台湾の補休(代休)|残業や休息日の労働の代わりに休暇を選べる、労働者の希望と雇主の同意が必要、期限に取れなかった分は賃金で精算し30日以内に支払い
補休は労働者の希望と雇主の同意で選べ、働いた時間数分取れる。期限に取れない分は賃金で精算し、30日以内に支払う。

台湾では、残業や休息日の労働をした従業員に、割増賃金を払う代わりに、休暇(補休)を与える方法があります。ただし、雇主が一方的に決められるものではなく、労働者の希望と雇主の同意が必要です。また、期限までに補休が取れなかった分は、賃金に換算して払う必要があります。この記事では、労働基準法第32条の1と同法施行細則第22条の2にもとづいて、補休の要件、時間数の計算、取る順序、期限の決め方、取れなかった分の賃金の支払い、争いになったときの立証責任を整理します。残業の上限や残業代の割増率は、別の記事で扱います。
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補休が選べる場面
労働基準法第32条の1第1項は、雇主が第32条第1項と第2項により労働者を残業させた場合や、第36条の休息日に働かせた場合に、労働者が補休を選び、雇主が同意したときは、働いた時間数にもとづいて補休の時間数を計算すると定めています。
つまり、補休は、次の2つの条件が揃ったときだけ使えます。
- 労働者が、割増賃金ではなく補休を選ぶ意思を示した。
- 雇主が、その選択に同意した。
雇主が、労働者の意思を確認せずに、一方的に補休に切り替えることはできません。
時間数の計算
補休の時間数は、働いた時間数と同じ時間数です。たとえば、休息日に4時間働いて、補休を選び、雇主が同意した場合は、4時間分の補休を取ります。(算術は本稿のものです。)
第32条の1は、補休の時間数を、働いた時間数で計算すると書いています。
補休を取る順序と期限
第32条の1第2項は、補休の期限を、労使が協議して決めると定めています。施行細則第22条の2第1項は、補休を、労働者が残業または休息日に働いた事実が生じた時間の順番に、取らせると定めています。補休の期限が、特別休暇の年度の末日(施行細則第24条第2項で約束した期間)を過ぎる場合は、その年度の末日が、期限の末日になります。
取れなかった分は賃金で精算
補休の期限が来たとき、または労働契約が終了したときに、まだ取れていない時間数は、延長した労働時間、または休息日に働いた当日の賃金の計算基準で、賃金を払わなければなりません(第32条の1第2項)。賃金を払わなければ、第24条(割増賃金)の違反として処罰されます。
施行細則第22条の2第2項は、賃金の支払期限を、次のとおり定めています。
- 補休の期限が来たとき:契約で決めた賃金の支払日、または補休の期限が来た後30日以内。
- 労働契約が終了したとき:直ちに賃金を清算して支払う(施行細則第9条)。
つまり、期限が来たのに補休を取れなかった分を、割増の賃金に換算して払わないと、割増賃金の不払いになります。
立証責任
施行細則第22条の2第3項は、労働者が第32条の1にもとづく権利を主張したとき、雇主が、その権利が存在しないと考えるなら、雇主が証明する責任を負うと定めています。補休の記録(働いた時間、補休を取った日、期限)は、雇主が保存する必要があります。
手順
- 従業員が残業または休息日に働いたら、その時間数を記録する。
- 従業員が補休を希望した場合に、雇主が同意するかを決め、記録を残す。
- 補休の期限を、労使が協議して決める。
- 補休を取らせるときは、働いた事実が生じた順に取る。
- 期限までに取れなかった分は、賃金に換算して、期限後30日以内(または契約で決めた賃金の支払日)に払う。
- 契約が終了するときは、取れていない補休の賃金も、直ちに清算する。
注意点
- 補休は、労働者が希望し、雇主が同意したときに限られます。
- 期限の末日が、特別休暇の年度の末日を超えることはできません。
- 補休の記録がないと、争いになったときに、雇主が不利になります。
よくある質問
残業代の代わりに休暇を与えてもよいですか。
労働者が補休を選び、雇主が同意した場合に限られます(労働基準法第32条の1第1項)。
補休の期限は、誰が決めますか。
労使が協議して決めます。ただし、特別休暇の年度の末日を超えない範囲です(第32条の1第2項、施行細則第22条の2第1項)。
期限に補休を取れなかったら。
働いた当日の賃金の基準で、賃金を払います。期限の後30日以内、または契約で決めた賃金の支払日に払います(施行細則第22条の2第2項)。
争いになったとき、誰が証明しますか。
雇主が、労働者の権利が存在しないことを証明します(施行細則第22条の2第3項)。
出典
- 全國法規資料庫「勞動基準法」第32-1條(2026-10-19 查證):依勞工意願選擇補休並經雇主同意者,應依勞工工作之時數計算補休時數。
- 全國法規資料庫「勞動基準法施行細則」第22-2條(2026-10-19 查證):於契約約定之工資給付日發給或於補休期限屆期後三十日內發給。