台湾での増資手続き|有限公司は議決権の過半数、股份有限公司は董事会の3分の2出席、登記は15日以内
有限公司は議決権の過半数、股份有限公司は董事会の3分の2出席と出席者過半数で増資。変更登記は15日以内。
台湾の子会社で、事業の拡大や資金繰りのために資本金を増やす場合の手続きは、会社の種類によって異なります。有限公司では株主の議決権の過半数、股份有限公司では董事会の決議が基本です。増資の後は、会計士の査核、変更登記、規費の納付が続きます。この記事では、公司法と、関係する辦法の条文にもとづいて、増資の決議、新株の割当て、登記までの流れを整理します。外国人投資の許可の詳細や、公開発行会社の手続きは扱いません。
有限公司の増資(公司法第106条)
公司法第106条第1項は、有限公司の増資に、株主の議決権の過半数の同意が必要だと定めています。ただし、株主が増資に同意しても、元の出資比率に応じて出資する義務はありません。
その場合は、株主の議決権の過半数の同意で、新しい株主を参加させることができます(同条第2項)。減資や、組織の変更(股份有限公司への変更)も、議決権の過半数の同意で行えます(同条第3項)。
股份有限公司の増資
資本の分次発行。 公司法第156条第4項は、定款で定めた株式の総数を、分次に発行できると定めています。このように分けて新株を発行するときは、第266条以下の規定によります。
決議。 第266条第2項は、新株の発行を、董事会が、董事の3分の2以上の出席と、出席した董事の過半数の同意で決議すると定めています。
従業員への保留。 第267条第1項は、新株を発行するとき、目的事業主管機関が個別に認めた場合を除き、新株の総数の10%から15%を、会社の従業員が引き受けるよう保留すると定めています。違反した場合、負責人は各2万元以上10万元以下の罰金です(同条の末項)。ただし、外国人投資人の持株が投資事業の資本総額の45%以上の場合は、外国人投資条例第15条第2項により、現金増資で第267条の保留を適用しないことができます。公積を資本に組み入れて原有株主に新株を交付する場合(第267条第5項)や、合併・分割・重整などによる増発(同条第8項)にも、保留の規定は適用されません。
既存株主への割当て。 保留分を除いた新株は、公告と通知をして、既存株主に持株の比率で優先的に引き受けさせます。期限内に引き受けない株主は、権利を失います。既存株主が引き受けなかった分は、公開発行または特定の人への引受けにできます(第267条第3項)。
出資の方法。 第156条第5項は、株主の出資は、現金のほか、会社に対する金銭債権、会社の事業に必要な財産、技術で充当できると定めています。充当の額は、董事会の決議が必要です。
定款の変更。 発行済株式の総数や資本の枠を変える場合は、定款の変更が必要で、株主総会の決議が要ります。決議は、株主が複数の場合、発行済株式の総数の3分の2以上の出席と、出席株主の議決権の過半数の同意で行います(第277条)。政府または法人の株主1人だけの股份有限公司には、公司法第128条の1により株主総会の規定が適用されず、株主総会の職権を董事会が行使します。同条第2項により、そのような公司は、定款で董事会を置かず、董事を1人または2人とすることもできます。董事1人の公司では、董事会の職権をその董事が行使し、董事会の規定は適用されません。そのため、第266条第2項の「董事の3分の2以上の出席」は、董事が複数いる通常の場合の要件です。外国法人の株主がこの規定の対象になるかは、本稿では確認していません。
増資後の手続き
会計士の査核。 増資の登記には、会計士が資本額を査核した報告書が必要です。会社は、資本額変動表と、現金の払込みなどの明細表を、会計士に送ります(会計士査核簽証公司登記資本額辦法第2条)。
変更登記。 登記事項の変更は、変更後15日以内に、主管機関へ申請します(公司登記辦法第4条)。
規費。 増資の登記の規費は、増加した資本額4,000元につき1元で、1,000元に満たない場合は1,000元です(公司登記規費収費準則第3条)。
外国人投資の変更。 外国人が投資している公司の増資は、投資計画の変更に当たる場合があります。外国人投資条例第8条第1項は、投資計画を変更するときも、承認の申請が必要だと定めています。
手順
- 増資の額、方法(現金、債権、技術など)を決める。
- 有限公司は株主の同意を取る。股份有限公司は董事会で決議する。
- 股份有限公司は、原則として新株の10〜15%を従業員に保留し(45%以上の外国人投資人は除外できる場合がある)、残りを既存株主に割り当てる。
- 出資を受ける。現金は銀行の口座に払い込む。
- 会計士に資本額変動表と明細表を送り、査核報告書を取得する。
- 外国人投資の公司は、投資計画の変更の承認を確認する。
- 変更登記を、変更後15日以内に申請し、規費を納める。
注意点
- 有限公司では、増資に同意しても、元の持分比率に応じて出資する義務はありません。
- 従業員保留の10〜15%は、条文上の原則です。専案で認められた場合、外国人投資人の持株が45%以上で現金増資をする場合(外国人投資条例第15条第2項)、公積の資本組入れなどの場合は除きます。
- 登記は、変更後15日以内です。
- 増資と同時に定款を変更する場合は、株主総会の決議の要件を確認します。
よくある質問
台湾子会社の増資には、誰の決議が必要ですか。
有限公司は株主の議決権の過半数、股份有限公司は董事会(董事の3分の2以上の出席、出席者の過半数)です。政府または法人の株主1人の公司は、公司法第128条の1を確認します。
新株は、親会社だけが引き受けられますか。
従業員への保留分を除き、既存株主に持株比率で優先的に割り当てます。既存株主が引き受けない分は、特定の人に引き受けさせることもできます(第267条)。
登記はいつまでですか。
変更後15日以内です(公司登記辦法第4条)。
増資の登記の規費は。
増加した資本額4,000元につき1元、最低1,000元です。
出典
- 全國法規資料庫「公司法」第106・156・266・267・277條(2026-10-17 查證):公司發行新股時,應由董事會以董事三分之二以上之出席,及出席董事過半數同意之決議行之。
- 全國法規資料庫「公司登記規費收費準則」第3條、「公司登記辦法」第4條(2026-10-17 查證):增加資本登記…按其所增加之…每新臺幣四千元一元計算。