台湾の閉鎖性股份有限公司の特徴|株主は50人以下で譲渡制限を定款に定める、技術や労務での出資、議決権の拘束契約、ビデオ総会が可能
閉鎖性株式会社は、株主50人以下で譲渡制限を定款に定める非公開会社。技術や労務で出資でき、総会はビデオ会議も可。

台湾で日本企業と台湾側が合弁会社を作る場合や、スタートアップに出資する場合に、通常の股份有限公司のほかに、「閉鎖性股份有限公司」という選択肢があります。株主の数が少なく、株式の譲渡を制限する会社に、柔軟な運営を認める制度です。この記事では、閉鎖性股份有限公司の定義、設立の特例、特別株、株主総会の運営、議決権の契約と信託を、公司法の第356条の1から第356条の9で整理します。通常の股份有限公司と共通の規定は、別の記事で扱います。具体的な設立の登記の手続きは、この記事では扱いません。
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定義と要件
公司法第356条の1第1項は、閉鎖性股份有限公司を、株主の数が50人を超えず、定款で株式の譲渡の制限を定めた、非公開発行の会社と定義しています。株主の人数は、中央主管機関が、社会経済の状況に応じて増やすことができます(同条第2項)。
閉鎖性の性質は、定款に載せる必要があり、中央主管機関のウェブサイトで公開されます(第356条の2)。
公開発行や有価証券の募集はできません。ただし、証券主管機関が許可した証券会社が営む、株式のクラウドファンディングの場合は、この限りではありません。その場合も、株主の人数と譲渡の制限は守る必要があります(第356条の4)。
設立の特例
第356条の3は、閉鎖性股份有限公司の設立について、次の特例を定めています。
- 発起人は、全員の同意で設立できます。最初に発行する株式は、発起人がすべて引き受けます。
- 出資は、現金のほか、会社の事業に必要な財産、技術、労務でも充当できます。ただし、労務による出資の株式の数は、発行済株式の総数の一定の比率を超えられません。比率は、中央主管機関が定めます。
- 技術や労務で出資する場合は、全株主の同意が必要で、その種類、充当する金額、会社が与える株式数を、定款に書きます。
- 通常の股份有限公司の、発起設立と募集設立の手続きに関する規定(第132条から第149条、第151条から第153条)は適用されません。
現金以外の技術や労務も、定款に書けば出資にできます。
株式の譲渡の制限
株式の譲渡の制限は、定款に書く必要があります(第356条の5第1項)。株券を発行する場合は、その制限を、株券に分かりやすい文字で記載します。株券を発行しない場合は、譲渡する人が、受け取る人に渡す書面に制限を書きます。譲り受ける人は、会社に、定款の写しを求められます。
特別株
第356条の7は、閉鎖性股份有限公司が特別株を発行するとき、定款に定める事項を挙げています。たとえば、配当や残余財産の分配の順序、議決権の制限や、複数議決権、特定の事項に対する拒否権、董事・監察人の選任の権利、普通株への転換、譲渡の制限などです。
株主総会の運営
第356条の8は、閉鎖性股份有限公司の株主総会を柔軟にしています。
- 定款に定めがあれば、ビデオ会議やその他の公告された方法で開催できる。ビデオで参加した株主は、本人が出席したとみなされる。
- 定款に定めがあれば、全株主の同意で、実際に集まらずに、書面で議決権を行使できる。この場合も、株主総会を開いたものとみなされる。
議決権の拘束契約と信託
第356条の9は、株主が、書面の契約で、議決権の共同行使の方法を決められると定めています。また、議決権信託を設定して、受託者が信託契約に従って議決権を行使することもできます。受託者は、定款に別の定めがない限り、株主に限られます。
信託の契約書、株主の氏名や住所、信託する株式の数などは、定時総会の30日前、または臨時総会の15日前までに会社へ送って登記しなければ、会社に対して信託を主張できません。
法人株主1人の場合
政府または法人の株主1人だけの会社は、第128条の1により、株主総会の規定が適用されず、董事会が総会の職権を行使します。日本の親会社が1社で全株を持つ場合の扱いは、この記事では確認していません。
手順
- 株主の数が50人を超えないか、将来の増加の見込みも含めて確認する。
- 定款に、閉鎖性の性質と株式の譲渡の制限を書く。
- 技術や労務で出資する株主がいる場合は、全株主の同意を得て、種類、金額、株式数を定款に書く。
- 特別株や議決権の取決めが必要な場合は、定款に定める。
- 株主総会をビデオ会議や書面で行うなら、定款に定めを置く。
- 議決権信託を設ける場合は、総会の30日前(臨時総会は15日前)までに登記する。
注意点
- 公開発行はできません。将来の上場を考える場合は、通常の会社への変更が必要です。
- 技術や労務での出資の割合の上限は、中央主管機関が定めます。この記事では、上限の数字を確認していません。
- 定款に定めのないビデオ会議や書面決議は、使えません。
よくある質問
閉鎖性股份有限公司は、株主が何人までですか。
50人までです。中央主管機関が、増やすことがあります(公司法第356条の1)。
技術で出資できますか。
できます。全株主の同意が必要で、種類、金額、与える株式数を定款に書きます(第356条の3)。
株主総会は、実際に集まる必要がありますか。
定款に定めがあれば、ビデオ会議で開けます。全株主の同意で書面の議決もできます(第356条の8)。
議決権の取決めは、契約で結べますか。
書面の契約で、共同行使の方法を決められます。信託も設定できます(第356条の9)。
出典
- 全國法規資料庫「公司法」第356-1・356-2・356-3・356-4・356-5條(2026-10-19 查證):閉鎖性股份有限公司,指股東人數不超過五十人,並於章程定有股份轉讓限制之非公開發行股票公司。
- 全國法規資料庫「公司法」第356-7・356-8・356-9條(2026-10-19 查證):股東得以書面契約約定共同行使股東表決權之方式。