台湾の労工保険料率と負担割合|普通事故11.5%・労働者20%・雇用主70%と就業保険
普通事故保険料率は2025年から11.5%。労働者20%、雇用主70%、政府10%で、労災は雇用主が全額負担。

台湾に子会社を設立し、従業員を雇う日本企業は、毎月の人件費に労工保険(労保)の保険料が加わります。台湾の労保は、勞工保險條例で、保険料率、負担の割合、払う期限、滞納の罰則が定められています。この記事では、2026年に適用される保険料率の公告、負担割合の条文、月ごとの計算の手順を、一次資料で整理します。給付の内容や、健康保険の保険料は別稿で扱います。
あわせて読みたい:台湾の全民健保の雇用主負担|保険料率5.17%・雇用主60%と補充保険料2.11%の計算
保険料率
勞工保險條例第13条第1項は、保険料を、被保険者のその月の投保薪資(保険料の算定基準となる月額)と保険料率で計算すると定めています。普通事故保険(疾病や老齢などの給付)の料率は、同条第2項により、被保険者のその月の投保薪資の7.5%から13%の範囲です。2008年の改正施行時に7.5%とし、その後、決められたルールで段階的に引き上げられます。
勞工保險局(勞保局)の「保險費費率及負擔比例」のページには、2025年1月1日から、勞工保險の保険料率は実収11.5%と記載されています。勞保局の保険料試算のページも、料率は2023年1月1日から11%、2025年1月1日から11.5%、また、就業保険の料率は2003年1月1日から1%と整理しています。さらに勞保局は2025年11月24日の公告で、2026年1月1日から第1級の月投保薪資が29,500元に修正されたこと、職業工会・漁会の被保険者の普通事故保険料率が2025年度と同じ11.5%であることを知らせています。
就業保険の料率は、就業保險法第8条により、勞動部が、被保険者のその月の投保薪資の1%から2%の範囲で定めます。勞動部の説明では、2026年の法定の料率は12.5%で、そのうち1%が就業保険の料率です。つまり、勞保の普通事故保険の実収の率が11.5%、就業保険が1%で、合計が12.5%という対応になります。勞動部が2022年に出した発表でも、2023年1月1日からの12%に就業保険の1%が含まれると説明されていました。
職業災害保険(災保)は、2022年5月1日から、勞工職業災害保險及保護法が別に定めています。同法第107条は、勞工保險條例の職業災害保険に関する一部の規定が、同法の施行の日から適用されなくなると定めています。災保の料率は、同法第16条により、業種別の災害料率と、通勤災害の単一料率の2種類で、3年に一度調整され、一定人数以上を雇う投保単位には実績料率が適用されます。この記事は、普通事故保険を中心に説明します。
保険料の負担割合
勞工保險條例第15条第1項第1号によると、雇用主のもとで働く一般の被保険者(第6条第1項第1号から第6号の被保険者)の負担は、次のとおりです。
| 保険 | 被保険者 | 投保単位(雇用主) | 政府 |
|---|---|---|---|
| 普通事故保険 | 20% | 70% | 10% |
| 職業災害保険(勞工職業災害保險及保護法第19条第1号) | 0% | 100% | 0% |
同条第2号以下は、職業工会や漁会の会員など、雇用主がいない被保険者の負担割合を別に定めています。
月ごとの計算例
投保薪資が第1級の29,500元で、勞工保險の料率11.5%の場合の普通事故保険の合計は、29,500 × 0.115 = 3,392.5元です。この条文上の割合を当てはめると、被保険者の負担は約678.5元(20%)、雇用主の負担は約2,374.75元(70%)です。端数の処理は、本稿では確認していません。実際の金額は、勞保局が公開している「月負擔保險費金額表」で確認します。勞保局の試算ページによると、勞工保險の投保薪資は29,500元から45,800元の範囲、職業災害保険の投保薪資の上限は72,800元(2022年5月1日から)です。
外国籍の従業員
勞工保險條例第6条第3項は、同条で定めるこの勞工に、在職の外国籍の従業員が含まれると定めています。一方、就業保險法第5条は、就業保険に加入できる外国人を、台湾に戸籍を持つ国民と結婚し、居留が許可されて台湾で働く外国人などに限っています。したがって、日本人の駐在員が、労保には加入しても、就業保険の対象かどうかは、婚姻や居留の状況で異なります。
払う期限と滞納
保険料は、毎月納めます。被保険者の負担分は、投保単位が給与から差し引いて集め、翌月末までに、雇用主の負担分と合わせて保険者へ納めます(第16条第1項第1号)。
期限を過ぎても15日間の猶予があり、その間に納めなければ、猶予期間の満了の翌日から完納の前日まで、普通事故保険では、1日ごとに納付額の0.1%の滞納金が加算されます。職業災害保険の滞納金は、勞工職業災害保險及保護法第21条により、1日ごとに0.2%(上限は20%)で、率が異なります。滞納金は、納付額の20%が上限です(第17条第1項)。滞納金を加算して15日たっても納めなければ、保険者は訴追します。訴追の日から、保険料と滞納金を納めるまで、給付が一時的に拒否されます(同条第2項、第3項)。
加入手続きと罰則
投保単位は、労働者が入社または離職した当日に、リストを作って保険者へ通知します。効力は、通知した当日から始まります(第11条)。
第72条は、投保単位の次の違反に、罰金を定めています。
- 労働者の加入手続きをしなかった場合:雇用した日から加入の前日(または離職日)まで負担すべき保険料額の4倍の罰金。労働者の損害も賠償する。
- 被保険者が負担すべきでない保険料を、被保険者に負担させた場合:負担すべき保険料額の2倍の罰金。保険料は被保険者に返還する。
- 投保薪資を過少または過大に申告した場合:不足または過大の保険料額の4倍の罰金。
また、投保薪資の調整は、2月から7月に賃金を調整したときは、8月末までに、8月から翌年1月までに調整したときは、翌年2月末までに通知し、通知の翌月1日から効力を生じます(第14条第2項)。
手順
- 従業員が、勞工保險の対象(雇用する人数、国籍など)かを確認する。
- 入社の当日に、投保単位として、勞保局へ加入を通知する。
- 月の賃金の総額を、投保薪資分級表の等級に当てはめて、投保薪資を決める。
- 料率と負担割合(20%・70%・10%)で、被保険者の負担分と雇用主の負担分を計算する。
- 被保険者の負担分を給与から差し引き、翌月末までに雇用主の負担分と合わせて納める。
- 賃金を変更したときは、期限(8月末または翌年2月末)までに、投保薪資の調整を通知する。
- 退職の当日に、退保を通知する。
注意点
- 雇用主が負担すべき保険料を被保険者に負担させると、負担すべき保険料額の2倍の罰金の対象です(第72条)。
- 料率は法定の調整ルールで段階的に引き上げられます。年が変わるときは、勞保局の公告で確認します。
- 第6条第1項第2号が対象にするのは、5人以上を雇う公司・行号の従業員です。5人未満の事業所の扱いは、本稿では確認していません。
- 就業保険の最新の料率と負担割合は、本稿では勞動部の説明にとどまります。
よくある質問
2026年の労工保険(普通事故)の料率はいくつですか。
勞保局は、2025年1月1日から11.5%とし、2026年の公告でも職業工会・漁会の被保険者について同率としています。就業保険は別に1%です。
雇用主と労働者の負担の割合は。
一般の被保険者は、普通事故保険で、労働者が20%、雇用主が70%、政府が10%です。職業災害保険は、別の法律の規定により、雇用主が全額を負担します。
保険料を遅れて払うとどうなりますか。
15日の猶予の後、普通事故保険では1日ごとに0.1%、職業災害保険では1日ごとに0.2%の滞納金が加算され、上限はどちらも20%です。
日本人の駐在員も労保に入りますか。
第6条第3項は、在職の外国籍の従業員を含むと定めています。
出典
- 全國法規資料庫「勞工保險條例」第6・11・13・14・15・16・17・72條(2026-10-17 查證):普通事故保險費由被保險人負擔百分之二十,投保單位負擔百分之七十。
- 勞動部勞工保險局「保險費費率及負擔比例」(2026-10-17 查證):自114年1月1日起,勞工保險保險費率實收11.5%。
- 勞動部勞工保險局「115年勞工保險費分擔金額表公告」(2026-10-17 查證):115年1月1日起,第1級月投保薪資修正為29,500元。
- 全國法規資料庫「就業保險法」第5・8條(2026-10-17 查證):按被保險人當月之月投保薪資百分之一至百分之二擬訂。