違いの考え方

観点 雇用 業務委託
指揮命令 会社が指示 受託者が裁量
勤務時間・場所 会社が決める 受託者が決める
報酬 労働の対価(賃金) 成果・業務の対価
保険・退職金 会社に義務 原則なし

契約書の名称ではなく、実態で判断されます。

リスク

実態が雇用なのに業務委託契約にしていると、労働保険・退職金・残業代などの未払いを指摘されることがあります。

税務

個人への報酬は源泉徴収の対象になる場合がある → 源泉徴収

外国人への委託

台湾で外国人が業務を行う場合、就労許可の要否を確認 → 就労と居留

民法の3つの契約

台湾の民法では、人に仕事を頼む契約として、主に次の3つを定めています。

契約 民法の定義 条文
僱傭(雇用) 一方が一定または不定の期間、相手のために労務を提供し、相手が報酬を支払う契約 第482条
承攬(請負) 一方が相手のために一定の仕事を完成させ、相手が仕事の完成後に報酬を支払う契約 第490条
委任 一方が相手に事務の処理を任せ、相手がこれを引き受ける契約 第528条

日本でいう「業務委託」は、台湾では内容によって「承攬」か「委任」に当たることが多いと考えられます。承攬は「仕事の完成」が目的、委任は「事務の処理」が目的という違いがあります。

勞動基準法が適用されるかどうか

勞動基準法は、雇用されて賃金を受け取る「労働者」と、その会社に適用されます。勞動基準法第2条では、賃金を「労働の対価として受け取るもの」と定めています。契約の名前が「承攬」や「委任」でも、実態が雇用であれば、勞動基準法の労働者とみなされ、次のような義務が会社に生じることがあります。

  • 最低賃金(2026年は月29,500台湾ドル、時給196台湾ドル)
  • 残業代(第24条)
  • 特別休暇(第38条)
  • 退職金の拠出(勞工退休金條例第6条・第14条)
  • 労工保険・就業保険・健康保険

実態の判断で見られる点

勞動部は、労働契約かどうかを判断するための指標を公表しています(指標の正式名称と項目は、勞動部のサイトで確認してください)。一般には、次のような点が見られるといわれます。

観点 雇用に近い 業務委託に近い
人格的な従属性 会社の指示に従う、懲戒の対象になる 自分の判断で仕事を進める
経済的な従属性 会社のために働き、自分のリスクを負わない 自分のリスクと費用で事業として行う
組織への組み込み ほかの社員と同じ組織で働く 会社の組織に組み込まれない
代わりの人 本人が働く必要がある ほかの人に任せることができる

業務委託にする場合の契約書のポイント

  • 目的:完成させる成果物(承攬)か、処理する業務の範囲(委任)を具体的に書く
  • 報酬:成果や業務に対する報酬として決め、時間給・月給のような書き方を避ける
  • 進め方:受託者が自分の判断で方法・時間・場所を決められるようにする
  • 費用:交通費や道具などの費用を誰が負担するか
  • 再委託:ほかの人に任せてよいか
  • 知的財産:成果物の権利が誰に属するか
  • 秘密保持と契約の終了

ただし、契約書の書き方だけで判断されるわけではありません。実際の働き方が契約書と違えば、実態が優先されます。

よくある失敗

  • 社員と同じように出勤させ、勤怠を管理している
  • 会社の就業規則や懲戒を適用している
  • 毎月同じ金額を「委託料」として払っている
  • 社員を退職させ、同じ仕事を業務委託で続けさせている

こうしたケースでは、雇用とみなされる可能性が高くなります。

税金

個人への報酬は、執行業務所得などとして源泉徴収の対象になる場合があります。雇用の給与とは扱いが違うため、どちらに当たるかで税務の処理も変わります。源泉徴収の率は、財政部の最新の基準で確認してください。

外国人に委託する場合

台湾にいる外国人に仕事を頼む場合、業務委託であっても就業服務法の就労許可が必要になるかどうかを確認する必要があります(この記事では個別の要否は未確認)。

よくある質問

Q. 契約書に「承攬」と書けば、勞動基準法は適用されませんか? A. 名前ではなく実態で判断されます。実態が雇用なら、勞動基準法が適用されることがあります。

Q. 委任と承攬はどう選べばいいですか? A. 成果物の完成を求めるなら承攬、業務の処理を任せるなら委任が基本です。

Q. 雇用とみなされた場合は? A. 過去の残業代、特別休暇の賃金、退職金の拠出、保険料などを求められる可能性があります。

※この記事は一般的な情報です。契約の判断は専門家に確認してください。

承攬の報酬と材料

民法第490条第2項では、承攬で受託者(承攬人)が材料を用意する約束をした場合、その材料の代金は報酬の一部と推定するとしています。製作物を頼む場合は、材料費を報酬に含めるのか、別に払うのかを契約書に書いておきましょう。

使い分けのチェックリスト

次の質問に「はい」が多いほど、雇用に近いと考えられます。

  1. 会社が勤務時間や勤務場所を決めていますか?
  2. 会社が仕事のやり方を細かく指示していますか?
  3. 出勤や欠勤を会社が管理していますか?
  4. 就業規則や懲戒の対象になっていますか?
  5. 本人以外の人に仕事を任せることはできませんか?
  6. 道具や費用を会社が負担していますか?
  7. 成果に関係なく、毎月決まった金額を払っていますか?
  8. ほかの社員と同じ組織の一員として働いていますか?

「はい」が多い場合は、雇用契約にするか、働き方を見直すことを検討しましょう。

日本の本社が気をつけたいこと

台湾に法人を作る前の準備期間に、現地の人に業務委託で仕事を頼むことがあります。この場合も、実態が雇用に近ければ労働法の問題になる可能性があります。準備段階から、契約の形と働き方をそろえておきましょう。

関連ガイド

参考資料

  • 労働部 https://www.mol.gov.tw/ (閲覧日 2026-10-23:労働契約認定指標の確認先)
  • 全国法規資料庫「民法」第482・490・528条 https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawAll.aspx?pcode=B0000001 (閲覧日 2026-10-23)
  • 全国法規資料庫「勞動基準法」第2・24・38条 https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawAll.aspx?pcode=N0030001 (閲覧日 2026-10-23)
  • 全国法規資料庫「勞工退休金條例」第6・14条 https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawAll.aspx?pcode=N0030020 (閲覧日 2026-10-23)

內部編輯附錄

OK。 - 2026-10-23 擴寫:新增段落依「参考資料」所列官方頁內容撰寫,未加入無出處之數字。 - 2026-10-23 擴寫:新增段落依「参考資料」所列官方頁內容撰寫,未加入無出處之數字。 - 2026-10-23 擴寫:新增段落依「参考資料」所列官方頁內容撰寫,未加入無出處之數字。