台湾のマネーロンダリング防止法と企業|金融機関は実質受益人を含む本人確認と5年保存が義務、口座の貸し渡しは禁止、従業員が業務で洗銭罪などを犯すと法人にも10倍以下の罰金(防止に尽力すれば除く)
金融機関は実質受益人を含む本人確認と5年保存が義務。口座の貸し渡しは禁止。従業員の犯罪で法人にも罰金。

台湾で銀行口座を開く日本企業の子会社は、銀行から、会社の実質的な所有者などについて、確認を求められることがあります。これは、台湾の洗銭防制法が、金融機関に本人確認の手続きを義務づけているためです。この記事では、洗銭防制法の第2条、第5条、第7条、第8条、第12条、第14条、第19条、第22条、第23条にもとづいて、法律の対象となる金融機関と事業、本人確認と記録の保存、口座の貸し渡しの禁止、洗銭罪の刑、法人の責任、旅客の現金申告を整理します。仮想資産サービスの規制や、疑わしい取引の届出の細則は、この記事では扱いません。
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対象となる金融機関と事業
第5条は、金融機関に、銀行、信託投資会社、信用合作社、保険会社、証券商、信託業などを挙げています。融資性リース、仮想資産サービスを営む事業も、金融機関の規定が適用されます。
「指定の非金融事業または人員」には、貴金属店、地政士と不動産仲介業の不動産売買に関する行為、弁護士・公証人・会計士が客のために行う一定の取引、信託および会社サービスの提供業(会社の設立に関する事項の準備、会社の董事や秘書の就任や手配、登記住所の提供など)、第三者決済サービスが含まれます(同条第3項)。
本人確認と記録の保存
第8条第1項は、金融機関と指定の非金融事業が、顧客の本人確認の手続きを行い、その手続きで得た資料を保存するよう定めています。この手続きは、リスクにもとづくもので、実質受益人の審査を含みます。
得た資料は、業務関係が終わった時から、少なくとも5年間、保存します。臨時的な取引は、その取引が終わった時から、少なくとも5年間です(第8条第2項)。法律に、より長い保存期間があるときは、その期間によります。
国内外の政府や国際組織で重要な政治的職務に就いている、または就いていた顧客とその家族、近い関係の人には、リスクにもとづいて、強化した顧客審査を行います(同条第3項)。
これに違反した金融機関は、50万元以上1,000万元以下の罰鍰で、按次処罰もあります。指定の非金融事業または人員は、5万元以上500万元以下の罰鍰です(同条第5項)。
内部統制
第7条は、金融機関と指定の非金融事業が、洗銭と資恐のリスクと業務の規模に応じて、内部の統制と監査の制度を作るよう求めています。内容には、作業と統制の手順、定期的な研修、専責の担当者の指名、リスク評価報告書の備置と更新、監査の手順などが含まれます。
一定金額の現金取引の申告
金融機関と指定の非金融事業は、一定金額に達する現金取引について、法務部調査局に申告します(第12条第1項)。具体的な金額は、辦法で定められており、この記事では確認していません。
口座の貸し渡しの禁止
第22条第1項は、何人も、自分または他人が金融機関に開設した口座を、他人の使用のために渡したり、提供したりしてはならないと定めています。ただし、一般の商取引・金融取引の習慣に合う場合、親族や友人の間の信頼関係による場合、その他の正当な理由がある場合は、例外です。
違反した場合は、警察機関が告誡を処分します(第22条第2項)。次のいずれかに当たる場合は、3年以下の有期懲役、拘役、または100万元以下の罰金(併科もあり)です(同条第3項)。
- 対価を約束または受け取った。
- 渡した、または提供した口座が、合計3個以上である。
- 告誡などの処分を受けた後、5年以内に再び違反した。
違反があった場合、金融機関は、その口座を、一定期間、停止または制限、または閉鎖します(同条第5項)。
洗銭罪の刑
第19条第1項は、第2条が定める洗銭の行為について、3年以上10年以下の有期懲役、1億元以下の罰金(併科)と定めています。洗銭の財物または財産上の利益が1億元に満たない場合は、6か月以上5年以下の有期懲役、5,000万元以下の罰金(併科)です。未遂も処罰されます(同条第2項)。
法人の責任
第23条第1項は、法人の代表者、代理人、従業員などが、業務の執行のために、第19条から第22条の罪を犯した場合、行為者を処罰するほか、その法人にも、10倍以下の罰金を科すと定めています。ただし、法人の代表者や自然人が、犯罪の発生を防ぐための努力を尽くしていた場合は、除かれます。
旅客の現金申告
旅客や乗務員が出入国するときに、一定金額に達する外貨、新台湾ドル現金、有価証券、金などを持つ場合は、税関に申告します(第14条第1項)。貨物、宅配便、郵便で運ぶ場合も同様です(同条第2項)。一定金額は、辦法で定められており、この記事では確認していません。
手順
- 銀行に口座を開く際、会社の実質受益人の情報を説明できるように準備する。
- 口座や口座番号を、他人の使用のために渡さない。
- 従業員に、口座の貸し渡しの禁止を周知する。
- 現金の持ち込みや持ち出しがある場合は、税関への申告の基準を確認する。
- 金融機関や指定事業に当たる場合は、内部統制の制度と、5年の記録保存を整える。
注意点
- 本人確認の義務を負うのは、金融機関と指定の非金融事業です。一般の事業会社は、銀行からの確認に応じる立場です。
- 口座の貸し渡しは、3個以上、対価、再犯の場合に刑事罰になります。
- 法人は、防止のための努力を尽くしていれば、10倍以下の罰金の対象から外れます。
よくある質問
銀行はなぜ、実質的な所有者まで聞くのですか。
洗銭防制法第8条第1項が、本人確認に、実質受益人の審査を含めると定めているためです。
確認資料は、どのくらい保存されますか。
業務関係が終わった時から、少なくとも5年です(第8条第2項)。
会社の口座を、他社に使わせてもよいですか。
第22条第1項が、口座を他人の使用のために渡すことを禁じています。例外は、一般の商取引の習慣などに合う場合に限られます。
従業員が洗銭罪を犯したら、会社も罰せられますか。
業務の執行のために犯した場合は、法人に10倍以下の罰金が科されることがあります。防止のための努力を尽くしていれば除かれます(第23条第1項)。
出典
- 全國法規資料庫「洗錢防制法」第5・7・8條(2026-10-19 查證):其確認客戶身分程序應以風險為基礎,並應包括實質受益人之審查。
- 全國法規資料庫「洗錢防制法」第12・14・19・22・23條(2026-10-19 查證):任何人不得將自己或他人向金融機構申請開立之帳戶交付、提供予他人使用。