台湾の職場のセクハラ防止措置|10人以上は申訴の窓口、30人以上は防止規定と懲戒、違反の罰鍰は最高100万元
10人以上は申訴窓口、30人以上は防止措置・懲戒規範を掲示する義務。30人以上の違反は2万〜30万元の罰鍰。

台湾の子会社で従業員を雇う日本の会社は、規模に応じて、セクハラを防ぐための措置を取る義務があります。根拠は、「性別平等工作法」(以下、性平法)です。この法律は、雇う人数に応じて、申訴窓口の設置、防止措置の策定、掲示、事件を知ったときの対応を、雇主に義務づけています。この記事では、第13条を中心に、雇主の義務、被害を受けた人の申訴の期限、違反したときの罰鍰を整理します。性平法のほかの内容(生理休暇、育児休業など)は別の記事で扱います。セクハラの該当性の判断や、個別の調査の方法は、この記事では扱いません。
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人数別の防止措置の義務
性平法第13条第1項は、雇主がセクハラの発生を防ぐための適切な措置を取るよう求め、その内容を、雇う従業員の人数で分けています。
| 従業員の人数 | 義務 |
|---|---|
| 10人以上30人未満 | 申訴窓口を定め、職場で公開して掲示する |
| 30人以上 | セクハラ防止措置、申訴、懲戒の規範を定め、職場で公開して掲示する |
10人未満の雇主には、第13条第1項の具体的な義務は書かれていません。
防止措置の内容には、セクハラの態様、防止の原則、教育訓練、申訴窓口、申訴の調査手続き、申訴処理単位の基準と構成、懲戒の扱いなどを含めるよう、第13条第6項が定めています。具体的な準則は、中央主管機関が別に定めています。
セクハラを知ったときの雇主の対応
第13条第2項は、雇主がセクハラの状況を知ったとき、直ちに有効な是正と救済の措置を取ると定めています。被害者と加害者が別の事業所の人で、共同作業や取引の関係があるときは、加害者の雇主にも同じ義務があります。
雇主が被害者の申訴を受けて知った場合は、次の4つを行います。
- 申訴人が再びセクハラを受けないようにする措置を取る。
- 申訴人に、相談、医療、心理カウンセリング、社会福祉の資源などを提供または紹介する。
- セクハラ事件を調査する。
- 加害者に、適切な懲戒や処理を行う。
申訴を受けずに知った場合は、事実関係を確認し、被害者の意思に応じて申訴の提起を手伝い、仕事の内容や場所を適度に調整し、被害者の意思に応じて相談や医療などを提供または紹介します。
調査は、客観、公正、専門の原則で行い、当事者に十分な陳述と弁明の機会を与え、何度も同じことを聞かないようにします(第13条第3項)。雇主が被害者の申訴を受けたときは、地方主管機関に通知します。調査でセクハラと認められた事件は、処理の結果も地方主管機関に通知します(同条第4項)。
申訴の窓口と期限
第32条の1は、従業員や求職者がセクハラを受けた場合、まず雇主に申訴するよう定めています。次の場合は、直接、地方主管機関に申訴できます。
- 被申訴人が、最高責任者または雇用人である。
- 雇主が申訴を処理しない、または、被申訴人の雇主が行った調査や懲戒の結果に不服がある。
地方主管機関への申訴の期限は、被申訴人の立場で異なります。
| 被申訴人 | 知ったときから | 行為が終わったときから |
|---|---|---|
| 権勢のある地位でない | 2年を超えると受理されない | 5年を超えると受理されない |
| 権勢のある地位にある | 3年を超えると受理されない | 7年を超えると受理されない |
申訴人が、セクハラ発生時に未成年だった場合は、成年になった日から3年以内に申訴できます。被申訴人が最高責任者または雇用人の場合は、申訴人が離職した日から1年以内に申訴できます。ただし、行為が終わってから10年を超えると受理されません。
違反したときの罰鍰
性平法第38条の1は、次のように罰鍰を定めています。
| 違反の内容 | 罰鍰 |
|---|---|
| 第13条第2項(事件を知ったときの措置)の違反 | 2万元以上100万元以下 |
| 第13条第1項第2号(30人以上の防止措置、申訴、懲戒規範の定めと掲示)の違反 | 2万元以上30万元以下 |
| 第13条第1項第1号(10人以上30人未満の申訴窓口)の違反。期限付きの改善命令に従わない場合 | 1万元以上10万元以下 |
罰鍰を受けた場合は、雇主の名称、負責人の氏名、処分日、違反した条文、罰鍰の額が公表されます(同条第6項)。また、最高責任者または雇用人が、セクハラをしたと地方主管機関に認定された場合は、1万元以上100万元以下の罰鍰です(第38条の2)。
手順
- 従業員の人数を数え、10人以上、30人以上のどちらに当たるかを確認する。
- 10人以上なら申訴窓口、30人以上なら防止措置・申訴・懲戒の規範を、書面で作る。
- 作った規範や窓口を、職場の見やすい場所に掲示する。
- セクハラを知ったときの、調査と救済の担当者を決めておく。
- 申訴を受けたら、地方主管機関へ通知し、セクハラと認定された事件は処理の結果も通知する。
- 防止の教育訓練を行う。
注意点
- 社内に申訴の処理単位を設ける場合、その人員には、性別平等の意識を持つ専門家を入れることが、第13条第3項に定められています。
- 申訴を雇主が処理しなければ、被害者は地方主管機関に直接申訴できます。
- 最高責任者または雇用人が被申訴人の場合は、従業員が地方主管機関へ直接申訴できます(第32条の1第1項ただし書)。
よくある質問
従業員が12人の台湾子会社でも、セクハラ防止の義務がありますか。
あります。10人以上30人未満の雇主は、申訴窓口を定め、職場に公開して掲示します(性平法第13条第1項第1号)。
30人以上の場合は、何が増えますか。
防止措置、申訴、懲戒の規範を定め、職場で公開します(同項第2号)。
被害者が地方主管機関へ直接申訴する場合、いつまでに申訴できますか。
地方主管機関への申訴は、被申訴人が権勢のある地位でなければ、知ったときから2年以内です(第32条の1)。
事件を知ったのに何もしなかったら。
第13条第2項の違反として、2万元以上100万元以下の罰鍰になることがあります(第38条の1)。
出典
- 全國法規資料庫「性別平等工作法」第13・32-1條(2026-10-19 查證):僱用受僱者三十人以上者,應訂定性騷擾防治措施、申訴及懲戒規範,並在工作場所公開揭示。
- 全國法規資料庫「性別平等工作法」第38-1・38-2條(2026-10-19 查證):處新臺幣二萬元以上一百萬元以下罰鍰。