台湾の保税倉庫・保税工場・物流中心の違い|関税法第58〜60条の3制度、保税工場の自用機械は5年以内に課税区へ出すと補税
保税の制度は関税法第58〜60条に3つ。倉庫は保管、工場は加工輸出の免税、物流中心は保管・配送。

日本の製品を台湾に輸入して、いったん保管してから第三国へ再輸出する、あるいは、台湾で原料を加工して輸出する場合、輸入のたびに関税を払うと、コストが大きくなります。台湾の関税法の第58条から第60条は、輸入貨物に関税を払わずに保管、加工できる制度として、「保税倉庫」「保税工場」「物流中心」の3つを定めています。この記事では、それぞれの制度の目的、免税の範囲、登記と保証金の義務、保税の貨物を国内に出す場合の扱いを、関税法第58条から第60条で整理します。科技産業園区や自由貿易港区の優遇は、別の記事で扱います。設置の要件と保証金の額は、財政部の辦法(保税倉庫設立及管理辦法、海関管理保税工廠辦法)で定められており、主な数字だけ紹介します。
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3つの制度の比較
| 制度 | 目的 | 関税 | 条 |
|---|---|---|---|
| 保税倉庫 | 輸入貨物を引き取る前に、税関の管理する倉庫に保管する | 規定の保管期間内に、元のまま輸出、または整理して輸出すれば免税 | 第58条 |
| 保税工場 | 輸出する製品を作る工場が、輸入した原料を加工して輸出する | 原料の関税を免除 | 第59条 |
| 物流中心 | 保税貨物の保管、転送、配送を行う保税の場所 | 輸入貨物を元のまま、または整理・簡単な加工をして輸出すれば免税 | 第60条 |
保税倉庫
第58条第1項は、輸入貨物を引き取る前に、税関に申請して保税倉庫に入れられると定めています。規定の保管期間内に、元のまま輸出するか、整理し直して輸出すれば、関税は免除されます。倉庫に入れた貨物は、保管期間内に、倉庫の範囲内で、整理、分類、分割、組立、再梱包を行うことを、税関に申請できます(同条第3項)。
保税倉庫を営む事業者は、所在地の税関に登記を申請し、保証金を納めます。資格、条件、設備、保証金の額と種類、手続きは、財政部の辦法が定めます(同条第4項)。
保税工場
第59条第1項は、輸出品の製造工場が、税関の承認を受けて、税関管理の保税工場として登記できると定めています。輸入した原料を保税工場に入れ、製品を作って輸出する場合は、関税が免除されます。
保税工場で作った製品や、関税を免除された原料は、税関の承認を受け、出荷したときの形態で通関して関税を払わない限り、工場から出せません(同条第2項)。
保税工場が輸入する自用の機械、設備も、関税が免除されます。ただし、輸入してから5年以内に、課税区へ出す場合は、輸入貨物の規定に従って、関税を補って納めます(同条第3項)。
物流中心
第60条第1項は、保税貨物の保管、転送、配送を行う保税の場所の事業者が、税関に申請して、物流中心として登記できると定めています。物流中心に入れた貨物は、その業務の必要に応じて、整理と簡単な加工ができます(第2項)。
輸入貨物を物流中心に入れて、元のまま、または整理や簡単な加工をして輸出すれば、関税は免除です。国内の貨物を物流中心に入れた場合は、輸出後に、第63条の規定で、関税の沖退(相殺・還付)の手続きができます(第3項)。物流中心の事業者も、税関への登記と、保証金の納付が必要です(第4項)。
設置の要件と保証金(辦法)
保税倉庫設立及管理辦法は、保税倉庫の設立に、次の条件を定めています。
- 実収資本額が2,000万元以上の股份有限公司であること(政府機関、公営事業、財政部が個別に認めた場合を除く)(第5条第1号)。
- 倉庫の出入口に、24時間録画し、30日以上保存する監視システムを設置すること(同条第3号。港や空港の管制区内の一部の業者は免除される場合がある)。
- 税関に基本の保証金30万元を納めること(第11条第1項。政府機関と公営事業は除く。自主管理が認められた保税倉庫は、営業3年以上で300万元、3年未満で600万元。管制区内などは30万元)。
- 登記後、2年ごとに税関の校正を受けること(第9条第1項)。
保税倉庫に入れた保税貨物の保管期間は、原則として2年が限度で、延長できません。国内の重要な工業の原料、生活必需品、重要な工事の物資、そのほか税関が特殊な理由を認めた場合は、この限りではありません(第45条第1項)。期間内に輸入の申告も、輸出への積み戻しもしないと、滞報費が課され、20日たっても申告しない場合は、貨物が変売の手続きに進みます(同条第2項)。
保税工場は、海関管理保税工廠辦法第4条により、実収資本額が5,000万元以上の股份有限公司で、登記された工場を持つことなどが、登記の条件です。外国の分公司でも、実際に台湾に送金して登記した営業資金が5,000万元以上で、登記された工場があれば、同じ登記を申請できます(同条第2項)。
保税貨物を国内に出す場合
保税工場の製品が、課税区へ出る場合は、出荷の形態で通関して、関税を払う必要があります(第59条第2項)。保税工場の自用の機械設備は、5年以内に課税区へ移すと、補税の対象になります(第59条第3項)。第78条は、保税工場の製品や免税の原料を無断で出荷した場合、または補税せずに自用の機械設備を課税区へ移した場合は、私運貨物の進口として扱い、海関緝私条例の規定で処罰すると定めています。
手順
- 取り扱う貨物の使い方が、保管、加工して輸出、保管・配送のどれに近いかを整理する。
- 保管だけなら保税倉庫、加工なら保税工場、配送を含む物流なら物流中心を検討する。
- 事業者が、所在地の税関に登記を申請し、保証金を納める。要件は財政部の辦法で確認する。
- 保税の貨物を国内(課税区)に出すときは、出荷の形態で通関し、関税を払う。
- 保税工場の自用機械は、輸入から5年以内に課税区へ移す場合に補税が必要か確認する。
注意点
- 関税が免除される制度でも、営業税や貨物税は別の規定で扱われます。この記事では、保税の場合の営業税や貨物税の扱いを確認していません。
- 保税倉庫の保管期間は、原則として2年です。期限を過ぎると、滞報費の対象になります。
- 日本の本社が、台湾の保税倉庫を借りて使う場合の契約は、倉庫の事業者が登記済みであることを確認します。
よくある質問
保税倉庫に入れた輸入貨物に、関税はかかりますか。
規定の保管期間内に、元のまま、または整理して輸出すれば免税です(関税法第58条第1項)。
保税工場の機械は、いつまで免税ですか。
保税工場が輸入する自用の機械設備は免税ですが、輸入後5年以内に課税区へ移すと、関税を補って納めます(第59条第3項)。
物流中心では、加工もできますか。
簡単な加工と整理ができます(第60条第2項)。
保税の事業者は、何を登記しますか。
税関への登記と、保証金の納付が必要です。要件は財政部の辦法で決まります(第58条第4項、第60条第4項)。
出典
- 全國法規資料庫「關稅法」第58・59・60條(2026-10-19 查證):保稅工廠進口自用機器、設備,免徵關稅。但自用機器、設備於輸入後五年內輸往課稅區者,應依進口貨品之規定,補繳關稅。
- 全國法規資料庫「關稅法」第78條(2026-10-19 查證):以私運貨物進口論,依海關緝私條例有關規定處罰。
- 全國法規資料庫「保稅倉庫設立及管理辦法」第5・11・45條(2026-10-19 查證):其存倉期限以二年為限,不得延長。