日本本社と台湾子会社の間の取引価格が、第三者間の価格とかけ離れていると、どちらかの国で利益が少なすぎると見なされ、課税調整を受ける可能性があります。

対象になる取引の例

  • 製品の売買
  • ロイヤルティ(商標・技術)
  • 経営指導料・サービス料
  • 貸付金の利息

基本の考え方

  • 独立企業間価格(第三者と取引した場合の価格)で設定する
  • 価格の根拠を説明できる資料を残す
  • 一定規模以上は文書化が求められる(日台双方)

実務

  • 取引の契約書を作る → 契約書
  • 源泉税との関係 → 源泉徴収
  • 会計士・税理士と価格設定方針を決める

台湾の法律上の根拠

所得稅法第43条の1

台湾の「所得稅法」第43条の1では、国内外のほかの会社と支配・従属の関係にある会社が、収益・費用・損益の配分について通常の取引条件と異なる取り決めをして納税を逃れたり減らしたりした場合、税務機関は財政部の承認を得て、通常の取引条件にもとづいて所得を調整できるとしています。

この規定の細かいルールは、財政部の「營利事業所得稅不合常規移轉訂價查核準則」(移転価格の調査の基準、以下「査核準則」)で定められています。

3種類の文書(三層文據)

財政部高雄国税局の説明によると、台湾では2017年度(106年度)の申告から、OECDの考え方にもとづく3種類の文書の仕組みを導入しています。

文書 内容 対象(財政部の基準) 期限
移転価格報告(ローカルファイル) 台湾の会社自身の取引の分析 関係者と取引する会社(下の免除基準あり) 申告の時までに用意(査核準則第22条)
集團主檔報告(マスターファイル) グループ全体の組織・事業・無形資産・資金調達など 収入総額30億台湾ドル以上、かつ国外の関係者との取引総額15億台湾ドル以上 会計年度終了後1年以内に提出(第21条の1)
國別報告(国別報告書) 国ごとの収入・利益・納税額・従業員数など グループの前年の連結収入が270億台湾ドル以上の場合など(最終親会社の所在国の制度によって異なる) 会計年度終了後1年以内に提出(第22条の1)

日本に最終親会社がある場合、日本で国別報告書を提出し、日台の間で情報交換ができれば、台湾の子会社は台湾で提出しなくてよい場合があります。ただし、日台の間で国別報告書の情報交換が実際に行われているかどうかは、この記事では確認できていません(未確認)。

移転価格報告の免除基準

財政部臺北国税局の説明(2025年度の申告について)では、次のどれかに当たる会社は、移転価格報告の代わりに、価格が通常の取引条件に合っていることを示すほかの資料(替代文據)を用意すればよいとしています。

  1. 年間の収入総額が3億台湾ドル未満
  2. 年間の収入総額が3億以上5億台湾ドル未満で、税の優遇や繰越欠損金の控除が一定額以下であり、かつ国外の関係企業との取引がない
  3. 上のどちらにも当たらないが、年間の関係者との取引総額が2億台湾ドル未満

日本本社と取引をしている子会社は国外の関係企業と取引しているため、2には当たりません。1か3に当たるかどうかを確認します。

移転価格報告に書く内容(査核準則第22条)

第22条では、移転価格報告に少なくとも次の内容を入れるとしています。 1. 会社の概要:事業の歴史、事業活動と戦略、業界と経済の状況、主な競合、移転価格に影響する要因 2. グループの組織と管理体制:組織図、取締役・監査役・経営者の名簿など 3. 関係者との取引のまとめ:取引の流れ・日付・対象・数量・価格・契約条件、相手方の国・地域ごとの取引金額、グループ内の重要な契約書の写し 4. 取引の分析:各当事者の機能とリスクの分析、比較対象の選定、最も適切な独立企業間価格の算定方法とその理由、検証の結果 5. 関係報告書など(公司法第369条の12) 6. その他、価格に影響する資料

税務調査のときの期限

第22条では、税務機関が調査をするとき、会社は書面の調査通知が届いた日から1か月以内に移転価格報告(または替代文據)を出さなければならないとしています。特別な事情があれば、期限前に申請して1回だけ最長1か月延長できます。外国語の資料には中国語訳が必要です(税務機関が英語版を認めた場合を除く)。

申告のときの開示(第21条)

第21条では、法人税の申告のときに、関係企業・関係者の資料、支配関係と持株の図、関係者との取引の資料を決められた様式で開示するとしています。

日本本社との取引で注意する点

  • 製品の売買:台湾の子会社が販売会社の場合、利益率が業界の水準と比べて低すぎないか
  • ロイヤルティ・経営指導料:実際にサービスや技術が提供され、子会社に利益があることを示せるか
  • 貸付金の利息:利率が通常の水準か

日本側の移転価格の文書化の基準は、日本の国税庁の情報で別に確認してください(この記事では未確認)。

よくある質問

Q. 小さな子会社でも移転価格報告が必要ですか? A. 年間の収入総額が3億台湾ドル未満、または関係者との取引総額が2億台湾ドル未満なら、替代文據で足ります(財政部の基準)。

Q. マスターファイルの言語は? A. 外国語の場合は中国語訳が必要です。英語の場合は、税務機関から中国語訳を求める書面の通知が届いた日から1か月以内に出せばよいとされています(第21条の1)。

Q. 事前確認制度(APA)はありますか? A. 査核準則には預先訂價協議(APA)の規定があります。申請の条件は財政部の最新情報で確認してください。

※この記事は一般的な情報です。具体的な価格設定は会計士・税理士に相談してください。

Q. 替代文據とは具体的に何ですか? A. 財政部の解釈では、関係者でない相手との社内の比較できる取引の資料のほか、公開入札の資料、時価の資料、不動産鑑定書、相手方の国の制度にもとづく移転価格報告(台湾の規定と明らかに違う部分は修正が必要)などを挙げています。

関連ガイド

参考資料

  • 財政部 https://www.mof.gov.tw/ (閲覧日 2026-10-23)
  • 国税庁 移転価格税制 https://www.nta.go.jp/
  • 全国法規資料庫「所得稅法」第43条の1 https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawAll.aspx?pcode=G0340003 (閲覧日 2026-10-23)
  • 全国法規資料庫「營利事業所得稅不合常規移轉訂價查核準則」第21・21条の1・22・22条の1 https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawAll.aspx?pcode=G0340019 (閲覧日 2026-10-23)
  • 財政部臺北国税局「營利事業製作移轉訂價報告應注意事項」 https://www.ntbt.gov.tw/singlehtml/41ae3594197f4f69b47753ce08188516?cntId=26cbb71db47245a68c9e55b9897f1e86 (閲覧日 2026-10-23)
  • 財政部(高雄国税局)「應送交集團主檔報告或國別報告之跨國企業集團成員,送交期限為會計年度終了後1年內」 https://www.mof.gov.tw/singlehtml/384fb3077bb349ea973e7fc6f13b6974?cntId=e47bcba37d4740208e40e77bc6d430a4 (閲覧日 2026-10-23)
  • 財政部「核釋97年度起得以其他文據取代移轉訂價報告之受控交易金額標準」 https://law-out.mof.gov.tw/LawContent.aspx?id=GL004622 (閲覧日 2026-10-23)

內部編輯附錄

門檻:臺北國稅局・高雄國稅局の公開資料で確認済み(2026-10-23)。 - 2026-10-23 擴寫:新增段落依「参考資料」所列官方頁內容撰寫,未加入無出處之數字。 - 2026-10-23 擴寫:新增段落依「参考資料」所列官方頁內容撰寫,未加入無出處之數字。 - 2026-10-23 擴寫:新增段落依「参考資料」所列官方頁內容撰寫,未加入無出處之數字。