台湾の減資手続き|有限公司は議決権の過半数の同意、株式会社は株主総会の決議、債権者への通知と30日以上の異議の期間が必要
減資は有限公司が議決権の過半数、株式会社は総会決議。債権者に通知し、30日以上の異議期間を置く。

台湾の子会社の資本金を減らす理由には、累積した損失を整理したい、事業を縮小したい、親会社へ資金を戻したいなどがあります。減資は、資本金を増やす場合とは、必要な決議も、債権者を守る手続きも異なります。この記事では、公司法にもとづいて、有限公司と股份有限公司それぞれの減資の決議、債権者の保護の手続き、株式の換発の期間、登記の前提を整理します。増資の手続きは別の記事で扱います。減資にともなう法人税や、親会社への払い戻しの課税は、この記事では扱いません。
あわせて読みたい:台湾の会社法の基本|株主総会は決算後6か月以内、重要決議は3分の2、有限公司は議決権の3分の2
有限公司の減資
公司法第106条第3項は、有限公司が、株主の議決権の過半数の同意で、減資または股份有限公司への組織変更ができると定めています。同条第4項により、同意しなかった株主も、定款の修正については、同意したものとみなされます。
減資を決議した後、会社は直ちに、各債権者へ個別に通知し、公告を出さなければなりません。債権者が異議を出せる期間として、30日以上の期限を指定します(第107条第3項、第73条第2項)。この期間内に異議を出した債権者に、会社が弁済しない、または相当の担保を出さない場合は、減資を債権者に対抗できません(第74条)。
股份有限公司の減資
股份有限公司の減資は、株主総会の決議が必要です。公司法第168条第1項は、株主総会の決議によらずに、資本を減らして株式を消却してはならず、減資は、株主が持つ株式の割合に応じて行うと定めています。法律に別の定めがある場合は、この限りではありません。
減資のときに、現金以外の財産で株金を返すことができます。その場合は、返す財産とその額を、株主総会が決議し、財産を受け取る株主が同意する必要があります(同条第2項)。財産の価値と額は、董事会が、総会の前に、会計士に査核と簽証を受けます(同条第3項)。負責人がこれらに違反すると、各2万元以上10万元以下の罰鍰です(同条第4項)。
減資の議案は、株主総会の招集の通知の中で、事由として列挙して主要な内容を説明する必要があり、臨時動議として出すことはできません(第172条第5項)。減資にともなって定款の記載を変える場合は、第277条により、複数の株主がいる会社では、発行済株式の3分の2以上を代表する株主が出席し、出席株主の議決権の過半数が賛成します。政府または法人の株主が1人だけの会社は、第128条の1により、株主総会に関する規定が適用されず、董事会が総会の職権を行使します。外国法人がこの規定の対象に当たるかは、この記事では確認していません。
債権者の保護は、有限公司と同じです。第281条は、第73条と第74条(債権者への通知、公告、30日以上の異議の期間)を、減資に準用しています。
損失補填のための減資と増資
第168条の1は、会社が損失を補うため、会計年度の終了前に、減資と増資を同時に行う必要があるときの手続きを定めています。董事会は、財務報表と損失補填の議案を、株主総会の30日前までに監察人へ渡して査核を受け、株主総会に決議を求めます。
株券の換発
減資で新しい株券に替える場合、会社は、減資の登記の後、6か月以上の期間を定めて、各株主へ新しい株券との交換を通知します。期間内に交換しない株主は、株主の権利を失い、会社はその株式を競売して、代金を支払えます(第279条第1項、第2項)。通知の期限を守らないと、負責人は各3,000元以上1万5,000元以下の罰鍰です(同条第3項)。
減資で株式を併合するときの、併合に適さない株式の扱いも、同じ規定が準用されます(第280条)。
登記
資本額の変更の登記には、会計士の査核簽証を受けた資本額の書類が必要です(公司法第7条第2項)。変更後15日以内に、登記を申請します(公司登記辦法第4条)。外国人が投資している会社の減資は、外国人投資条例の投資計画の変更に当たる場合があります(条例第8条第1項)。
手順
- 減資の理由、金額、方法(現金で返すか、損失の補填か)を決める。
- 有限公司は株主の議決権の過半数の同意を、股份有限公司は株主総会の決議を得る。
- 債権者へ個別に通知して公告し、30日以上の異議の期間を指定する。
- 異議を出した債権者には、弁済または担保の提供をする。
- 会計士の査核簽証を受ける。
- 変更後15日以内に、変更登記を申請する。
- 株券を替える場合は、登記の後6か月以上の期間を定めて、株主へ通知する。
注意点
- 債権者への通知と公告を怠ると、減資を債権者に対抗できません。
- 株式会社の減資は、原則として、株主の持株の割合に応じて行います。
- 資本の変更に関わる外国人投資の承認の要否は、別に確認が必要です。
よくある質問
有限公司で減資するには、誰の同意が必要ですか。
株主の議決権の過半数の同意です(公司法第106条第3項)。
債権者には、何を通知しますか。
決議の後、直ちに個別に通知して公告し、30日以上の異議の期間を指定します(第73条第2項、第107条第3項、第281条)。
減資のとき、株券はどうなりますか。
減資の登記の後、6か月以上の期間を定めて交換を通知します(第279条第1項)。
損失を補うための減資と増資は、どう進めますか。
財務報表と損失補填の議案を、総会の30日前までに監察人へ渡して査核を受け、総会に決議を求めます(第168条の1)。
出典
- 全國法規資料庫「公司法」第106・107・73・74條(2026-10-19 查證):公司得經股東表決權過半數之同意減資或變更其組織為股份有限公司。
- 全國法規資料庫「公司法」第168・168-1・279・280・281條(2026-10-19 查證):公司非依股東會決議減少資本,不得銷除其股份。