仕組み
- 雇用主は、対象となる労働者について、毎月の賃金の6%以上を労工保険局の個人口座に拠出(労工退休金条例第14条)
- 金額は月提繳分級表(等級表)に基づく
- 労働者本人も6%の範囲で任意拠出でき、その分は拠出年度の給与所得に算入されない
対象者
台湾籍の労働者に加え、一定の外国人(例:永久居留を持つ人、台湾籍者の配偶者など)が対象となる場合があります。外国人駐在員が対象になるかは条文と労工保険局で確認しましょう。
実務
勞工退休金條例の主な規定
毎月の拠出と個人口座(第6条)
「勞工退休金條例」第6条では、会社はこの条例が適用される労働者について、毎月退職金を拠出し、労工保険局(勞保局)が設けた労働者ごとの個人口座(個人專戶)に積み立てるとしています。会社が独自に作った退職金制度で、この制度の代わりにすることはできません。
対象者(第7条)
第7条では、勞動基準法が適用される次の人を対象としています。
| 区分 | 対象 |
|---|---|
| 1 | 台湾籍の労働者 |
| 2 | 台湾に戸籍がある人と結婚し、居留の許可を得て台湾で働く外国人(中国大陸・香港・マカオの人を含む) |
| 3 | 2の人で、離婚や配偶者の死亡の後も法律にもとづいて台湾で居留して働ける人 |
| 4 | 2・3以外の外国人で、永久居留の許可を得て台湾で働く人 |
つまり、日本から派遣した駐在員など、上の2〜4に当たらない外国人は、原則としてこの制度の対象外です。日本人社員が対象になるかどうかは、居留の種類で確認します。
拠出率(第14条)
第14条では、会社が負担する退職金は、労働者の毎月の賃金の6%を下回ってはならないとしています。労働者本人も、毎月の賃金の6%の範囲で任意に拠出でき、その分はその年の給与所得として課税されません。
拠出率の変更(第15条)
同じ会社で、1年に拠出率を変えられるのは2回までです。変える場合は、その月の末日までに勞保局に届け出て、翌月1日から適用されます。
入社・退社の届出(第18条)
第18条では、会社は労働者の入社・退社・復職・死亡の日から7日以内に勞保局に届け出て、拠出の開始・停止の手続きをしなければならないとしています。
違反した場合
| 違反の内容 | 結果 | 根拠 |
|---|---|---|
| 期限までに拠出しない、または不足している | 期限の翌日から納めるまで、1日ごとに拠出すべき額の3%の滞納金(上限は拠出すべき額と同じ額) | 第53条 |
| 入社・退社の届出などをせず、期限までに改善しない | 2万〜10万台湾ドルの罰鍰(改善するまで毎月) | 第49条 |
| 拠出しなかったことで労働者が損害を受けた | 労働者は損害賠償を請求できる(退職から5年で時効) | 第31条 |
労働者が受け取るとき(第24条)
第24条では、労働者は60歳になると退職金を受け取れるとしています。 - 拠出の年数が15年以上:毎月の年金か一時金かを選べる - 15年未満:一時金
年数は、実際に拠出した年数で数えます。一度選んだ受け取り方は、勞保局が支払った後は変えられません。
人件費の見積もり
月給が5万台湾ドルの社員の場合、会社の退職金の負担は最低でも月3,000台湾ドル(5万×6%)です。実際には、月提繳分級表(等級表)にあてはめた金額に6%をかけます。等級表は勞保局の最新のものを確認してください。
よくある質問
Q. 日本から来た駐在員にも6%を拠出しますか? A. 第7条の対象(台湾籍、台湾籍の人の配偶者、永久居留の外国人など)に当たらなければ、原則として対象外です。
Q. 会社が6%より多く拠出してもいいですか? A. 第14条は「6%を下回ってはならない」としており、6%は最低の率です。
Q. 労働者の任意拠出は会社が決めますか? A. 労働者本人が6%の範囲で選びます。
Q. 旧制度(勞動基準法の退職金)との関係は? A. 2005年7月以前から働いている人には、旧制度の勤続年数が残っている場合があります(この記事では詳細未確認)。
※この記事は一般的な情報です。手続きは勞保局の最新の案内で確認してください。
台湾に進出したばかりの会社の手続きの流れ
- 会社の設立と保険の手続き:会社の登記が終わったら、勞保局で労工保険・就業保険とあわせて退職金の拠出の手続きをします(窓口と書類は勞保局の最新の案内で確認してください)。
- 社員の入社:入社の日から7日以内に、勞保局に拠出の開始を届け出ます(第18条)。
- 毎月の拠出:勞保局から届く請求にもとづいて、期限までに納めます。遅れると1日3%の滞納金がかかります(第53条)。
- 賃金の変更:賃金が変わったら、等級の変更を届け出ます。
- 社員の退社:退社の日から7日以内に、拠出の停止を届け出ます(第18条)。
社内で確認しておきたいこと
- 社員ごとに、第7条の対象者かどうか(国籍と居留の種類)
- 会社の拠出率(6%以上)と、社員の任意拠出率
- 入社・退社の届出の担当者と期限の管理
- 給与明細に、任意拠出の金額をはっきり書く
- 日本の本社の退職金制度と、台湾の制度を重ねて計算していないか
日本の制度との違い
日本の企業年金や退職金は会社ごとに制度がちがいますが、台湾のこの制度は法律で最低の率(6%)と個人口座への積み立てが決まっています。社員が会社を変わっても個人口座は本人についていくため、転職者の多い台湾では、社員にとって分かりやすい仕組みです。
Q. 拠出を忘れていたことに後で気づいたら? A. すぐに勞保局に相談し、不足分を納めてください。滞納金は1日ごとに増え、上限は拠出すべき額と同じ額です(第53条)。労働者から損害賠償を求められることもあります(第31条)。
関連ガイド
参考資料
- 全国法規資料庫「労工退休金条例」第14条 https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawSingle.aspx?pcode=N0030020&flno=14 (閲覧日 2026-10-23、条文照合済み)
- 労働部労工保険局 https://www.bli.gov.tw/
- 全国法規資料庫「勞工退休金條例」第6・7・14・15・18・24・31・49・53条 https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawAll.aspx?pcode=N0030020 (閲覧日 2026-10-23)
內部編輯附錄
外國人適用範圍(§7)已於2026-10-23對照全國法規資料庫原文。 - 2026-10-23 擴寫:新增段落依「参考資料」所列官方頁內容撰寫,未加入無出處之數字。 - 2026-10-23 擴寫:新增段落依「参考資料」所列官方頁內容撰寫,未加入無出處之數字。 - 2026-10-23 擴寫:新增段落依「参考資料」所列官方頁內容撰寫,未加入無出處之數字。 - 2026-10-23 擴寫:新增段落依「参考資料」所列官方頁內容撰寫,未加入無出處之數字。