決議(営業や財産の譲渡など)の前に、書面で反対の意思を会社に通知し、総会でも反対した株主は、会社に対して、その時の公正な価格で、自分の株式をすべて買い取るよう請求できます。ただし、総会が同じ決議で解散も決めた場合は、この限りではありません。
違反したときの責任
第167条第5項は、負責人が、前の4項の規定に違反して株式を回収、買い取り、質物にしたとき、または、価格を高くして債務を相殺したり、安くして売却したりしたときは、損害賠償の責任を負うと定めています。
手順
- 自己株式を取得する目的を整理する(従業員への譲渡、反対株主の買取りなど)。
- 董事会の決議の要件(3分の2以上の出席と、出席董事の過半数)を満たしているか数える。
- 取得する株式数が発行済株式総数の5%以内か、総額が上限内かを確認する。
- 取得した株式の処分の期限(3年、または6か月)を管理する。
- 期限までに処分しない株式は、変更登記を行う。
- 議決権の過半数を持たれている会社が、持っている会社の株式を扱う場合は、第167条第3項、第4項の制限を確認する。
注意点
- 取得した自己株式には、議決権などの株主の権利がありません。
- 5%の上限は、発行済株式の総数が基準です。
- 3年の期限は、従業員への譲渡のための買取りに適用されます。
よくある質問
台湾の会社は、自己株式を自由に買えますか。
いいえ。公司法第167条により、原則として禁止です。董事会の決議で、発行済株式の5%まで買い取れる例外があります(第167条の1)。
買い取った自己株式は、どうしますか。
3年以内に従業員へ譲渡します。譲渡しなければ、発行していない株式とみなされ、変更登記を行います(第167条の1第2項)。
議決権の過半数を持たれている会社は、持っている会社の株式を買えますか。
議決権の過半数を持たれている従属会社は、支配会社の株式を買えません(第167条第3項)。その支配会社が日本の会社の場合に及ぶかは、この記事では確認していません。
総会の決議に反対した株主は、株式を買い取ってもらえますか。
第185条の決議に反対した株主は、公正な価格での買取りを請求できます(第186条)。
出典
- 全國法規資料庫「公司法」第167・167-1條(2026-10-19 查證):於不超過該公司已發行股份總數百分之五之範圍內,收買其股份。
- 全國法規資料庫「公司法」第186條(2026-10-19 查證):得請求公司以當時公平價格,收買其所有之股份。