台湾の貸倒損失と貸倒引当金の損金算入|所得稅法第49条は引当金を売掛金・受取手形残高の1%(実績比率が高い場合は過去3年度の平均)まで、期限から2年を過ぎて督促しても未回収なら実際の貸倒れとみなす
貸倒引当金は残高の1%まで(実績が高ければ過去3年平均)。倒産や2年超の未回収は貸倒損失とみなす。

台湾の子会社が、取引先に売った代金を回収できなくなったとき、その損失を税務上の費用として認められるかどうかは、所得稅法と、営利事業所得稅査核準則が定める条件によります。売掛金や受取手形の貸倒れの扱いには、貸倒引当金(備抵呆帳)を見積もる方法と、実際に貸倒れが発生したと認められる場合の両方があります。この記事では、所得稅法の第49条と、営利事業所得稅査核準則の第94条にもとづいて、引当金の上限、実際の貸倒れとみなされる場合、必要な証拠書類を整理します。会計基準と税務の差の調整や、個別の債権の回収の可能性の判断は、この記事では扱いません。
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貸倒引当金の上限
所得稅法第49条第1項は、売掛金と受取手形の債権の評価を、予想される貸倒引当金を差し引いた額を基準にすると定めています。
同条第2項は、貸倒引当金は、売掛金と受取手形の残高の1%の範囲で、見積もれると定めています。金融業の場合は、債権の残高について、同じ範囲で見積もります。
営利事業が、法にしたがって、実際に発生した貸倒れとして計上できる比率が、この1%を超える場合は、その前の3事業年度の、貸倒れとして計上できた比率の平均の範囲で見積もることができます(同条第3項)。
次の年度に実際に発生した貸倒損失が、見積もった額と違っていた場合は、次の年度の見積もりで調整します(同条第4項)。
査核準則第94条第1号と第2号も、貸倒引当金の対象を売掛金と受取手形に限り、割り引いた手形は含めないと定め(ただし、手形が期日に決済されず、所持人の遡求にこたえて自社が支払った場合は、実情に応じて引当金の計上または貸倒損失の計上ができます)、残高の上限を、売掛金と受取手形の残高の1%としています。
実際の貸倒れとみなされる場合
所得稅法第49条第5項は、売掛金、受取手形、各種の欠款債権が、次のいずれかに当たるときは、実際に発生した貸倒損失とみなせると定めています。
- 債務者の倒産、逃亡、和解、破産の宣告、その他の原因で、債権の一部または全部を回収できなくなった。
- 債権のうち、期限から2年を過ぎ、督促しても元本も利息も回収されていないものがある。
査核準則第94条第5号は、この2つの場合を、貸倒損失とみなし、発生した年度に貸倒引当金と相殺すると定めています。期限から2年の計算は、債権が元の返済期限を迎えた翌日から数えます。債務者が期限の後に一部を返済した場合も、同様です。
必要な証拠書類
査核準則第94条は、貸倒れを認めるための書類を、場合に分けて定めています。
| 場合 | 求められる書類(概要) |
|---|---|
| 債務者の倒産・逃亡 | 郵便事業から送達できなかった存証信函。債務者が営利事業の場合は、倒産または移転前の確実な営業所の住所を書いたもの |
| 債務者が外国にいる場合 | 債務者の所在地の主管機関が発行した、倒産・逃亡の前の登記営業所の証明書類を、台湾の在外公館などが認証したもの |
| 和解 | 裁判所の和解調書または裁定書。商業会・工業会の和解は、和解調書 |
| 破産の宣告、重整 | 裁判所の裁定書 |
| 強制執行で、債務者に財産がない | 裁判所が発行した債権証明書 |
| 期限から2年を過ぎた債権 | 郵便事業が送達した存証信函、拒否や死亡で返された存証信函、または裁判所への訴え(督促の証明) |
割賦販売の債権
査核準則第94条第4号は、割賦払いの販売で、粗利益率法で損益を計算している場合の債権や、通常の販売法で計算している場合に、約定の割賦払い販売価格と現金販売価格の差額に当たる債権について、貸倒引当金を計上できないと定めています。
手順
- 売掛金と受取手形の残高を確認し、引当金を1%の範囲で見積もる。
- 過去3事業年度の貸倒れの比率が1%を超える場合は、その平均の範囲で見積もれるかを確認する。
- 債務者の倒産、または、期限から2年が過ぎた債権が、督促を重ねても回収できていないかを確認する。
- 貸倒れを計上するときは、存証信函、裁判所の書類などの証拠をそろえる。
- 発生した年度に、貸倒損失を貸倒引当金と相殺する。
注意点
- 引当金の上限は、売掛金と受取手形の残高の1%です(実績比率が1%を超える場合は、過去3事業年度の平均の範囲)。
- 貸倒れを計上するには、督促や裁判所の手続きの証拠が必要です。
- 期限から2年は、元の返済期限の翌日から数えます。
- 割引済みの手形は、引当金の対象に含まれません。ただし、手形が期日に決済されず、所持人の遡求にこたえて自社が支払った場合は、実情に応じて引当金の計上または貸倒損失の計上ができます(準則第94条第1号ただし書)。
よくある質問
売掛金が回収できないとき、損金にできますか。
債務者の倒産や、期限から2年を過ぎて督促しても回収できないなどの場合に、実際の貸倒損失とみなせます(所得稅法第49条第5項)。
貸倒引当金は、いくらまで計上できますか。
売掛金と受取手形の残高の1%までです。貸倒れとして計上できた実績の比率が1%を超える場合は、過去3事業年度の比率の平均の範囲で見積もれます(第49条第2項、第3項)。
証拠として何が必要ですか。
債務者の倒産では存証信函、和解や破産では裁判所の書類などです(査核準則第94条)。
外国の取引先の貸倒れは。
債務者の倒産・逃亡を理由に貸倒れを計上する場合で、債務者が外国にいるときは、所在地の主管機関の証明書類を、台湾の在外公館などが認証したものが求められます(準則第94条第6号)。和解・破産や、期限から2年を過ぎた債権は、第7号・第8号の書類によります。
出典
- 全國法規資料庫「所得稅法」第49條(2026-10-19 查證):備抵呆帳,應就應收帳款與應收票據餘額百分之一限度內,酌量估列。
- 全國法規資料庫「營利事業所得稅查核準則」第94條(2026-10-19 查證):債權中有逾期二年,經催收後,未經收取本金或利息者。