台湾の著作権の基本|登録不要で完成時に発生、職務上の著作は従業員が著作人、保護期間は著作人の死後50年、無断複製は3年以下の懲役か75万元以下の罰金(販売目的は別)
著作権は著作物の完成時に生じ、登録は不要。保護期間は著作人の死後50年。法人は公表後50年。

日本の会社が台湾で広告、ウェブサイト、ソフトウェア、デザインなどを制作したり、日本の制作物を台湾で使ったりするとき、台湾の著作権法が関わります。この記事では、台湾の著作権が発生する時期、日本人の著作が保護される条件、従業員や外注先が作った著作の帰属、保護期間、譲渡と許諾の書き方、侵害の罰則を、著作権法の条文で整理します。商標や特許は別の記事で扱います。個別の著作物が保護の対象になるかどうかの判断や、権利者団体の管理は、この記事では扱いません。
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著作権は完成時に生じる
著作権法第10条は、著作人が著作を完成した時に、著作権を享有すると定めています。登録や届出の手続きは不要です。第3条は、著作権を、著作の完成によって生じる「著作人格権」と「著作財産権」の2つと定義しています。
台湾にも、版面権の登録の制度がありますが、これは、著作財産権のない文字の著述や美術著作を整理して印刷した人の権利(第79条)で、通常の著作権の発生には関わりません。
日本人の著作は保護されるか
第4条は、外国人の著作が台湾の著作権法で保護される条件を、次の2つのどちらかと定めています。ただし、条約や協定に別の定めがあり、立法院が議決したものは、その定めに従います。
- 台湾の領域内で最初に発行された、または、台湾の外で最初に発行されてから30日以内に台湾で発行された。ただし、その外国人の本国が、台湾人の著作を同じ条件で保護し、それが確認された場合に限る。
- 条約、協定、または本国の法令や慣例により、台湾人の著作がその国で著作権を享有できる。
日本の企業が、日本で作った著作を台湾で使う場合、第2号により、台湾人の著作が、その国で著作権を享有できる場合は、その国の著作も、台湾で保護されます。個別の著作に条約の適用があるかは、この記事では確認していません。
従業員と外注先の著作
台湾の著作権法は、誰が著作人かを、契約の有無で分けています。
| 場面 | 著作人 | 著作財産権 |
|---|---|---|
| 従業員が職務上に作った著作(第11条) | 従業員。契約で雇用主を著作人とすれば、雇用主 | 雇用主。契約で従業員とすれば、従業員 |
| 出資して外部に依頼して作らせた著作(第12条) | 受託者。契約で出資者を著作人とすれば、出資者 | 契約で定める。定めがなければ受託者。受託者が持つ場合、出資者は著作を利用できる |
従業員の場合、著作人は従業員になりますが、財産権(複製や公開などの権利)は雇用主が持つのが原則です。外注先に制作を頼む場合は、契約で著作財産権の帰属を決めておかないと、受託者が著作財産権を持ち、発注した会社は「利用できる」立場にとどまります。第11条の「受雇人」には、公務員も含まれます。
保護期間
保護期間は、著作の種類で変わります。
| 著作の種類 | 著作財産権の存続期間 | 条 |
|---|---|---|
| 個人の著作 | 著作人の生存期間と、死後50年 | 第30条第1項 |
| 著作人の死後40年から50年の間に初めて公表された著作 | 公表の時から10年 | 第30条第2項 |
| 法人が著作人の著作 | 公表後50年。創作の完成から50年以内に公表されなければ、完成から50年 | 第33条 |
| 写真、視聴覚、録音、実演の著作 | 公表後50年(創作の完成から50年以内に公表されない場合は完成から50年) | 第34条 |
譲渡と許諾の書き方
第36条は、著作財産権の全部または一部を、他人に譲渡し、または共有できると定めています。譲渡の範囲は当事者の約束で決め、約束が不明な部分は、譲渡していないものと推定されます。
第37条は、著作財産権者が他人に利用を許諾できると定めています。許諾する地域、期間、内容、利用の方法は、当事者の約束で決め、約束が不明な部分は、許諾していないものと推定されます。非専属の被許諾者は、著作財産権者の同意がなければ、さらに第三者に再許諾できません。専属の被許諾者は、許諾の範囲で、著作財産権者の立場で権利を行使でき、自分の名前で訴訟もできます。
契約書では、複製、翻案、公開伝達などの利用の種類、地域(台湾か、日本を含むか)、期間、専属か非専属かを、具体的に書いておくと、不明の部分が「未許諾」と推定されることを避けられます。
侵害の罰則
第91条は、許可なく複製して他人の著作財産権を侵害した人に、3年以下の懲役、拘役、または75万元以下の罰金(併科あり)を科すと定めています。販売や賃貸を目的とした場合は、6か月以上5年以下の懲役で、20万元以上200万元以下の罰金を併科できます。個人の参考のためや、合理的な使用にとどまる場合は、侵害になりません(現行の第91条第4項)。
第91条の項番号に注意が必要です。全国法規資料庫の最新の表示は、2022年5月4日に修正された条文(施行日は行政院が定める。2026年10月19日の時点で未施行)で、個人の参考や合理的な使用の規定は第3項に出ます。施行中の条文では第4項で、第3項は、光ディスクに複製して第2項の罪を犯した場合(6か月以上5年以下の懲役、50万元以上500万元以下の罰金を併科できる)の規定です。
手順
- 制作物ごとに、誰が作ったか(自社の従業員、外注先、日本の親会社)を整理する。
- 外注先が作る場合は、著作人と著作財産権の帰属を、契約書に明記する。
- 台湾で使う著作を日本から持ち込む場合は、台湾で使う権利が許諾に含まれるかを、契約で確認する。
- 他社の素材(画像、フォント、音楽など)を使う場合は、利用の範囲を契約や利用規約で確認する。
- 譲渡や許諾の契約には、地域、期間、利用方法、専属か非専属かを書く。
注意点
- 「受雇人」と「受聘人」を区別する必要があります。個人に制作を委託する場合は、第12条(出資して依頼した著作)が当てはまるかを確認します。
- 契約で定めがない部分は、譲渡も許諾もされていないと推定されます。「一切の権利を譲渡する」といった曖昧な書き方は、範囲が争いになるおそれがあります。
- 台湾向けの契約書では、台湾の著作権法の用語(著作人格権、著作財産権)に合わせて権利を書き分けます。
よくある質問
台湾で著作権を得るために、登録は必要ですか。
不要です。著作人が著作を完成したときに、著作権が生じます(第10条)。
従業員が職務上に作った著作は、会社のものですか。
著作財産権は、原則として会社が持ちます。ただし、著作人は従業員で、契約で変えることもできます(第11条)。
外注した制作物の著作権は、発注した会社のものですか。
契約で定めがなければ、著作財産権は受託者が持ち、発注者は著作を利用できる立場です(第12条)。契約で決めておきます。
保護期間はどれくらいですか。
個人の著作は、著作人の死後50年です。法人が著作人の著作は、公表後50年です(第30条、第33条)。
出典
- 全國法規資料庫「著作權法」第3・4・10・11・12條(2026-10-19 查證):受雇人於職務上完成之著作,以該受雇人為著作人。
- 全國法規資料庫「著作權法」第30・33・34・36・37・91條(2026-10-19 查證):著作財產權,除本法另有規定外,存續於著作人之生存期間及其死亡後五十年。