台湾の株主総会の招集通知と決議の要件|定時総会は20日前・臨時総会は10日前に通知、普通決議は発行済株式の過半数が出席
定時総会は決算後6か月以内に開き20日前に通知。普通決議は発行済株式の過半数が出席して成立する。

台湾の子会社が股份有限公司の場合、株主総会を開く手続きは、公司法で細かく決まっています。株主が日本の親会社1社だけでも、総会の招集の手続きを守らないと、決議が取り消される原因になります。この記事では、公司法の第170条から第189条のうち、総会の種類、招集の通知の期限、決議の要件、委任状、議事録、決議の取消しを整理します。政府または法人の株主が1人だけの会社では、第128条の1により、株主総会の規定が適用されず、董事会が総会の職権を行使します。その場合の運営は、末尾で触れます。有限公司の株主の決議は、公司法の別の規定が定めており、この記事では扱いません。公開発行の会社の特則は、この記事では主に省略します。
あわせて読みたい:台湾の会社法の基本|株主総会は決算後6か月以内、重要決議は3分の2、有限公司は議決権の3分の2
総会の種類と時期
公司法第170条は、株主総会を、株主常会(定時総会)と株主臨時会(臨時総会)の2種類に分けています。定時総会は、毎年少なくとも1回開き、各会計年度の終了後6か月以内に開く必要があります。正当な理由があり、主管機関に申請して認められた場合は、この限りではありません。代表取締役が期限を守らないと、1万元以上5万元以下の罰鍰です。
招集するのは董事会です。公司法に別の定めがある場合は、その定めによります(第171条)。
招集の通知
第172条は、通知の期限を次のように定めています。
| 総会 | 通知の期限 | 公開発行の会社 |
|---|---|---|
| 定時総会 | 20日前 | 30日前 |
| 臨時総会 | 10日前 | 15日前 |
通知には、招集の事由を書きます。相手方の同意があれば、電子メールなどの電子的な方法で通知できます(同条第4項)。
次の事項は、招集事由の中に列挙して主要な内容を説明する必要があり、臨時動議として出せません。董事・監察人の選任と解任、定款の変更、減資、董事の競業の許可、利益や積立金の資本組入れ、会社の解散、合併、分割、第185条第1項の各号の事項(営業全体の賃貸や委託経営、営業や財産の全部または主要部分の譲渡、他社の営業や財産の譲受で運営に重大な影響があるもの)です(第172条第5項)。
通知の規定に違反すると、代表取締役に1万元以上5万元以下の罰鍰が科されます。公開発行の会社は、24万元以上240万元以下です(同条第6項)。
株主の提案と招集請求
発行済株式の1%以上を持つ株主は、定時総会の議案を1つ提案できます(第172条の1)。また、1年以上継続して発行済株式の3%以上を持つ株主は、書面で事項と理由を示して、董事会に臨時総会の招集を請求できます。請求から15日以内に董事会が通知を出さなければ、株主は主管機関の許可を得て、自分で招集できます(第173条)。
決議の要件
第174条は、株主総会の決議を、発行済株式の総数の過半数を代表する株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数が賛成して行うと定めています。
出席が定足数に足りなくても、発行済株式の3分の1以上を代表する株主が出席していれば、出席株主の議決権の過半数の賛成で、「仮決議」ができます。仮決議は各株主に通知し、1か月以内に総会を再度招集します。その総会に、発行済株式の3分の1以上の株主が出席し、出席株主の議決権の過半数が賛成すれば、前条の決議とみなされます(第175条)。
定款の変更などの特別な決議は、別の定足数があります。定款変更は、第277条により、複数の株主がいる会社では、発行済株式の3分の2以上を代表する株主の出席と、出席株主の議決権の過半数の賛成が必要です。
委任状
株主は、総会ごとに、授権の範囲を書いた委任状を出して、代理人に出席させられます(第177条第1項)。信託事業や株務代理機関などを除き、1人が2人以上の株主から同時に委任された場合の議決権は、発行済株式の議決権の3%を超えられず、超える部分は計算されません。1人の株主が出せる委任状は1通、委任できる代理人は1人です。委任状は、総会の5日前までに会社に届けます。
委任状を会社に出した後、株主が自分で出席する、または書面か電子的な方法で議決権を行使する場合は、総会の2日前までに、書面で委任の撤回を会社に通知します。
議事録と決議の取消し
総会の議決事項は、議事録にまとめ、議長が署名または押印し、総会の後20日以内に、各株主に分発します(第183条第1項)。議事録は、会社が存続する間、永久に保存します。出席株主の署名簿と、委任状の保存期間は、少なくとも1年です。
総会の招集の手続きや決議の方法が、法令や定款に違反した場合、株主は、決議の日から30日以内に、裁判所に決議の取消しを求められます(第189条)。決議の内容が法令や定款に違反するときは、決議は無効です(第191条)。第185条第1項の事項(営業の譲渡など)は、発行済株式の3分の2以上を代表する株主の出席と、出席株主の議決権の過半数の賛成が必要です。
法人株主1人の会社の場合
政府または法人の株主1人だけの股份有限公司は、第128条の1第1項により、株主総会に関する規定が適用されず、株主総会の職権を董事会が行使します。日本の親会社が100%出資する台湾子会社が、ここでいう「法人股東」に当たるかは、この記事では確認していません。当たらない場合や、株主が複数いる場合は、この記事の手続きに従います。
手順
- 総会の日程を決め、定時総会は決算後6か月以内に収まるか確認する。
- 定時総会は20日前(臨時総会は10日前)までに、株主へ通知する。
- 通知に、招集の事由を書き、第172条第5項の事項は列挙して内容を説明する。
- 出席者数を確認し、決議の要件(過半数の出席など)を満たすか確かめる。
- 議事録を作り、議長が署名し、総会の後20日以内に株主へ分発する。
- 議事録、署名簿、委任状を、期間に合わせて保存する。
注意点
- 通知を電子的に行うには、相手方の同意が必要です。
- 決議の取消しの訴えは、決議の日から30日で期限が切れます。
- 決議の要件は、決議の内容ごとに異なります。この記事では代表的なものだけを扱います。
よくある質問
定時総会は、いつまでに開きますか。
各会計年度の終了後6か月以内です(公司法第170条第2項)。
招集の通知は、何日前に出しますか。
定時総会は20日前、臨時総会は10日前です(第172条)。
日本の親会社が100%株主の場合も、総会が必要ですか。
政府または法人の株主1人の会社には、総会の規定が適用されず、董事会が職権を行使します(第128条の1)。外国法人がこれに当たるかは、確認が必要です。
総会の決議に手続き違反があったらどうなりますか。
決議の日から30日以内に、株主が裁判所に取消しを求められます(第189条)。
出典
- 全國法規資料庫「公司法」第170・171・172・173條(2026-10-19 查證):股東常會之召集,應於二十日前通知各股東。
- 全國法規資料庫「公司法」第174・175・177・183・189條(2026-10-19 查證):股東會之決議,除本法另有規定外,應有代表已發行股份總數過半數股東之出席。