台湾の解雇・予告期間・資遣費|予告は勤続に応じて10日・20日・30日前、資遣費は新制で勤続1年あたり0.5か月分(最高6か月分)
予告は勤続に応じて10日・20日・30日前。新制の資遣費は1年あたり0.5か月分、最高6か月分。
台湾の勞働基準法は、雇用主が従業員との労働契約を終了できる場合を限定しており、日本の解雇と同じ感覚で進めることはできません。予告をして終了する場合は、事由、予告期間、資遣費(整理解雇の手当)が決まっています。予告なしで終了する場合は、さらに別の事由に限られます。この記事では、勞働基準法と勞工退職金条例の条文にもとづいて、予告できる事由、予告期間、資遣費の計算、予告なしの終了、従業員側から終了する場合を整理します。個別の紛争の見通しは扱いません。
予告して終了できる事由
勞基法第11条は、雇用主が予告して労働契約を終了できる場合を、次の5つに限っています。
- 事業の廃止または譲渡のとき。
- 損失が出たとき、または業務を縮小するとき。
- 不可抗力で1か月以上、仕事を停止するとき。
- 業務の性質の変更で、労働者を減らす必要があり、適当な仕事で配置できないとき。
- 労働者が担当する仕事に、確かに堪えられないとき。
予告期間
勞基法第16条第1項は、第11条などによる予告の期間を、勤続に応じて次のとおり定めています。
| 継続勤務の期間 | 予告の時期 |
|---|---|
| 3か月以上1年未満 | 10日前 |
| 1年以上3年未満 | 20日前 |
| 3年以上 | 30日前 |
予告を受けた労働者は、別の仕事を探すために、勤務時間中に請假して外出できます。請假の時間は、1週間につき2日分の勤務時間を超えてはならず、その間の賃金は支払われます(同条第2項)。
雇用主が、この期間どおりに予告せずに契約を終了した場合は、予告期間の賃金を支払う必要があります(同条第3項)。
資遣費の計算
資遣費の計算方法は、労働者が適用される退職金の制度によって異なります。
旧制(勞基法の退職金制度)。 勞基法第17条は、雇用主が同じ事業単位で継続して勤めた労働者に、勤続1年ごとに平均賃金の1か月分の資遣費を支払うと定めています。1年未満や端数の月は、比例して支払います。1か月に満たない場合は、1か月として計算します。
新制(勞工退職金条例)。 勞工退職金条例第12条第1項は、新制が適用された後の勤続年資について、勤続1年ごとに平均賃金の0.5か月分の資遣費を支払い、1年未満は比例して支払うと定めています。最高は6か月分の平均賃金です。この場合、勞基法第17条は適用されません。
どちらの制度でも、資遣費は、労働契約が終了してから30日以内に支払います(勞基法第17条第2項、条例第12条第2項)。
新制が適用される労働者のうち、勞基法の退職金制度を継続する選択をした人は、資遣費と退職金を、勞基法第17条などの規定で支払います(条例第12条第3項)。
予告なしで終了する場合
勞基法第12条は、労働者に次のいずれかの事由があるときに、雇用主が予告なしで契約を終了できると定めています。
- 契約を結ぶときに虚偽の意思を示し、雇用主に損害のおそれを生じさせた。
- 雇用主、家族、代理人、同僚に暴力をふるい、または重大な侮辱をした。
- 有期懲役以上の刑が確定し、執行猶予や罰金への換刑が認められない。
- 労働契約または就業規則に違反し、情節が重大である。
- 故意に機械・道具・原料・製品などを損耗し、または営業上・技術上の秘密を漏らして、損害を与えた。
- 正当な理由なく連続して3日、または1か月に6日、無断で欠勤した。
雇用主は、このうち第1号、第2号、第4号から第6号による終了を、事由を知った日から30日以内に行います(同条第2項)。
第12条により予告なしで契約を終了した場合は、第18条第1項第1号により、労働者は予告期間の賃金と資遣費を請求できません。
従業員側から終了する場合
勞基法第14条は、雇用主が契約を結ぶときに虚偽の意思を示した場合、暴行や重大な侮辱があった場合、契約の仕事が労働者の健康を害するおそれがある場合、雇用主が契約や労働法令に違反して労働者の権利を害するおそれがある場合などに、労働者が予告なしで契約を終了できると定めています。
労働者が第1号によって終了するときは、事由を知った日から30日以内に行います。第6号は、損害の結果を知った日から30日以内でもかまいません(同条第2項但書)。
服務証明書
勞基法第19条は、労働契約が終了したとき、労働者が服務証明書の発給を求めたら、雇用主や代理人は拒んではならないと定めています。
手順
- 終了の事由が、第11条の5つか、第12条の予告なしの事由に当たるかを確認する。
- 第11条の場合は、勤続(3か月以上1年未満、1年以上3年未満、3年以上)に応じて、10日前、20日前、30日前に予告する。
- 予告期間中は、労働者の外出のための請假に応じる(週2日分の勤務時間まで)。
- 労働者が、旧制か新制のどちらの退職金制度の対象かを確認する。
- 資遣費を、旧制は1年あたり1か月分、新制は1年あたり0.5か月分(最高6か月分)で計算する。
- 契約の終了から30日以内に、資遣費を支払う。
- 労働者が求めたら、服務証明書を発給する。
注意点
- 第11条の5つの事由以外の理由では、予告して終了することもできません。
- 予告なしの終了は、事由を知ってから30日以内に行う必要があります。
- 新制の資遣費の最高は6か月分です。勤続が12年以上の労働者でも、それを超えません。
- 産休中、労災の療養中などの保護される期間の扱いは、この記事では扱いません。
よくある質問
台湾で、従業員に予告して辞めてもらうには、何日前に伝えますか。
勤続3か月以上1年未満は10日前、1年以上3年未満は20日前、3年以上は30日前です(勞基法第16条)。
資遣費はいくらですか。
旧制は勤続1年あたり平均賃金の1か月分です。新制は1年あたり0.5か月分で、最高6か月分です(勞基法第17条、勞工退職金条例第12条)。
資遣費はいつまでに払いますか。
労働契約の終了から30日以内です。
無断欠勤が続いたら、予告なしで解雇できますか。
正当な理由なく連続して3日、または1か月に6日欠勤した場合は、予告なしで契約を終了できます。事由を知った日から30日以内に行います(勞基法第12条)。
出典
- 全國法規資料庫「勞動基準法」第11・12・14・16・17・18・19條(2026-10-17 查證):繼續工作三年以上者,於三十日前預告之。
- 全國法規資料庫「勞工退休金條例」第12條(2026-10-17 查證):每滿一年發給二分之一個月之平均工資,未滿一年者,以比例計給;最高以發給六個月平均工資為限。