台湾の派遣労働と人材紹介のルール|面接の禁止、90日の訂約意思表示、仲介手数料は初月給与が平均薪資以下なら初月給与まで
派遣前の面接は禁止、受けたら90日以内に意思表示。紹介手数料は初月給与が平均以下なら初月給与まで。
台湾で派遣社員を受け入れる会社(要派単位)は、勞動基準法第17条の1に注意が必要です。派遣事業単位と派遣労働者が労働契約を結ぶ前に、要派単位が派遣労働者を面接したり、特定の人を指定したりしてはならず、違反して労務を受けた場合、派遣労働者は労務の提供日から90日以内に、書面で労働契約を結ぶ意思を伝えられます。人材紹介(人力仲介)には別の法律があり、手数料の上限が定められています。台湾に子会社を持つ日本企業が、派遣と紹介を使い分けるための条文を整理します。
用語の整理(勞基法第2条)
勞動基準法は、派遣に関わる主体を次のように定義しています。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 派遣事業単位 | 労働派遣業務を行う事業単位 |
| 要派単位 | 要派契約にもとづき、派遣労働者を実際に指揮監督して働かせる者 |
| 派遣労働者 | 派遣事業単位に雇われ、要派単位に労務を提供する者 |
| 要派契約 | 要派単位と派遣事業単位が、労働派遣について結ぶ契約 |
日本の「派遣先」が要派単位、「派遣元」が派遣事業単位にあたります。
派遣前の面接の禁止(第17条の1)
第17条の1は、要派単位が、派遣事業単位と派遣労働者が労働契約を結ぶ前に、派遣労働者を面接したり、特定の派遣労働者を指定したりすることを禁じます。違反して、すでに労務を受けている場合は、次のとおりです。
- 派遣労働者は、要派単位に労務を提供した日から90日以内に、書面で要派単位に労働契約を結ぶ意思を伝えられる。
- 要派単位は、その意思表示が届いた日から10日以内に、労働契約について協議する。
- 期限内に協議しない、または協議が成立しないときは、期間満了の翌日から、両者の間に労働契約が成立したものとみなされる。内容は、派遣労働者が要派単位で働いた期間の労働条件になる。
派遣事業単位と要派単位は、派遣労働者がこの意思表示をしたことを理由に、解雇、降格、減給などの不利益な扱いをしてはならず、それらは無効です。要派単位と契約が成立した派遣労働者は、派遣事業単位との労働契約が終了したものとみなされ、最低勤務年限や研修費返還の約定の責任も負いません。
職業災害の責任(第63条の1)
要派単位は、使用する派遣労働者に職業災害が起きたとき、派遣事業単位と連帯して、雇主としての補償の責任を負います。要派単位と派遣事業単位が労基法や安全衛生の規定に違反して派遣労働者に職業災害が起きたときは、連帯して損害賠償の責任を負います。
人材紹介(就業服務法)
派遣とは別に、私立就業服務機構が行う職業紹介・人力仲介があります。就業服務法第34条は、私立就業服務機構は主管機関の設立許可を得てから業務を始めるよう定め、第35条は、職業紹介、人力仲介、委任を受けた員工の募集などを業務として挙げています。手数料の上限は「私立就業服務機構収費項目及金額標準」が定め、営利の機構が雇用主から受け取る場合は次のとおりです(第3条)。
| 項目 | 上限 |
|---|---|
| 登記費・介紹費(紹介する員工の第1か月の給与が平均給与以下) | 員工1人あたり、第1か月の給与まで |
| 登記費・介紹費(第1か月の給与が平均給与を超える) | 員工1人あたり、4か月分の給与まで |
| 服務費 | 員工1人あたり年2,000元まで |
ここでいう平均給与は、中央主管機関が公告する、工業・サービス業の最新の月平均給与です。就業服務法第40条は、規定の標準を超える費用の請求や、書面契約を結ばない仲介を禁じています。
手順
- 必要な人材が、派遣、人材紹介による直接雇用のどちらに向くかを決める。
- 派遣を使う場合は、派遣事業単位と要派契約を結ぶ。派遣労働者の面接や指名は行わない。
- 派遣労働者に職業災害が起きた場合の連帯責任を前提に、安全衛生の管理体制を要派契約で確認する。
- 人材紹介を使う場合は、許可を得た私立就業服務機構と書面契約を結び、手数料が第3条の上限内か確認する。
- 採用後は、直接雇用の労働契約と給与設計を、最低工資などの基準に合わせる。
注意点
- 派遣前の面接や指名の禁止は、第17条の1の条文上の禁止です。採用前の接触の方法は、この条文に照らして確認します。
- 第17条の1の90日は、要派単位に労務を提供した日から数えます。
- 就業服務法第40条は、規定の標準を超える費用の請求などを禁じています。契約前に、機構の許可証と収費明細表の掲示を確認します。
よくある質問
台湾で派遣社員を面接してもよいですか。
派遣契約の前に面接したり、特定の人を指定したりすることは、勞基法第17条の1で禁止されています。
面接した場合、どうなりますか。
すでに労務を受けている場合、派遣労働者は90日以内に書面で契約を結ぶ意思を示せます。要派単位が10日以内に協議しないと、労働契約が成立したものとみなされます。
人材紹介の手数料に上限はありますか。
営利の機構が雇用主から受ける登記費と介紹費は、第1か月の給与が平均給与以下なら、員工1人あたり第1か月の給与までです。
派遣労働者が労災に遭ったら誰が責任を負いますか。
要派単位は、派遣事業単位と連帯して補償の責任を負います(勞基法第63条の1)。
出典
- 全國法規資料庫「勞動基準法」第2・17-1・63-1條(2026-10-17 查證):要派單位不得於派遣事業單位與派遣勞工簽訂勞動契約前,有面試該派遣勞工或其他指定特定派遣勞工之行為。
- 全國法規資料庫「私立就業服務機構收費項目及金額標準」第3條、「就業服務法」第34・35・40條(2026-10-17 查證):服務費:每一員工每年不得超過新臺幣二千元。