作成義務

労働基準法では、30人以上の労働者を雇用する雇用主に、工作規則の作成と主管機関への届出、公開を求めています。

主な記載事項

  • 労働時間、休憩、休日、休暇
  • 賃金の基準、計算、支払
  • 延長労働(残業)
  • 手当、賞与
  • 服務規律
  • 勤怠、考課、昇進
  • 採用、解雇、退職
  • 災害補償
  • 福利厚生、安全衛生

日本本社との調整

日本の規程を翻訳するだけでは、台湾法と合わない部分が出ます。台湾法に沿って作り直し、日本の方針と整合させましょう。

条文で確認:労働基準法第70条の内容

全国法規資料庫の〔勞動基準法〕第70条は、労働者を30人以上雇用する雇用主に対し、事業の性質に応じて次の事項について工作規則を定め、主管機関に報告して「核備」(審査・備案)を受け、公開して掲示するよう求めています。条文が挙げる事項は12項目です。

  1. 労働時間、休憩、休暇、国定記念日、特別休暇、継続的な作業の交替制の方法
  2. 賃金の基準、計算方法、支払日
  3. 延長労働時間(時間外労働)
  4. 手当と賞与
  5. 守るべき規律
  6. 勤怠、休暇の申請、賞罰、昇進
  7. 採用、解雇、資遣(会社都合による離職)、離職、退職
  8. 災害・傷病の補償と弔慰
  9. 福利厚生
  10. 労使双方が守るべき労働安全衛生の規定
  11. 労使の意思疎通と協力を強める方法
  12. その他

本文の「主な記載事項」は、この12項目を要約したものです。とくに第11項の「労使の意思疎通の方法」は、日本の就業規則にはない形で置かれていることがあります。翻訳する際に抜け落ちやすいので注意してください。

30人に達したら「30日以内」に届け出る

〔勞動基準法施行細則〕第37条では、手続が次のように定められています。

  • 雇用する労働者が30人に達したら、直ちに工作規則を定め、30日以内に地元の主管機関へ報告して核備を受ける
  • 人数は、同法第22条の1第1項の規定に従って数える
  • 法令、労使の協議、管理制度が変わったときは適時に修正し、修正後も同じ手続で核備を受ける
  • 主管機関が必要と判断した場合は、修正を求められることがある

同施行細則の第38条は、核備を受けた工作規則を事業場内に公告し、各労働者に印刷して配布するよう求めています。第39条により、必要に応じて第70条の各項目ごとに単独の工作規則を定めることもできます。

法令に反する規定は無効、違反には罰則

〔勞動基準法〕第71条により、工作規則のうち、法令の強制規定や禁止規定、または適用される団体協約に反する部分は無効です。日本本社の規程をそのまま持ち込み、台湾法より労働者に不利な内容が入ってしまうと、その部分は効力を持ちません。

同法第79条第3項では、第70条に違反した場合の罰鍰(過料)を新台湾ドル2万元以上30万元以下と定めています。さらに主管機関は、事業規模や違反した人数、違反の程度によって、法定の罰鍰の最高額の2分の1まで加重できます。

作成から運用までの実務の流れ

ステップ 内容
1. 人数の確認 施行細則の数え方で30人に達するかを確認する
2. 草案の作成 第70条の12項目に沿って中国語で作る。日本の規程は参考程度にとどめる
3. 法令との照合 労働基準法、性別平等工作法などの強制規定と照らし合わせる
4. 核備の申請 30日以内に、地元の主管機関(直轄市・県市の労働局など)へ報告する
5. 公告と配布 核備のあと、事業場に掲示し、各労働者に配布する
6. 見直し 法改正や制度の変更に合わせて修正し、再び核備を受ける

申請の書式、オンライン申請の可否、審査にかかる期間は、地方の主管機関によって違う場合があります。この記事では確認していないため、所在地の労働局の案内で確認してください。30人未満でも任意で作ることはできますが、その場合に届出が必要かどうかも主管機関に確認してください。

「30人」の数え方:支店も合算する

施行細則第37条は、人数の数え方を同細則第22条の1第1項に従うとしています。第22条の1第1項では、雇用主が雇う労働者の人数を「同一の雇用主が雇用する、労働基準法の適用を受ける労働者の人数」で計算し、支店などの分支機構で雇う人数も含めると定めています。

たとえば、台北の本社が20人、台中の支店が12人であれば、同じ雇用主として合計32人となり、工作規則を作る義務が生じる可能性があります。拠点ごとに30人未満だからといって、作成が不要とは限りません。

同じ第22条の1は、「当地主管機関」についても定めています。延長労働時間などの届出(報備査)の文脈では、雇用主の主たる事務所・主たる営業所の所在地にある直轄市政府または県(市)政府が当地主管機関とされています。工作規則の核備先も同じ考え方になるかどうかは、この記事では条文上確認できていません。所在地の労働局で確認してください。

日本の就業規則と並べたときの注意点

  • 用語のずれ:日本の「懲戒解雇」「普通解雇」は、台湾の「解僱」「資遣」と要件や手当の考え方が違います。言葉だけを置き換えないようにしましょう。
  • 休暇の種類:台湾の法令に定められた休暇(特別休暇、国定記念日など)を、条文に沿って書き込む必要があります。
  • 言語:労働者に配布する前提なので、中国語版を正本にするのが実務的です。日本語版を併せて作る場合は、どちらが優先するかを明記しておきましょう。
  • 既存の雇用契約との整合:個別の雇用契約と工作規則が食い違うと、争いのもとになります。

最終的な文言は、台湾の労働法に詳しい弁護士や社労士に相当する専門家の確認を受けてください。

よくある質問

Q. 核備を受ける前の工作規則は使えますか? A. 第70条は、核備を受けたうえで公開・掲示することを前提にしています。核備前の規程がどこまで効力を持つかは個別の判断になるため、専門家に確認してください。

Q. 一部だけを変えたいときは? A. 施行細則第37条により、修正したあとも同じ手続で核備を受ける必要があります。

関連ガイド

参考資料

  • 全国法規資料庫「労働基準法」第70条 https://law.moj.gov.tw/ (閲覧日 2026-10-23、条文照合済み)
  • 全国法規資料庫「勞動基準法」第70・71・79条 https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawAll.aspx?pcode=N0030001 (閲覧日 2026-10-23)
  • 全国法規資料庫「勞動基準法施行細則」第22条の1・第37〜39条 https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawAll.aspx?pcode=N0030002 (閲覧日 2026-10-23)

內部編輯附錄

§70 已核:30人以上。 - 2026-10-23 擴寫:新增段落依「参考資料」所列官方頁內容撰寫,未加入無出處之數字。 - 2026-10-23 擴寫:新增段落依「参考資料」所列官方頁內容撰寫,未加入無出處之數字。 - 2026-10-23 擴寫:新增段落依「参考資料」所列官方頁內容撰寫,未加入無出處之數字。