台湾の従業員への株式付与|員工酬勞は定款に比率を定める、認股権契約は董事会の3分の2出席、権利は譲渡不可、新株の10〜15%は従業員に保留
従業員への株式付与の主な方法は5つ。決議の機関と基準は、方法により異なる。

台湾の子会社で、従業員に株式や現金の報酬を出す仕組みは、台湾の公司法が決めた枠があります。員工酬勞(従業員報酬)は、定款に定めが必要で、認股権の契約には董事会の決議が要ります。この記事では、公司法が認める主な5つの方法、それぞれの要件、決議の割合を整理します。税務(所得税や源泉徴収)は、この記事では扱いません。日本の親会社の株式報酬を、台湾の従業員に出す場合の扱いは、確認していません。
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主な方法の比較
| 方法 | 内容 | 条 |
|---|---|---|
| 員工酬勞 | 当年度の利益の定額または比率で、従業員に株式または現金を分配 | 第235条の1 |
| 認股権契約 | 従業員と契約して、一定期間内に、約定の価格で株式を買う権利を与える | 第167条の2 |
| 自己株式の従業員への譲渡 | 会社が買い取った自己株式を、3年以内に従業員へ譲渡 | 第167条の1 |
| 新株の従業員保留 | 新株発行の10〜15%を従業員が引き受ける(原則) | 第267条第1項 |
| 制限付き従業員新株 | 保留の規定を適用せず、株主総会の決議で発行 | 第267条第9項 |
員工酬勞(第235条の1)
会社は、定款に、当年度の利益の定額または比率で、従業員報酬を分配する旨を定めなければなりません。ただし、累積した損失があるときは、先に補います(第1項)。公営事業は、主管機関が個別に定款での定めを認めた場合を除き、この規定の対象外です(第2項)。
従業員報酬を株式または現金で出す場合は、董事の3分の2以上の出席と、出席董事の過半数の同意による董事会の決議が必要で、株主総会に報告します(第3項)。株式で出す場合は、同じ決議で、新株の発行または自己株式の買取りの方法を選べます(第4項)。定款に定めがあれば、支配会社や従属会社の従業員も対象に含められます(第5項)。
認股権契約(第167条の2)
会社は、法律や定款に別の定めがない限り、董事の3分の2以上の出席と、出席董事の過半数の同意による董事会の決議で、従業員と認股権契約を結べます。契約では、一定期間内に、約定の価格で、特定数量の株式を買う権利を従業員に与え、会社は認股権証を発行します(第1項)。
従業員が得た認股権証は、譲渡できません。ただし、相続は除きます(第2項)。定款に定めがあれば、支配会社や従属会社の従業員を対象に含められます(第3項)。
自己株式の従業員への譲渡(第167条の1)
会社は、董事会の決議(董事の3分の2以上の出席と、出席董事の過半数の同意)で、発行済株式の5%までの範囲で、自己株式を買い取り、3年以内に従業員へ譲渡できます。期限までに譲渡しない株式は、発行していない株式とみなされます。買取りの総額は、保留盈余と実現した資本公積の合計額までです。
新株発行時の従業員保留(第267条)
新株を発行するとき、中央主管機関が個別に認めた場合を除き、新株の総数の10〜15%を、従業員が引き受けるよう保留します(第267条第1項)。従業員が引き受けた株式には、一定期間は譲渡しないという制限を付けられます。ただし、その期間は最長2年です(同条第6項)。
外国人投資条例第15条第2項により、外国人の投資額が資本総額の45%以上の場合は、現金増資での保留の規定を適用しないことができます。
制限付きの従業員新株(限制員工権利新株)を発行する場合は、第267条第1項から第6項の規定が適用されず、発行済株式の3分の2以上を代表する株主が出席する総会で、出席株主の議決権の過半数の同意が必要です(同条第9項)。
法人株主1人の会社の場合
政府または法人の株主1人だけの股份有限公司は、第128条の1により、株主総会の規定が適用されず、董事会が総会の職権を行使します。外国法人の株主が、この規定に含まれるかどうかは、確認できていません。
手順
- 従業員に株式を出す目的と、方法(員工酬勞、認股権、自己株式、新株の保留、制限付き新株)を決める。
- 員工酬勞は、定款に、利益の定額または比率が書かれているかを確認する。
- 方法ごとに、決議の機関と割合を確認する(董事会は3分の2以上の出席と出席董事の過半数、制限付き新株は株主総会)。
- 認股権は、従業員と契約を結び、認股権証を発行する。
- 新株発行の場合は、10〜15%の保留の要否と、外国人投資条例の除外を確認する。
- 員工酬勞を株式または現金で出す董事会の決議は、株主総会に報告する(第235条の1第3項)。
注意点
- 認股権証は、相続以外では譲渡できません。
- 員工酬勞は、累積損失がある年は、先に損失を補います。
- この記事が扱うのは、台湾の会社自身の株式の付与です。日本の親会社の株式を付与する場合は、この記事では確認していません。
よくある質問
従業員に株式を付与するには、何が必要ですか。
方法により異なります。員工酬勞は定款の定め、認股権や自己株式の譲渡は董事会の決議が要ります(公司法第235条の1、第167条の2、第167条の1)。
認股権証は譲渡できますか。
相続以外では譲渡できません(第167条の2第2項)。
新株発行のとき、従業員に株を保留する義務はありますか。
原則として新株の10〜15%を保留します。専案の核定などの例外があります(第267条第1項)。
員工酬勞は、必ず出す必要がありますか。
会社は定款に、利益の定額または比率で従業員報酬を分配する旨を定めなければなりません(第235条の1第1項)。
出典
- 全國法規資料庫「公司法」第167-1・167-2・235-1條(2026-10-19 查證):公司應於章程訂明以當年度獲利狀況之定額或比率,分派員工酬勞。
- 全國法規資料庫「公司法」第267條(2026-10-19 查證):應保留發行新股總數百分之十至十五之股份由公司員工承購。