台湾の会社の資金貸与と保証の制限|貸せるのは取引先か短期融資、短期融資は貸し手の純資産の40%まで、保証は法律か定款に定めがある場合だけ
会社の資金の貸付は原則禁止。例外は取引先と短期融資で、短期融資は貸し手の純資産の40%まで。

台湾の子会社が、日本の親会社や関連会社にお金を貸したり、グループの借入のために保証を出したりするとき、台湾の公司法の制限に当たることがあります。台湾の会社が、資金を貸す側や保証する側になる場合は、公司法第15条と第16条が、原則として禁止しています。この記事では、2つの条文の例外、違反した負責人の責任、貸し手と借り手の立場による違いを整理します。上場や公開発行の会社に適用される特別の準則や、グループ内の資金管理(キャッシュ・プーリング)の税務は、この記事では扱いません。
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資金の貸与の制限
公司法第15条第1項は、会社の資金を、株主や他の誰にも貸してはならないと定めています。ただし、次の2つの場合は例外です。
- 会社間、または会社と商号の間に、業務上の取引がある場合。
- 会社間、または会社と商号の間に、短期の融資が必要な場合。融資額は、貸し手の企業の純資産の40%を超えてはいけません。
つまり、取引関係のない関連会社への貸付や、株主への貸付、個人への貸付は、原則として認められません。短期の融資は、必要性が前提で、金額に上限があります。条文は、「短期」の期間の長さを示していません。この記事では、期間の基準を確認していません。
違反したときの責任
第15条第2項は、負責人がこの規定に違反して貸し付けた場合、借りた人と連帯して返還する責任を負うと定めています。会社に損害が出た場合は、負責人が損害賠償の責任も負います。ここでいう負責人は、有限公司と股份有限公司では董事です(公司法第8条第1項)。さらに、会社の経理人、清算人、監察人なども、職務の範囲では負責人になります(同条第2項)。
また、第8条第3項により、董事でなくても、実質的に董事の業務を執行する人、または、会社の人事、財務、業務の運営を実質的に支配して、董事に業務の執行を指示する人は、董事と同じ民事、刑事、行政罰の責任を負います。ただし、政府が経済の発展などのために、政府が指名した董事に出した指示は、対象外です。
保証の制限
第16条第1項は、他の法律または会社の定款が、保証をすることを認めている場合を除き、会社は、誰の保証人にもなってはならないと定めています。負責人がこれに違反した場合は、負責人が自分で保証の責任を負い、会社に損害が出たときは賠償の責任も負います(第2項)。
日本の親会社の銀行借入のために、台湾の子会社が保証を出す場合は、定款にその定めがあるかを確認する必要があります。定款に定めがない場合、台湾の子会社の保証は、この条文で制限されます。
逆の方向の取引
第15条と第16条は、台湾の会社が資金を貸す側や保証をする側になる場面の制限です。台湾の会社が、日本の親会社から資金を借りる場合は、この条文の貸与の制限には当たりません。外国人投資条例第4条は、投資の定義の中に、投資した事業に1年以上の貸付をすることを含めています。親会社の貸付と投資の承認の関係は、別の記事で扱います。
他の規定との関係
会社の資金の貸付や保証は、法人税、関連者との取引の価格(移転価格)、営業税とも関わります。この記事では、これらの税務の扱いを確認していません。
手順
- 台湾の会社が資金を出す取引(貸付、保証、担保の提供)を洗い出す。
- 貸付の相手と、会社との業務上の取引の有無を確認する。
- 短期の融資の場合は、必要性を整理し、貸付額が貸し手の純資産の40%以内に収まるかを計算する。
- 保証を出す場合は、他の法律、または定款に定めがあるかを確認する。
- 貸付や保証を決めた根拠を、董事会の議事録などに残す。
- 定款に保証の定めがなければ、保証を出す前に、定款の変更の要否を検討する。
注意点
- 40%の上限は、貸し手の企業の純資産を基準にします。純資産の算定の時点や方法は、条文には書かれていないため、この記事では確認していません。
- 取引先の範囲は、「業務上の往来がある」関係に限られます。
- 負責人は個人として責任を負うため、決議に関わった董事は条文を確認します。
よくある質問
台湾の子会社は、日本の親会社にお金を貸せますか。
原則として貸せません。業務上の取引がある会社間か、短期の融資の必要性があり、貸し手の純資産の40%以内の場合だけです(公司法第15条第1項)。
台湾の子会社は、親会社の借入の保証人になれますか。
他の法律または定款に定めがある場合を除き、なれません(第16条第1項)。
違反するとどうなりますか。
負責人が、借りた人と連帯して返還する責任を負います。保証の場合は、負責人が自分で保証の責任を負います(第15条第2項、第16条第2項)。
親会社から台湾の子会社が借りるのは。
この条文の制限には当たりません。外国人投資条例では、投資した事業への1年以上の貸付が、投資に含まれます(条例第4条)。
出典
- 全國法規資料庫「公司法」第8・15・16條(2026-10-19 查證):公司之資金,除有左列各款情形外,不得貸與股東或任何他人。
- 全國法規資料庫「外國人投資條例」第4條(2026-10-19 查證):對前二款所投資事業提供一年期以上貸款。