台湾の関係者借入の利息の損金算入|所得稅法第43条の2は関係人への負債が業主権益の3倍を超えると超過分の利息を損金不算入、関係企業の判定に20%・10%・半数などの基準
関係人への負債が業主権益の3倍を超えると、超過分の利息は損金にできない。比率は申告で開示(免除あり)。

日本の親会社から台湾の子会社へ資金を貸し付けるとき、子会社が親会社に払う利息を、台湾の税務上の費用にどこまで認めてもらえるかは、親子間の貸借の大きさと、子会社の資本の大きさの比率で決まります。台湾の所得稅法は、関係人への負債が大きすぎる場合に、利息の損金算入を制限する規定を置いています。この記事では、所得稅法の第43条の2と、営利事業対関係人負債之利息支出不得列為費用或損失查核辦法(以下、辦法)、営利事業所得稅査核準則の第97条にもとづいて、制限の内容、関係人と負債の範囲、計算の方法、申告での開示、利息の認定の基準を整理します。移転価格の調整や、金融機関への適用は、この記事では扱いません。
あわせて読みたい:台湾の会社法の基本|株主総会は決算後6か月以内、重要決議は3分の2、有限公司は議決権の3分の2
制限の内容
所得稅法第43条の2第1項は、2011年度から、営利事業の関係人への負債が、業主権益に対して一定の比率を超える場合、超えた部分の利息の支出を、費用や損失にできないと定めています。営利事業は、結算申告のとき、関係人への負債が業主権益に占める比率と関連情報を、申告書に開示します(同条第2項)。
銀行、信用合作社、金融持株会社、票券金融会社、保険会社、証券商は、この規定の対象外です(同条第4項)。
比率の基準
辦法第5条第3項は、関係人への負債が業主権益に占める比率の基準を、3対1と定めています。比率は、当年度の毎月の平均の関係人への負債の合計を、当年度の毎月の平均の業主権益の合計で割って計算します。
比率が3対1を超える場合に、費用にできない利息は、次の式で求めます(辦法第5条第1項)。
不得列為費用の利息 = 当年度の関係人への利息支出の合計 ×(1 − 比率の基準 ÷ 実際の比率)
たとえば、実際の比率が6対1の場合、利息支出のうち、(1 − 3÷6)=2分の1が、費用にできません。(算術は本稿のものです。)
関係人の範囲
辦法第3条は、関係人を、関係企業と、関係企業以外の関係人に分けています。関係企業の判断基準には、次のようなものがあります。
- 一方が他方の議決権のある株式または資本額の20%以上を直接または間接に持つ。
- 同じ人が、双方の議決権のある株式または資本額の20%以上を持つか支配している。
- 持株の割合が最も高く、かつ10%以上である。
- 執行業務の株主または董事の半数以上が同じである。
- 董事長や総経理が同一人か、配偶者や2親等以内の親族である。
- 非金融機関の営利事業が、他方の営利事業に対して、資金の融通や保証の金額が、その総資産の3分の1以上である。
関係企業以外の関係人には、営利事業の董事、監察人、総経理、副総経理などの幹部、董事・監察人・総経理の配偶者、董事長・総経理の2親等以内の親族などがあります(辦法第3条第4項)。
負債の範囲
辦法第4条第1項は、関係人への負債を、営利事業が関係人から取得した、元本の返済と利息の支払いが必要な資金とし、次を含むと定めています。
- 関係人が提供した借入。
- 関係人が非関係人を通じて提供した借入。
- 非関係人が提供した借入で、関係人が連帯して保証しているもの。
- その他の負債の性質を持つ資金調達。
次の場合は、関係人への負債に含まれません(同条第2項)。第1号は、営利事業が、営業収入と営業外収入の合計が財政部の定める標準以下であること、利息支出の合計と関係人への利息支出がどちらも財政部の標準以下であること、利息を引く前の課税所得が赤字で、その欠損に所得稅法第39条第1項ただし書(過去の欠損の繰越控除)が適用されないこと、のいずれかに当たる場合の、関係人への負債です。このほか、準則第97条で資本支出または繰延費用になる利息に対応する負債(第2号、第3号)と、財政部が認めた負債(第4号)も含まれません。
業主権益
辦法第4条第3項は、業主権益を、台湾に本店がある営利事業では、貸借対照表の純資産の総額とすると定めています。純資産が、払込資本と、額面超過で発行した株式の資本準備金との合計より小さいときは、その合計額を使います。
申告での開示と書類の保存
ただし、辦法第4条第2項第1号の各目(営業収入などが財政部の標準以下/利息支出の合計と関係人への利息支出がどちらも標準以下/利息を引く前の課税所得が赤字で、その欠損に所得稅法第39条第1項ただし書が適用されない)のいずれかに当たる場合は、開示を免れます(辦法第7条第1項)。以下は、免除に当たらない場合の説明です。
辦法第7条は、関係人との間で資金を使う取引がある場合、結算申告で、関係人への負債が業主権益に占める比率と関連情報を、規定の様式で開示し、関連書類を保存して、稽徴機関の調査に備えるよう求めています。
保存する書類には、資本・準備金・利益剰余金の変動の説明、負債の性質と目的、負債の通貨、金額、利率、期限、融資条件、担保の条件、保証人と条件、同種・同期間の貸付の利率などがあります。
開示や書類の保存をしなかった場合は、稽徴機関が、調べた資料にもとづいて、比率を決められます。
準則第97条の利息の扱い
営利事業所得稅査核準則第97条は、利息の費用の認定に、次のような規定を置いています。
- 非営業のための借入の利息は認めない(第2号)。
- 営業人が、借入に利息を払いながら、貸し出しに利息を取らない、または払った利息より低い場合は、貸し出しに相当する利息や差額を認めない(第11号)。
- 金融業以外からの借入の利息のうち、利率の標準を超える部分は認めない。標準は、財政部の各地区国税局が、市場の利率を参考に提案し、財政部が決める(第14号)。
手順
- 関係人(親会社など)からの借入、保証つき借入など、関係人への負債の範囲を整理する。
- 当年度の毎月の平均の、関係人への負債と、業主権益を計算する。
- 比率が3対1を超える場合は、辦法第5条の式で、費用にできない利息を計算する。
- 結算申告で、比率と関連情報を開示する(免除の場合を除く)。
- 利率や融資条件を示す書類を保存する。
注意点
- 比率の基準は、辦法で3対1です。
- 営業収入などが小さい場合や、赤字で繰越控除(所得稅法第39条第1項ただし書)の適用がない場合などは、関係人の負債に含まれません(辦法第4条第2項第1号)。
- 利息の支出には、利息のほか、担保費、貸出承諾費なども含まれます(辦法第5条第2項)。
よくある質問
親会社への利息は全額、費用にできますか。
関係人への負債が業主権益の3倍以内であれば、制限を受けません。超えた場合は、超過分の利息が費用にできません(所得稅法第43条の2、辦法第5条)。
比率は、どの時点の数字で計算しますか。
当年度の毎月の平均の関係人への負債と、毎月の平均の業主権益で計算します(辦法第5条第3項)。
開示は必要ですか。
結算申告で、比率と関連情報を開示します。ただし、辦法第4条第2項第1号の各目(営業収入などが財政部の標準以下/利息支出の合計と関係人への利息支出がどちらも標準以下/利息を引く前の課税所得が赤字で、その欠損に所得稅法第39条第1項ただし書が適用されない)のいずれかに当たる場合は、開示を免れます(所得稅法第43条の2第2項、辦法第7条第1項)。
出典
- 全國法規資料庫「所得稅法」第43條之2(2026-10-19 查證):營利事業對關係人之負債占業主權益超過一定比率者,超過部分之利息支出不得列為費用或損失。
- 全國法規資料庫「所得稅法」第39條、「營利事業所得稅查核準則」第97條(2026-10-19 查證):得將經該管稽徵機關核定之前十年內各期虧損,自本年純益額中扣除後,再行核課。
- 全國法規資料庫「營利事業對關係人負債之利息支出不得列為費用或損失查核辦法」第2・3・4・5・7條(2026-10-19 查證):負債占業主權益之比率標準為三比一。