台湾の合弁会社で出資比率が持つ意味|1%・3%・過半数の少数株主権と閉鎖性株式会社の株主間契約
株式会社では1%・3%・過半数の持株で請求できる権利が分かれる。有限公司の董事選任は3分の2の同意。
日本企業が台湾の企業と合弁会社を作るときは、出資比率で何ができるかを、先に条文で確認しておきます。台湾の公司法は、株式会社で持株の割合ごとに株主が請求できる権利を定め、有限公司では株主の同意の割合で決まる場面を置いています。この記事では、合弁の出資比率を決める前に見ておきたい条文を、割合ごとに整理します。合弁契約の細かい条項や、外国投資の許可は扱いません。
株式会社の少数株主権
公司法は、持株の割合と、持ち続けた期間で、株主ができることを分けています。
| 持株の条件 | できること | 条文 |
|---|---|---|
| 継続して6か月以上、発行済株式総数の1%以上 | 裁判所に検査人の選任を申し立て、業務の帳簿や財産、特定の取引文書を検査させる | 第245条 |
| 継続して6か月以上、1%以上 | 監察人に対し、董事への会社のための訴訟の提起を請求する。30日以内に監察人が提起しなければ、自ら会社のために提訴できる | 第214条 |
| 継続して1年以上、3%以上 | 董事会に臨時株主総会の招集を請求する。請求後15日以内に董事会が招集の通知を出さなければ、主管機関の許可を得て、自ら招集できる | 第173条 |
| 3%以上 | 董事が会社に重大な損害を与えた、または法令・定款に違反する重大な事項があったのに、株主総会が解任を決議しなかったとき、総会後30日以内に、裁判所へ解任を求める | 第200条 |
| 継続して3か月以上、発行済株式総数の過半数 | 自ら臨時株主総会を招集する | 第173条の1 |
第173条の1の条件は「過半数」です。ちょうど50%の持株は、この文言の対象には当たりません。
董事の選任と集中投票
株式会社が総会で董事を選ぶとき、各株式は選任する人数と同じだけの選挙権を持ち、1人に集中して投票することも、複数人に分散して投票することもできます。得票が多い順に当選します(公司法第198条)。この選挙権の数え方は、条文では、通常の議決権の扱いとは別に定められています。
有限公司の場合
有限公司では、株式会社と違い、同意の割合が条文に書かれています。
- 董事は1人以上3人以下で、株主の表決権の3分の2以上の同意で、行為能力のある株主の中から選びます(第108条第1項)。
- 董事が、会社と同じ種類の業務を自分や他人のために行うときは、全株主に重要な内容を説明し、株主の表決権の3分の2以上の同意が必要です(同条第3項)。
- 株主は、他の株主の表決権の過半数の同意がなければ、出資の全部または一部を他人に譲渡できません。董事の場合は、他の株主の表決権の3分の2以上の同意が必要です。同意しない株主には、優先して譲り受ける権利があり、引き受けなければ譲渡に同意したものとみなされます(第111条)。
閉鎖性株式会社の選択
公司法第356条の1は、株主が50人以下で、定款に株式譲渡の制限を定めた、非公開発行の株式会社を、閉鎖性株式会社と定義しています。合弁には、次の点が参考になります。
- 株主は、書面の契約で、共同して議決権を行使する方法を定められます。また、議決権信託を設定し、受託者が議決権を行使することもできます。この信託契約は、定時総会の30日前または臨時総会の15日前までに会社へ登記しなければ、会社に対抗できません(第356条の9)。
- 定款で、総会をビデオ会議で開く旨を定められます。ビデオ会議で参加した株主は、出席したものとみなされます。全株主の同意があれば、書面で議決権を行使し、実際に集会しない方式も定款で定められます(第356条の8)。
- 技術や労務による出資は、全株主の同意が必要で、定款に種類と金額、会社が与える株数を記載します(第356条の3)。
株主間の契約で議決権をそろえておく方法は、台湾の閉鎖性株式会社では条文で認められています。通常の株式会社や有限公司で同じ方法を使えるかどうかは、本稿では確認していません。
手順
- 合弁会社の形態(株式会社・閉鎖性株式会社・有限公司)を決める。
- 出資比率を決めるときに、自社の持株がどの権利のラインに届くかを、上の表で確認する。
- 50%ちょうどの出資にする場合は、第173条の1の過半数の条件に当たらない点を確認する。
- 閉鎖性株式会社では、議決権の行使方法を書面契約で定め、必要なら議決権信託を設定して、期限までに会社に登記する。
- 持分の譲渡の条件(有限公司では他の株主の同意)を、合弁契約と定款の両方に反映する。
注意点
- 1%と3%の条件には、継続して保有する期間があります。出資直後は、請求できません。
- 第173条の1の持株期間と持株数は、株式の名義書換を停止した時点の持株で数えます。
- 外国人投資の許可や出資比率の制限は、本稿では扱いません。
- 本稿の割合は、公司法の条文のものです。合弁契約で、さらに高い要件を定めることは別に検討します。
よくある質問
台湾の株式会社で、1%の株主ができることは。
継続して6か月以上、1%以上を持つ株主は、裁判所に検査人の選任を申し立てられます(第245条)。また監察人に董事への訴訟提起を請求できます(第214条)。
臨時株主総会を請求するには何%必要ですか。
継続して1年以上、3%以上です(第173条)。過半数を継続して3か月以上持つ株主は、自ら招集できます(第173条の1)。
有限公司の董事は何人選べますか。
1人以上3人以下です(第108条第1項)。
閉鎖性株式会社の株主は何人までですか。
50人以下です(第356条の1)。この人数は、主管機関が増やすことがあります。
出典
- 全國法規資料庫「公司法」第173・173-1・198・200・214・245條(2026-10-17 查證):繼續一年以上,持有已發行股份總數百分之三以上股份之股東。
- 全國法規資料庫「公司法」第108・111條(2026-10-17 查證):股東非得其他股東表決權過半數之同意,不得以其出資之全部或一部,轉讓於他人。
- 全國法規資料庫「公司法」第356-1・356-3・356-8・356-9條(2026-10-17 查證):股東得以書面契約約定共同行使股東表決權之方式。