台湾の商標の不使用取消し(廃止)|正当な理由なく3年使わないと廃止申請の対象、申請時点で使用済みなら原則廃止されない、使用の事実は権利者が証明
正当な理由なく3年使わない登録商標は廃止の対象。申請時に使用済みなら原則廃止されない。

台湾で商標を登録している日本企業が、台湾での販売を休止していたり、他社が台湾で似た商標を使いたいと考えて、登録商標の廃止を申請してきたりする場面があります。台湾の商標法には、登録した商標を、長い間使っていない場合に、その登録を廃止できる制度があります。この記事では、商標法の第5条、第63条から第66条にもとづいて、不使用による廃止の条件、廃止されない場合、手続きの流れ、使用の証明、商品やサービスの一部の廃止を整理します。商標の登録の手続きや、侵害への対応は、別の記事で扱い、この記事では扱いません。
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不使用による廃止の条件
商標法第63条第1項第2号は、商標を登録した後、正当な理由なく、まだ使用していない、または、使用を続けず停止して、満3年になった場合は、商標の専責機関が、職権で、または申請にもとづいて、登録を廃止すると定めています。ただし、被授権者(ライセンスを受けた者)が使用している場合は、廃止されません。
廃止されない場合
第63条第3項は、第2号の事由があっても、廃止の申請をされたときに、その登録商標がすでに使用されていた場合は、登録を廃止しないと定めています。ただし、他人が廃止を申請することを知って、申請の前の3か月以内に使い始めた場合は、廃止されます。
つまり、3年間使っていなくても、申請を受ける前に使用を再開していれば、廃止されない場合があります。ただし、申請を知った後に、あわてて始めた使用は、3か月以内なら認められません。
使用とは何か
第5条は、商標の使用を、マーケティングの目的で、消費者が商標として認識できる形で、次の4件のいずれかを行うことと定めています。
- 商標を、商品またはその包装容器に付ける。
- 第1号の商品を、所持、陳列、販売、輸出、または輸入する。
- サービスに関係する物品に、商標を付ける。
- 商品やサービスに関係する商業文書や広告に、商標を付ける。
デジタルの映像・音声、電子媒体、インターネットなどの方法による場合も同様です(同条第2項)。
実際に使っている商標が、登録した商標と異なっても、社会通念上、同一性を失わない場合は、登録商標を使用したと認められます(第64条)。
手続きの流れ
第65条第1項は、商標の専責機関が、廃止の申請があったことを商標権者に通知し、期限を定めて答弁させると定めています。答弁書が出されると、申請者に送達して、陳述させます。申請に具体的な証拠がない、または主張が明らかに理由のないものは、そのまま却下できます。
不使用を理由とする場合(第63条第1項第2号)は、答弁の通知が送達されたら、商標権者が、使用の事実を証明しなければなりません。期限までに答弁しなければ、登録は、そのまま廃止されることがあります(第65条第2項)。
使用の証拠は、商標の真実の使用を証明するもので、一般の商業取引の習慣に合っていなければなりません(第67条第3項、第57条第3項の準用)。
一部の商品・サービスの廃止
廃止の事由が、登録商標が指定する商品やサービスの一部だけにある場合は、その部分の商品やサービスについてだけ、登録を廃止できます(第63条第4項)。
第63条のほかの廃止事由
第63条第1項は、不使用のほかに、次の4件の事由を挙げています。
- 自分で商標を変えたり付記を加えたりして、他人の登録商標と同一または類似になり、混同のおそれがある(第1号)。
- 第43条が求める区別表示を付けていない(第3号)。
- 商標が、指定商品やサービスの一般的な名称、形状になった(第4号)。
- 実際の使用で、公衆が商品の性質、品質、産地を誤認するおそれがある(第5号)。
第1号を理由に廃止された場合、元の商標権者は、廃止の日から3年以内は、同一または類似の商標を、同一または類似の商品やサービスで、登録も譲り受けも使用許諾も受けられません(第65条第3項)。
廃止の判断の基準時
商標の登録後、廃止の事由があるかどうかは、廃止の申請をしたときの規定が適用されます(第66条)。
手順
- 登録商標を、台湾で最後に使った時期と、使っていない期間を確認する。
- 使用の証拠(商品、包装、広告、輸出入の書類など)を整理しておく。
- 廃止の申請の通知を受けたら、期限内に答弁書を出し、使用の事実を示す。
- 使用していない商品やサービスがあれば、その部分の登録の扱いを決める。
- 廃止の申請を知った後に使用を始める場合は、3か月の規定を確認する。
注意点
- 不使用の期間は、満3年です。
- 申請時にすでに使用していれば、原則として廃止されません。
- 答弁しないと、廃止されるおそれがあります。
- 他社に廃止を申請される前に、使用を再開すると、廃止されない場合があります。
よくある質問
台湾で3年使っていない商標は、必ず取り消されますか。
自動では取り消されません。商標の専責機関が、職権または申請にもとづいて、登録を廃止します(商標法第63条第1項)。
正当な理由があれば。
第2号の事由は、「正当な理由なく」使用していない場合が対象です。
答弁しないとどうなりますか。
期限内に答弁しなければ、登録が廃止されることがあります(第65条第2項)。
一部の商品だけ使っていない場合は。
その部分の商品やサービスについてだけ、登録を廃止できます(第63条第4項)。
出典
- 全國法規資料庫「商標法」第5・63條(2026-10-19 查證):無正當事由迄未使用或繼續停止使用已滿三年者。
- 全國法規資料庫「商標法」第64・65・66・67條(2026-10-19 查證):商標權人應證明其有使用之事實;屆期未答辯者,得逕行廢止其註冊。