台湾の就業規則(工作規則)|30人以上で作成義務・30日以内の届出と12項目の記載事項
30人以上を雇う雇用主は工作規則を作成し、30日以内に届出。違反は2万〜30万元の罰金。
台湾の就業規則に当たる「工作規則」は、勞動基準法に作成の義務が定められています。台湾の勞動基準法第70条は、雇用する労働者が30人以上の雇用主に、工作規則を作ることを求めています。台湾に拠点を置く日本企業が、従業員数が増えたときに見落としやすい点を、条文にもとづいて整理します。
作成義務のある人数
勞動基準法第70条は、雇用主が雇用する労働者が30人以上の場合に、事業の性質に応じて、定められた事項について工作規則を作り、主管機関に届けて核備(確認の記録)を受けたうえで、公開して掲示するよう求めています。
人数の数え方は、勞基法施行細則第37条第2項によって、同第22条の1第1項に従います。それによると、同じ雇用主が雇う、勞基法が適用される労働者の人数で数え、分支機構(支店や事業所)の雇用人数を含みます。
届出の期限
施行細則第37条第1項は、雇用主が雇用する労働者が30人に達したときに、直ちに工作規則を作り、30日以内に、所在地の主管機関に届けて核備を受けるよう定めています。届出先は所在地の主管機関(労働局)です。支店がある場合の届出先は、この記事では調べていません。
工作規則は、法令、労使協議、管理制度の変更に応じて適時に改め、改めた後も同じ手続きで届け出ます。主管機関が必要と認めるときは、雇用主に改定を通知できます(施行細則第37条第3項、第4項)。
記載する12項目
勞基法第70条は、次の事項を挙げています。
| 号 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 労働時間、休憩、休日、国定紀念日、特別休暇、継続的な業務の交替制の方法 |
| 2 | 賃金の基準、計算方法、支給日 |
| 3 | 労働時間の延長 |
| 4 | 手当と賞与 |
| 5 | 守るべき規律 |
| 6 | 勤怠、休暇、賞罰、昇進 |
| 7 | 採用、解雇、資遣(整理解雇)、離職、退職 |
| 8 | 災害・傷病の補償と見舞金 |
| 9 | 福利厚生 |
| 10 | 労使が守る労働安全衛生の規定 |
| 11 | 労使が意見を交わして協力を強める方法 |
| 12 | その他 |
条文は「事業の性質に応じて」と定めており、全ての項目を同じ詳しさで書くことまでは求めていません。
工作規則が無効になる場合
勞基法第71条は、工作規則が、法令の強制規定または禁止規定、またはその事業に適用される団体協約の規定に違反するときは、無効と定めています。たとえば、法令の基準を下回る休暇の日数や賃金の定めを、規則に書いても、その部分は効力を持ちません。
違反したときの罰則
勞基法第79条第3項は、第70条に違反した場合、2万元以上30万元以下の罰金と定めています。主管機関は、事業の規模、違反した人数、違反の情状に応じて、罰金を最高額の2分の1まで加重できます(同条第4項)。罰金を受けた場合、主管機関は、事業単位の名称、責任者の氏名、処分の日、違反した条文、罰金の額を公表し、期限を定めて改善を命じます。期限内に改善しなければ、回数ごとに処罰されます(第80条の1第1項)。
手順
- 同一の雇用主の、勞基法が適用される労働者の人数を、分支機構の人数を含めて数える。
- 30人に達したら、直ちに工作規則の作成に着手する。
- 第70条の12項目を、事業の性質に合わせて起案する。
- 法令の強制規定・禁止規定に反していないか、休暇や賃金の基準を見直す。
- 30人に達してから30日以内に、所在地の主管機関へ届け出る。
- 核備を受けた後、工作規則を公開して掲示する。
- 法令や制度が変わったときは、適時に改め、再び届け出る。
注意点
- 数える人数は、「同一雇用主」が雇う勞基法適用の労働者の人数で、支店や事業所の分も含みます。
- 「核備」の具体的な書式や、提出先の窓口は、地方政府の労働局によって異なる可能性があります。窓口に問い合わせて確認します。
- 30人未満の事業所に、工作規則の作成義務は条文上ありません。ただし、労使のルールを文書にしておくこと自体は妨げられません。
- 就業規則に当たる文書の言語は、条文では特に定めていません。
よくある質問
台湾で工作規則が必要なのは何人からですか。
勞基法第70条により、雇用する労働者が30人以上のときです。
届出の期限はいつですか。
30人に達したときに、直ちに作り、30日以内に主管機関へ届け出ます(施行細則第37条第1項)。
支店の人数も数えますか。
数えます。施行細則第22条の1第1項は、分支機構の雇用人数を含めると定めています。
工作規則に法令より不利な定めを書いたらどうなりますか。
法令の強制規定・禁止規定に違反する部分は、無効です(勞基法第71条)。
出典
- 全國法規資料庫「勞動基準法」第70・71・79・80-1條(2026-10-17 查證):雇主僱用勞工人數在三十人以上者,應依其事業性質,就左列事項訂立工作規則。
- 全國法規資料庫「勞動基準法施行細則」第22-1・37條(2026-10-17 查證):雇主於僱用勞工人數滿三十人時應即訂立工作規則,並於三十日內報請當地主管機關核備。