台湾の残業時間の上限|1日12時間・月46時間、労使の同意があれば月54時間・3か月138時間(30人以上の事業所はこの枠を使うとき届出が必要)
残業は月46時間まで。工会か労資会議の同意があれば月54時間・3か月138時間まで。

台湾の子会社で残業が必要になったとき、時間の決め方は、台湾の労働基準法に従う必要があります。労働基準法は、残業の許可の手続き、1日と1か月の上限、災害時の特例、記録の保存を、第30条から第32条で細かく定めています。この記事では、残業をさせるための手続きと時間の上限を、条文で整理します。残業代の割増率は別の記事(台湾の労働時間と残業代)で、補休(代休)は別の記事で扱います。
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残業をさせるための手続き
労働基準法第32条第1項は、雇主が労働者を正常な労働時間より長く働かせる必要があるとき、工会の同意を得て、工会がない事業所では、労資会議の同意を得れば、労働時間を延長できると定めています。つまり、雇主が単独で、残業を命じる権限を持つわけではなく、労使の同意が前提です。労資会議の運営は、別の記事で扱います。
時間の上限
第32条第2項は、延長した労働時間と正常な労働時間を合わせて、1日12時間を超えてはならないと定めています。また、延長する時間は、次の上限があります。
| 場合 | 1か月の上限 | 3か月の上限 |
|---|---|---|
| 原則 | 46時間 | 条文に定めなし |
| 工会(工会がなければ労資会議)の同意を再度得た場合 | 54時間 | 138時間 |
54時間の上限を使う場合も、工会(なければ労資会議)の同意が前提です。
30人以上の事業所の届出
第32条第3項は、雇主が雇う労働者が30人以上で、54時間・138時間の上限を使って延長する場合は、所在地の主管機関に届け出るよう定めています。30人未満の事業所には、この届出の義務は書かれていません。
休息日の労働の扱い
第36条第3項は、休息日(週に2日ある休みのうちの、例假でない1日)に働かせた時間を、第32条第2項の延長した労働時間の合計に含めるよう定めています。休息日に働かせた時間も、月46時間(または54時間)の枠に入るため、平日の残業と休息日の労働を合算して管理する必要があります。ただし、災害や突発的な事件で、休息日に働かせる必要があるときは、この上限の対象になりません。
災害など緊急時の延長
第32条第4項は、天災、事変、突発的な事件で、正常な労働時間以外に働かせる必要があるとき、雇主が延長できると定めています。ただし、延長が始まってから24時間以内に、工会に通知する必要があります。工会がない場合は、主管機関に届け出ます。延長した時間は、事後に、労働者へ適当な休息を補って与えなければなりません。坑内で働く労働者の時間は延長できませんが、監視が主な仕事や、第4項の場合は例外です(第5項)。
出勤記録
第30条第5項は、雇主が労働者の出勤記録を備え、5年間保存するよう定めています。記録は、日ごとに、分の単位まで記載します(同条第6項)。労働者が出勤記録の写しを求めたとき、雇主は断れません。
違反の罰則
第32条に違反した場合、第79条第1項により、2万元以上100万元以下の罰鍰です。出勤記録の違反(第30条第5項)は、第79条第2項により、9万元以上45万元以下の罰鍰です。主管機関は、事業の規模、違反した人数、情節に応じて、罰鍰を法定の最高額の2分の1まで加重できます(第79条第4項)。
手順
- 残業が必要な部門と、1か月あたりの想定時間を整理する。
- 工会があれば工会の、なければ労資会議の同意を得る。
- 月46時間を超えそうな場合は、54時間・138時間の枠を使う同意を得る。
- 30人以上の事業所は、54時間・138時間の枠を使う場合に、主管機関へ届け出る。
- 平日の残業と休息日の労働を合算して、月の累計を管理する。
- 出勤記録を日ごと、分の単位で残し、5年間保存する。
注意点
- 1日の合計12時間の上限は、月の上限とは別に適用されます。
- 休息日の労働は、残業の累計に入りますが、休日(祝日)の労働の扱いは、この記事では確認していません。
- 責任制など、労働時間の規定の適用除外になる職種は、別の記事で扱います。
よくある質問
台湾の残業は、月に何時間までですか。
原則として46時間までです。工会(なければ労資会議)の同意を得れば、月54時間、3か月138時間までです(労働基準法第32条第2項)。
1日あたりの上限は。
正常な労働時間と延長時間を合わせて12時間です(第32条第2項)。
労働者が自発的に残業した場合も、上限に入りますか。
条文は、雇主が延長させる場合の上限を定めています。労働者の自発的な残業を、どう扱うかは、この記事では確認していません。出勤記録で実際の時間を把握し、上限を超えないようにします。
休息日の出勤は、残業の時間に入りますか。
入ります(第36条第3項)。
出典
- 全國法規資料庫「勞動基準法」第30・32・32-1・36條(2026-10-19 查證):延長之工作時間,一個月不得超過四十六小時。
- 全國法規資料庫「勞動基準法」第79條(2026-10-19 查證):處新臺幣二萬元以上一百萬元以下罰鍰。