台湾の電子署名と電子契約の効力|電子簽章法第4条は電子形式だけを理由に効力を否定できないと定め、書面や署名・捺印の要件も電子で満たせる、認証機関の許可制
電子簽章法第4条により、要件を満たす電子文書・電子署名は紙の書面・署名と機能的に同等。

台湾の取引先と、電子契約サービスで契約を結びたい日本企業は、台湾の法律で、電子署名や電子文書が、紙の書面や署名・捺印と同じ効力を持つのかを確認しておく必要があります。台湾の電子簽章法は、この点を定めています。この記事では、電子簽章法の第2条、第4条から第9条、第11条から第18条にもとづいて、用語の定義、電子文書と電子署名の効力、書面や署名の要件を電子で満たす条件、数位簽章の推定、原本と保存、認証機関の規制を整理します。個別の電子契約サービスが、この法律の認証を受けているかは、この記事では扱いません。
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用語の定義
第2条は、次のとおり定義しています。
- 電子文書:文字、音声、画像、記号などの資料を、電子的な方法で作成した記録で、電子処理に用いるもの。
- 電子簽章(電子署名):電子文書に付けられ、関連づけられて、署名者の身分、資格、電子文書の真偽を識別し、確認するもの。
- 数位簽章:電子簽章の一種。電子文書を数学的な演算で一定の長さのデータにし、署名者の秘密鍵で暗号化して電子署名とし、公開鍵で検証でき、認証機関が発行した証明書を持つもの。
- 憑證機構(認証機関):証明書を発行する機関や法人。
電子文書・電子署名の効力
第4条は、電子文書と電子署名が、この法律の規定に合うなら、機能的に、実体の文書と署名と同等であり、電子の形式だけを理由に、法的な効力を否定することはできないと定めています。
書面・署名の要件を電子で満たす
第5条は、次のとおり定めています。
- 文書と署名は、電子文書と電子署名で使用できる(第1項)。
- 法令が書面を求めている場合、内容を完全に表示でき、後で取り出して確認できるなら、電子文書で足りる(第2項)。
- 法令が署名または捺印を求めている場合は、電子署名でよい(第3項)。
これらの使用に相手方がいる場合は、相手方がすでに電子形式を使うことに同意している場合を除き、電子形式を採用する前に、合理的な期間と方法で、相手方に反対の機会を与え、反対しなければ、同意したと推定されることを告げます(第4項)。相手方は、いつでも電子形式を止めると表示できます。ただし、止める前に電子形式で行った法律行為の効力は、影響を受けません(第5項)。
数位簽章の推定
第6条は、数位簽章で電子文書に署名したとき、次の2件を満たせば、本人が自分で署名または捺印したと推定されると定めています。
- 主管機関の許可(第12条または第15条)を受けた認証機関が発行した証明書を使うこと。
- 証明書が、有効期間と使用範囲を過ぎていないこと。
原本と保存
法令が文書の原本または正本の提出を求めている場合、内容を完全に表示でき、後で取り出して確認できるなら、電子文書で足ります。ただし、筆跡や印影の照合など、真偽を識別する必要がある場合や、法令に別の定めがある場合は除きます(第7条第1項)。法令が書面での保存を求めている文書も、同じ条件で、電子文書で保存できます(第8条第1項)。
第11条第1項は、第5条第1項から第3項と第8条第1項の規定は、法律で適用を除外できると定めています。
電子文書の発信・受信の時刻
電子文書の発信時刻は、発信者が管理できない情報システムに入った時刻です。当事者が別に約定した場合は、その約定によります(第9条第1項)。受信時刻は、受信者が指定したシステムに入った時刻などです(同条第2項)。
認証機関の規制
認証機関は、証明書の実務作業基準を主管機関に提出し、許可を受けてからでなければ、証明書の発行サービスを提供できません(第12条第1項)。
主管機関は、期限を決めて改善を命じ、あわせて次の罰鍰を科すことができます。期限までに改善しないと、按次に処罰されます。第16条は、情節が重大なときは、業務の全部または一部の停止もできます。
| 違反 | 罰鍰(科すことができる額) | 根拠 |
|---|---|---|
| 許可を受けていない実務作業基準で、証明書発行サービスを提供した | 100万元以上500万元以下 | 第16条 |
| 許可の基準に従わずにサービスを提供した、変更を許可なしに行った | 5万元以上50万元以下 | 第17条 |
| 基準を公表しない、サービス終了前の通報・通知・移管をしない | 2万元以上20万元以下 | 第18条 |
認証機関がサービスを終了する場合は、終了の日の30日前までに、主管機関に通報し、当事者にも通知します(第13条第1項)。
外国の法律にもとづいて設立・登記された認証機関は、安全の条件が同等で、国際的な互恵または技術連携の原則に合い、主管機関の許可を受けた場合、発行した証明書が、台湾の認証機関の証明書と同じ効力を持ちます(第15条第1項)。
手順
- 契約を電子で結ぶ相手方が、電子形式の利用に同意しているかを確認する。
- 同意がなければ、合理的な期間と方法で、反対の機会を与え、反対しなければ同意とみなすことを告げる。
- 契約の内容が、後で取り出して確認できる形で保存されるようにする。
- 数位簽章を使う場合は、許可を受けた認証機関の証明書を使い、有効期間内か確認する。
- 法令が、電子形式を除外しているかを確認する。
注意点
- 電子署名が有効なのは、この法律の要件を満たす場合です。
- 数位簽章の推定は、許可を受けた認証機関の証明書を使い、有効期間内の場合です。
- 法令が電子形式を除外している文書は、電子で代えられないことがあります。
よくある質問
電子契約は、台湾で有効ですか。
要件を満たす電子文書と電子署名は、機能的に紙の書面と署名と同等で、電子形式だけを理由に効力を否定されません(電子簽章法第4条)。
相手方の同意は必要ですか。
相手方が同意していない場合は、反対の機会を与え、反対しなければ同意したと推定される旨を告げる必要があります(第5条第4項)。
保存も電子でよいですか。
内容を完全に表示でき、後で取り出して確認できるなら、電子文書で保存できます(第8条第1項)。
証明書を発行する会社に規制はありますか。
許可を受けた実務作業基準でなければサービスを提供できません。違反すると、改善命令と罰鍰の対象になり得ます(第12条、第16条)。
出典
- 全國法規資料庫「電子簽章法」第2・4・5・6條(2026-10-19 查證):不得僅因其電子形式而否認其法律效力。
- 全國法規資料庫「電子簽章法」第7・8・9・11・12・13・15・16・17・18條(2026-10-19 查證):憑證機構應檢具憑證實務作業基準,送經主管機關許可後,始得提供簽發憑證服務。