台湾の有限公司で持分を譲渡するときの同意と登記|他の株主の議決権の過半数、董事の持分は3分の2以上、強制執行は20日以内に受け皿を指定
有限公司の持分譲渡は、他の株主の議決権の過半数の同意が必要。董事は3分の2以上。

日本の親会社が、台湾の有限公司の持分を、グループ内の別会社や外部に売却する、あるいは共同出資者から持分を譲り受ける場合は、有限公司特有の同意の手続きがあります。有限公司は、人的な結びつきが強い会社形態で、株式の自由譲渡が原則の股份有限公司とは、ルールが異なります。この記事では、公司法の有限公司の章にもとづいて、持分を譲渡するときに必要な同意の割合、不同意の株主の優先受譲権、強制執行による譲渡の扱い、定款の変更と登記の流れを整理します。持分譲渡に関わる税金、外国人投資の承認の手続きは、この記事では扱いません。
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持分譲渡に必要な同意
公司法第111条は、持分の譲渡について、次のとおり定めています。
| 譲渡する人 | 必要な同意 |
|---|---|
| 一般の株主 | 他の株主の議決権の過半数の同意(第1項) |
| 董事である株主 | 他の株主の議決権の3分の2以上の同意(第2項) |
出資の全部または一部のどちらを譲渡する場合も、この同意が必要です。議決権の数え方は、第102条により、原則として、出資額に関係なく、株主1人に1票です。ただし、定款で、出資額の比率に応じて議決権を配分する定めにもできます。
同意の割合は、譲渡する株主自身を除いた、他の株主の議決権で数えます。たとえば、議決権が1人1票で、株主が3人(A、B、C)の会社で、Aが持分を譲渡するなら、BとCの2票の過半数、つまり2票(BとCの両方)の同意が要ります。株主が4人なら、他の3票のうち2票です。(算術は本稿のものです。)
不同意の株主の優先受譲権
第111条第3項は、譲渡に同意しない株主に、優先受譲権を与えています。その株主が、譲渡の条件で持分を引き受けない場合は、譲渡に同意したものとみなされ、定款の株主と出資額の記載を修正することにも同意したものとみなされます。つまり、反対する株主は、自分で買うか、譲渡を認めるかの、どちらかを選ぶ形になります。
強制執行による譲渡
裁判所が、強制執行の手続きで、株主の出資を他人に移すときは、会社と他の株主に通知しなければなりません。通知を受けた後20日以内に、株主は、第1項または第2項の方法で、受け皿となる譲受人を指定します。期限内に指定しない、または指定した譲受人が同じ条件で引き受けない場合は、譲渡に同意し、定款の株主と出資額の記載を修正することにも同意したものとみなされます(第111条第4項)。
定款の変更と登記
有限公司の定款には、株主の名前と、各株主の出資額が記載されます(第101条第1項第3号、第4号)。持分が譲渡されると、定款のこの部分が変わります。定款の変更は、第113条により、株主の議決権の3分の2以上の同意が必要です。ただし、第111条第3項により、不同意の株主が優先受譲権を行使せず、譲渡に同意したとみなされる場合は、定款の修正に同意したとみなされます。
変更後は、変更登記を申請します。変更登記を申請する期限は、変更の日から15日以内です(公司登記辦法第4条)。
株式の譲渡との違い
株主が日本の親会社1社だけの有限公司(1人株主)は、他に同意をする株主がいません。その場合、持分の全部を別の会社へ譲渡する場面では、他の株主の同意という手続きはありません。ただし、譲渡の事実を定款と登記に反映する手続きは必要です。
股份有限公司は、公司法に別の定めがない限り、株式の譲渡を定款で禁止したり制限したりできません。ただし、設立登記の後でなければ譲渡できません(第163条)。有限公司からの組織変更で股份有限公司にする方法は、別の記事で扱います。
手順
- 譲渡する持分の範囲(全部か一部か)と、相手を決める。
- 他の株主に通知し、議決権の過半数の同意を得る。譲渡する人が董事の場合は、3分の2以上の同意。
- 同意しない株主には、優先受譲権を行使する機会を与える。
- 同意が整ったら、譲渡契約を結び、定款の株主と出資額を修正する。
- 変更後15日以内に、変更登記を申請する。
- 外国人が関わる場合は、外国人投資の承認や届出の要否を、別に確認する。
注意点
- 株主の人数が少ない有限公司では、1人の反対でも、手続きが長引くことがあります。
- 定款で、持分の譲渡の条件を別に定めている場合は、その定めと公司法の規定を、あわせて確認します。
- 譲渡に同意しない株主がいても、優先受譲権を行使しないと、同意したとみなされます。
よくある質問
有限公司の持分は、自由に売れますか。
いいえ。他の株主の議決権の過半数の同意が必要です(公司法第111条第1項)。
董事が持分を売る場合は。
他の株主の議決権の3分の2以上の同意が必要です(第111条第2項)。
反対する株主は、譲渡を止められますか。
反対する株主には優先受譲権があり、自分が買い取らなければ、譲渡に同意したとみなされます(同条第3項)。
裁判所の強制執行で持分が移る場合は。
通知を受けた後20日以内に、受け皿の譲受人を指定します(同条第4項)。
出典
- 全國法規資料庫「公司法」第101・102・111・113條(2026-10-19 查證):股東非得其他股東表決權過半數之同意,不得以其出資之全部或一部,轉讓於他人。
- 全國法規資料庫「公司登記辦法」第4條(2026-10-19 查證):變更後十五日內,向主管機關申請為變更之登記。