台湾の変形労働時間制|2週・8週・4週の3種類、工会か労資会議の同意が必要、2週・8週は週の総労働時間が48時間まで、対象は中央主管機関が指定した業種だけ
変形労働時間制は2週・8週・4週の3種類。労使の同意が必要。2週・8週は週48時間まで。指定業種のみ。

台湾の労働基準法は、1日8時間、1週間40時間を正常な労働時間と定めていますが、一定の業種では、労働時間を週をまたいで分配する「変形労働時間制」を使えます。繁忙期と閑散期の差が大きい事業では、この制度を使うことで、残業代の発生を抑えられる場合があります。ただし、手続きと条件が細かく定められています。この記事では、労働基準法第30条、第30条の1、第36条にもとづいて、3種類の変形労働時間制、同意の手続き、上限、休日の最低日数、出勤記録の義務を整理します。残業の上限は、別の記事で扱います。
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原則:1日8時間・1週40時間
第30条第1項は、労働者の正常な労働時間を、1日8時間、1週40時間を超えてはならないと定めています。この枠を、次の3種類の方法で変えることができます。
| 種類 | 内容 | 条 |
|---|---|---|
| 2週間の変形 | 2週間の中の2日分の正常な労働時間を、ほかの労働日に分配する。分配された日の増加は、1日2時間まで。1週間の総労働時間は48時間まで | 第30条第2項 |
| 8週間の変形 | 8週間の正常な労働時間を分配する。1日の正常な労働時間は8時間まで、1週間の総労働時間は48時間まで | 第30条第3項 |
| 4週間の変形 | 4週間の正常な労働時間を、ほかの労働日に分配する。分配された日の増加は、1日2時間まで。当日の正常な労働時間が10時間に達した場合、延長できる時間は2時間まで | 第30条の1 |
同意の手続きと対象業種
3種類とも、雇主が、工会の同意を得る必要があります。工会がない事業所では、労資会議の同意を得ます(第30条第2項、第3項、第30条の1)。
また、これらの変形労働時間制は、中央主管機関が指定した業種にだけ適用されます(第30条第4項、第30条の1)。どの業種が指定されているかは、中央主管機関の公告で決まります。この記事では、指定業種の一覧を確認していません。
休日の最低日数
通常は、7日ごとに2日の休みを与え、そのうち1日を例假、1日を休息日とします(第36条第1項)。変形労働時間制を使うと、休日の最低日数は次のようになります(第36条第2項)。
- 2週間の変形(第30条第2項):7日ごとに少なくとも1日の例假。2週間の例假と休息日は、合わせて少なくとも4日。
- 8週間の変形(第30条第3項):7日ごとに少なくとも1日の例假。8週間の例假と休息日は、合わせて少なくとも16日。
- 4週間の変形(第30条の1):2週間に少なくとも2日の例假。4週間の例假と休息日は、合わせて少なくとも8日。
女性の夜間労働
第30条の1第1項第3号は、4週間の変形労働時間制を使う場合、妊娠中や授乳中の女性を除き、女性の夜間労働が、第49条第1項の制限(夜間労働の原則禁止)を受けなくなると定めています。ただし、雇主は、必要な安全衛生の設備を提供しなければなりません。
家族の世話のための柔軟な始業時間
第30条第8項は、雇主が、労働者の家族の世話の必要に応じて、1日の正常な労働時間数を変えずに、始業と終業の時刻を1時間の範囲で調整することを、労働者に認めることができると定めています。
出勤記録と賃金
雇主は、労働者の出勤記録を備え、5年間保存します。記録は、日ごとに、分の単位まで書きます(第30条第5項、第6項)。
労働時間の規定の修正を理由に、賃金を減らすことはできません(第30条第7項)。
違反したとき
第30条第1項から第3項、第6項、第7項に違反した場合は、第79条第1項により、2万元以上100万元以下の罰鍰です。出勤記録の備置と保存(第30条第5項)に違反した場合は、第79条第2項により、9万元以上45万元以下の罰鍰です。
手順
- 自社の業種が、中央主管機関の指定業種に当たるかを確認する。
- 2週・8週・4週のどれを使うかを決める。
- 工会(なければ労資会議)の同意を得る。
- 2週間・8週間の変形では週の総労働時間が48時間以内か、4週間の変形では1日の増加が2時間以内で、1日の労働が10時間に達する日の延長が2時間以内か、あわせて休日の最低日数を満たしているかを、シフトごとに確認する。
- 出勤記録を日ごと、分の単位で残し、5年間保存する。
注意点
- 変形労働時間制は、指定業種だけで使えます。指定されていない業種では、使えません。
- 工会がない事業所では、労資会議が同意の主体になります。労資会議の開催義務は、別の記事(台湾の労使会議)にあります。
- 4週間の変形では、1日の増加時間が2時間まで、当日が10時間になった場合の延長も2時間までです。
よくある質問
台湾にも変形労働時間制はありますか。
あります。2週間、8週間、4週間の3種類があり、対象は中央主管機関が指定した業種に限られます(労働基準法第30条、第30条の1)。
誰の同意が必要ですか。
工会の同意です。工会がない事業所では、労資会議の同意です(第30条第2項)。
週の労働時間の上限は。
2週間と8週間の変形では、週の総労働時間が48時間までです(第30条第2項、第3項)。
出勤記録はどのくらい保存しますか。
5年間です(第30条第5項)。
出典
- 全國法規資料庫「勞動基準法」第30・30-1條(2026-10-19 查證):勞工正常工作時間,每日不得超過八小時,每週不得超過四十小時。
- 全國法規資料庫「勞動基準法」第36・79條(2026-10-19 查證):勞工每七日中應有二日之休息,其中一日為例假,一日為休息日。