台湾の定年と強制退職の規定|強制退職は65歳または心身障害、旧制の自請退職は55歳・15年など
雇主が強制退職できるのは満65歳か心身障害で働けない場合のみ。旧制の退職金は最大45基数。

台湾の勞働基準法第54条は、雇主が労働者を強制的に退職させられる場合を、満65歳に達したとき、または心身障害で仕事を続けられないときの2つに限っています。65歳の基準は、労使の協議で後ろへずらせます。危険な仕事や強い体力が必要な仕事などの特殊な性質の仕事は、事業単位が中央主管機関に報告して調整できますが、55歳を下回ることはできません。台湾の子会社の就業規則に退職の条項を置くときは、この枠に収まっているかを条文で確認します。
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強制退職の2つの場合(第54条)
雇主が強制退職を命じられるのは、次のいずれかに限られます。
- 満65歳に達したとき
- 心身障害で、仕事を続けるのに耐えられないとき
1の年齢は、労使が協議して後ろへ延ばせます。また、危険や強い体力が必要といった特殊な性質の仕事は、事業単位が中央主管機関に報告して年齢を調整でき、その下限は55歳です。
労働者の自請退職(第53条)
以下の第53条・第55条・第56条は、勞基法の退職金制度(旧制)が適用される労働者の規定です。勞工退休金条例(新制)が適用される労働者には、第53条の自請退職の条件、第55条の基数、第56条の退職準備金は当てはまりません。新制の給付は、後述の第24条によります。
労働者が自分から退職できる場合は、次の3つです。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 勤続15年以上で、満55歳に達した |
| 2 | 勤続25年以上 |
| 3 | 勤続10年以上で、満60歳に達した |
退職金の計算(第55条、旧制)
勞基法の退職金の基準は、勤続年数に応じた「基数」で決まります。
- 勤続1年ごとに2基数。ただし15年を超える部分は、1年ごとに1基数。総数は最高45基数まで
- 半年未満は半年に数え、半年以上は1年に数える
- 基数の基準は、退職を認めたときの1か月の平均工資
- 心身障害で強制退職された人で、その障害が職務の遂行によるときは、20%を加給する
- 雇主は、退職の日から30日以内に支払う。一括で払えない場合は、主管機関の承認を得て分割できる
たとえば勤続20年の労働者の基数は、15年分の30基数に、超過5年分の5基数を加えて、合計35基数です。この計算は、条文にもとづく試算です。
勞基法の退職金制度(旧制)が適用される労働者がいる雇主は、勞工の月額の給与総額の2%から15%の範囲で、毎月、退職準備金を提撥して専用の口座に入れる必要があります(第56条)。新制の労働者については、雇主は個人専用の口座に毎月拠出します(勞工退休金条例第6条)。
労工退休金条例(新制)との関係
労工退休金条例(新制)は、勞基法の適用を受ける本国籍の労働者、台湾の国民と結婚して居留する外国人、永住許可を得て台湾で働く外国人などに適用されます(第7条)。雇主は、適用される労働者のために、毎月、個人専用の口座に退職金を拠出します(第6条)。給付は、満60歳に達した労働者が請求でき、実際に拠出した年資が15年以上なら、月退職金と一時退職金のどちらかを選べ、15年未満なら一時退職金です(第24条)。外国専門人材法による退職金制度の扱いは、別稿の外国専門人材法の記事で整理しています。
手順
- 台湾子会社の就業規則と雇用契約に、定年(または退職の条項)が、勞基法第54条の範囲内か確認する。
- 労働者が、勞基法の退職金制度の対象か、労工退休金条例(新制)の対象(第7条)かを確認する。
- 労働者から自請退職の申出があったら、第53条の3つの条件のどれに当たるかを確認する。
- 旧制の労働者の退職金は、基数と退職時の平均工資で計算し、30日以内に支払う。新制の労働者は、60歳から請求できる(条例第24条)。
- 旧制の労働者がいる場合は、退職準備金の専用口座の残高を、年度の終了前に見直す。
注意点
- 第54条は、雇主が強制退職できる場合を2つに限っています。65歳より前の一方的な退職は、心身障害の場合を除き、この条文が認める場合に当たりません。
- 特殊な性質の仕事で年齢を下げる場合も、事業単位が中央主管機関に報告して調整するもので、下限は55歳です。
- 新制(労工退休金条例)の退職金と、勞基法の退職金は仕組みが違います。どちらの対象か、労働者ごとに確認します。
- 条文は勞基法の2024年7月31日修正版にもとづきます。
よくある質問
台湾の定年は何歳ですか。
「定年」という名称の規定は見当たりませんが、第54条が、雇主が強制退職できる場合を、満65歳に達した場合か、心身障害で働けない場合に限っています。
労働者が自分から退職金をもらって辞められるのは何歳ですか。
勤基法の旧制では、勤続15年以上で55歳、勤続25年以上、勤続10年以上で60歳のいずれかです(第53条)。新制の労働者は、満60歳から請求できます(勞工退休金条例第24条)。
退職金の最高額はどう決まりますか。
旧制(勞基法)の退職金は、勤続1年ごとの基数で計算し、最高は45基数です。基数は、退職を認めた時の1か月の平均工資です。新制の労働者は、個人専戸の積立残高を満60歳から請求します(勞工退休金條例第24条)。
退職金はいつまでに払いますか。
旧制の退職金は、退職の日から30日以内です(第55条)。
出典
- 全國法規資料庫「勞動基準法」第53〜56條(2026-10-17 查證):勞工非有下列情形之一,雇主不得強制其退休:一、年滿六十五歲者。二、身心障礙不堪勝任工作者。
- 全國法規資料庫「勞工退休金條例」第6・7・24條(2026-10-17 查證):勞工年滿六十歲,得依下列規定之方式請領退休金。