台湾の科技産業園区と自由貿易港区の税の優遇|設備の輸入は関税・営業税を免除、5年以内に課税区へ出せば追徴
区内事業の輸入設備は関税・営業税が免除されるが、5年以内に課税区へ出せば補徴される。
台湾には、輸出入や貿易を支えるために、税の優遇を受けられる特別な区域があります。経済部が所管する「科技産業園区」と、「自由貿易港区」です。どちらも、区の中の事業に、関税や営業税などの免除を定めていますが、免除の対象、期間、課税区へ出したときの扱いが条文ごとに違います。この記事では、科技産業園区設置管理条例(2023年1月19日修正)と、自由貿易港区設置管理条例(2019年1月16日修正)の条文にもとづいて、日本企業が確認する点を整理します。個別の区の空き状況や賃料は扱いません。
科技産業園区の区内事業
科技産業園区設置管理条例第4条は、区内事業を、承認を得て園区内で製造加工、組立、研究開発、貿易、コンサルティング、技術サービス、倉庫、運輸、荷役、包装、修理を営む事業と、経済部が認める関連事業と定義しています。区内の事業は、園区を管理する管理局(園管局)に設立を申請し、管理局が関係機関とともに審査して決めます。
税の免除
第21条第1項は、区内事業が次の税を免除されると定めています。
- 国外から輸入する自用の機器・設備の進口税捐、貨物税、営業税。ただし、輸入後5年以内に課税区へ出した場合は、進口貨品のルールにより、進口税捐、貨物税、営業税を補徴します。
- 国外から輸入する原料、燃料、物料、半製品、サンプル、実験用の動植物、貿易や倉庫の転運に使う貨品の進口税捐、貨物税、営業税。ただし、課税区へ出す場合は、補徴します。
- 園区内に新築された標準工場、または管理局が法に従って取得した建物の契税。
区内事業が作った保税製品を課税区へ出す場合は、出荷時の形態の価値から付加価値を除いた額に関税を課し、貨物税と営業税も進口貨品のルールで課税されます。課税区へサービスを提供する場合は、営業税が課されます(同条第2項)。
転運業務の所得税
第22条は、区内事業が転運業務を行う場合に、転運業務の収入の10%を営利事業所得額として、営利事業所得税を課すことができると定めています。ただし、総機構(本店)が台湾内にある場合の区内の分支機構には適用されません。
免税貨品が一時的に出る場合
第24条は、区内事業の免税貨品が、修理、テスト、検査、展示、委託加工、サービスの提供で課税区へ出る場合、管理局の承認と税関の検査を経れば、税の担保を出さなくてよいと定めています。出た後6か月以内に区内へ戻して手続きを終える必要があります。戻せなければ、税関へ申告して税を納めます。期間を延ばす場合の展延は、6か月が限度です。
自由貿易港区
自由貿易港区設置管理条例第3条は、自由港区を、国際空港や国際港の管制区域内など、行政院が承認した区域と定義しています。自由港区事業は、承認を得て、貿易、倉庫、物流、コンテナの集散、転口、転運、貨物の運送取扱、通関サービス、組立、再整備、包装、修理、加工、製造、検査、テスト、展覧、技術サービスを行う事業です。
税の免除
第21条は、次の免除を定めています。
- 自由港区事業が国外から自由港区に運び入れる、営業用の貨物:関税、貨物税、営業税、菸酒税、菸品健康福利捐、推広貿易服務費、商港服務費を免除。
- 国外から運び入れる自用の機器・設備:関税、貨物税、営業税、推広貿易服務費、商港服務費を免除。ただし、運び入れた後5年以内に課税区へ出した場合は、進口貨物のルールで追徴されます。
自由港区の事業の設立許可(籌設許可)を得た場合は、籌設期間にもこの免除が適用されます。
課税区からの委託加工
第26条第3項は、課税区の営業人が、自由港区事業または国外の事業の委託を受けて、自由港区が輸入した貨物・機器・設備の修理、テスト、検査、委託加工のサービスを提供し、その貨物・機器・設備の全てを自由港区に戻す場合、そのサービス収入の営業税率はゼロであると定めています。
外国人の控股公司
第14条は、外国人が、自由港区の管理機関に、境外投資を専業とする控股公司(持株会社)の設立を申請でき、この場合は外国人投資条例の規定を適用しないと定めています。
準備・補助的な活動の所得税
第29条第1項は、台湾内で準備または補助的な性質の活動だけを行う営利事業が、自ら、または自由港区事業に委託して、自由港区内で貨物の購買、輸入、保管、運送を行い、管理機関の審査と承認を受けた場合、その貨物の販売所得を営利事業所得税から免除すると定めています。この免税の実施期限は、2042年12月31日(民国131年12月31日)までです(同条第4項)。
手順
- 自社の事業が、科技産業園区の区内事業か、自由港区事業の定義に当たるかを確認する。
- 区の管理機関へ、設立または登記を申請する。
- 免除を受ける機器・設備、原料を整理する。5年以内に課税区へ出す可能性がある物を確認する。
- 課税区へ出す貨物と、一時的に出して戻す貨物(6か月以内)を分ける。
- 持株会社を設立する場合は、自由港区の管理機関に申請する。
- 準備・補助的な活動での免税は、管理機関の審査と承認を受ける。
注意点
- 免除される税目は、区によって異なります。科技産業園区には契税の免除があり、自由港区には菸酒税などが挙げられています。
- 5年以内に課税区へ出すと補徴されます。設備の売却や移転の計画を事前に確認します。
- 所得税の免除は、2042年12月31日までの規定です。
- 区ごとの募集状況や賃料は、本稿では扱いません。
よくある質問
科技産業園区で輸入する機械の税は免除されますか。
自用の機器・設備の進口税捐、貨物税、営業税が免除されます。ただし、輸入後5年以内に課税区へ出した場合は補徴されます(条例第21条)。
自由貿易港区の事業に、営業税の免除はありますか。
国外から運び入れる営業用の貨物と自用の機器・設備について、営業税などが免除されます(自由港区条例第21条)。
免税の貨物を一時的に区の外へ出せますか。
科技産業園区の免税貨品は、管理局の承認と税関の検査を経て、6か月以内に戻す条件で出せます(第24条)。
外国人は、自由港区で持株会社を設立できますか。
境外投資を専業とする控股公司の設立を、管理機関に申請できます(自由港区条例第14条)。
出典
- 全國法規資料庫「科技產業園區設置管理條例」第4・21・22・24條(2026-10-17 查證):區內事業免徵下列各款之稅捐。
- 全國法規資料庫「自由貿易港區設置管理條例」第3・14・21・26・29條(2026-10-17 查證):自由港區事業自國外運入自由港區內之自用機器、設備,免徵關稅、貨物稅、營業稅、推廣貿易服務費及商港服務費。