台湾の未分配利益への加算課税|2018年度から5%、翌年5月1日〜31日に申告、控除できる項目
未分配盈余に5%の加算課税。申告は翌年5月1日〜31日で、盈余がゼロや負でも申告が必要。
台湾の営利事業所得税には、通常の法人税とは別に、その年度の盈余を配当などに回さずに会社に残した場合に、その未分配盈余に加算して課される税があります。台湾子会社が毎年、利益を会社に残して増資や投資に回す場合、この加算課税が日本の親会社の計画に影響します。この記事では、所得税法第66条の9と第102条の2の条文にもとづいて、税率、課税対象の未分配盈余の計算、控除できる項目、申告の時期を整理します。通常の法人税の税率や基本税額の仕組みは、別稿で扱っています。
税率
所得税法第66条の9第1項は、営利事業が当年度の盈余を分配しない場合に、その未分配盈余に営利事業所得税を加算して課すと定めています。税率は、1998年度から2017年度までが10%、2018年度(民国107年度)からは5%です。
未分配盈余の計算
同条第2項は、未分配盈余を、営利事業の当年度の税引後純利益(商業会計法や証券取引法などの財務報告の規定にもとづく)に、税引後純利益以外の純益の項目を加え、次の項目を引いた残りと定めています。
| 号 | 控除できる項目 |
|---|---|
| 1 | 過年度の損失の補填と、会計士が査核簽証した翌年度の損失 |
| 2 | 当年度の盈余から分配した配当または盈余 |
| 3 | 公司法などにもとづき、当年度の盈余から計上した法定盈余公積 |
| 4 | 条約や経済援助・貸付の契約で、積み立てるべき償債基金準備や、分配に制限がある部分 |
| 5 | 他の法律により、主管機関が命じた特別盈余公積や、分配の制限がある部分 |
| 6 | 他の法律により、税引後純益から資本公積へ移すべきもの |
| 7 | 税引後純利益以外の純損の項目 |
| 8 | その他、財政部が承認した項目 |
第2号から第6号の項目は、各所得年度の次の会計年度が終わるまでに、実際に発生したものに限られます(同条第3項)。
会計士が当年度の財務報表を査核簽証した場合は、税引後純利益などの数額は、会計士が査定した数が基準になります(同条第4項)。
申告の時期と方法
所得税法第102条の2第1項は、営利事業が、その所得年度の結算申告の次の年の5月1日から5月31日までに、未分配盈余の申告書を、主管の税務機関に提出すると定めています。加算される税額を計算して、申告の前に自分で納めます。計算した未分配盈余がゼロまたは負の数であっても、申告は必要です。
申告の前に、解散または合併した場合は、解散日または合併日から45日以内に、未分配盈余を申告し、税額を納めます(同条第2項)。会計年度を変更した場合は、変更前の未申告の未分配盈余を、変更後の会計年度の未分配盈余に含めて計算します(同条第3項)。
申告のときは、自分で納めた税の納付書の領収書と、その他の関係書類を添付します(同条第4項)。
手順
- その年度の税引後純利益と、その他の純益・純損の項目を確定する。
- 第66条の9第2項の控除項目(過年度の損失、当年度に分配した配当、法定盈余公積など)を整理する。
- 控除後の未分配盈余に、5%をかけて、加算される税額を計算する。
- 次の年の5月1日から5月31日までに、申告書を出して、税額を納める。
- 未分配盈余がゼロまたは負でも、申告書を出す。
- 解散や合併の予定があるときは、45日以内の申告を確認する。
注意点
- 控除できる配当は、当年度の盈余から実際に分配したものです。
- 控除項目の第2号から第6号は、次の会計年度の終了までに実際に発生したものに限られます。
- 税率が10%だったのは、2017年度までです。
- 本稿は条文の整理です。日台の取決めによる扱いや、増資との関係は、扱いません。
よくある質問
台湾の未分配盈余の加算課税は、何%ですか。
2018年度からは5%です。2017年度までは10%でした(所得税法第66条の9第1項)。
申告はいつまでですか。
所得年度の結算申告の次の年の5月1日から5月31日です。盈余がゼロや負でも申告が必要です(第102条の2第1項)。
配当を出せば、この税は減りますか。
当年度の盈余から分配した配当または盈余は、未分配盈余から引けます(第66条の9第2項第2号)。
法定盈余公積は、控除できますか。
公司法などにもとづき当年度の盈余から計上した法定盈余公積は、控除できます(同項第3号)。
出典
- 全國法規資料庫「所得稅法」第66-9條(2026-10-17 查證):自一百零七年度起,營利事業當年度之盈餘未作分配者,應就該未分配盈餘加徵百分之五營利事業所得稅。
- 全國法規資料庫「所得稅法」第102-2條(2026-10-17 查證):其經計算之未分配盈餘為零或負數者,仍應辦理申報。