台湾の領収書と統一発票の違い|三聯式・二聯式・電子発票の使い分け
法人宛ては三聯式、個人宛ては二聯式。1件50元未満は日末に彙開が可能。
台湾には日本の領収書に当たる書類が1種類ではなく、買い手が法人(営業人)か個人(非営業人)かで書式が変わります。法人宛ての取引には三聯式、個人宛てには二聯式の統一発票が使われ、いずれも電子発票で発行することが認められています。財政部の「統一發票使用辦法」第7条がこの区分を定めており、第4条は発票を使わなくてよい事業者を挙げています。日本企業が台湾の子会社で経理を立ち上げる前に、書式ごとの役割と保存先を押さえておく必要があります。
統一発票の種類と用途
使用辦法第7条は、統一発票を次の5種類に整理しています。
| 種類 | 使う場面 | 構成 |
|---|---|---|
| 三聯式 | 営業人から営業人への販売。営業税額を計算する通常の課税方式 | 存根聯(発行側保管)、扣抵聯(買い手が税額控除用)、收執聯(買い手の帳簿用)の3枚 |
| 二聯式 | 営業人から非営業人(個人など)への販売 | 存根聯(発行側保管)、收執聯(買い手)の2枚 |
| 特種統一発票 | 営業税法第4章第2節の特別な計算方式(金融など)を使う事業者 | 存根聯と收執聯の2枚 |
| 收銀機統一発票 | レジで発行する場合 | レジ使用辦法に従う |
| 電子発票 | 販売時にインターネット等の電子方式で発行・送信・受信するもの | 存根檔、收執檔、存證檔 |
日本の感覚では「領収書は1枚、請求書は別」と分けますが、台湾では三聯式の扣抵聯が仕入税額控除の証憑になる点が決定的に違います。買い手が営業人なら、自社の名称・住所・統一編號を記載した三聯式を求める理由は、この控除に使うためです。
電子発票の仕組み
電子発票は、紙の発票と並ぶ正式な統一発票です。発行者は存根檔を自社で保存し、存證檔を財政部の電子発票整合服務平台へ送信します。買い手が個人の場合は、財政部が承認した載具(キャリア)の識別情報とランダム番号を併せて平台へ送り、買い手が平台で照会・受信できるようにします。買い手が法人の場合は、発行後に営業税法の時限内に平台へ存証し、平台から買い手へ通知されます。発行者がこれらを満たせば、買い手に交付したものとみなされ、買い手は電子発票を取得したものとみなされます。
雲端発票という種類もあり、財政部承認の載具を使う買い手、または寄付コードで団体へ寄付する場合に、証明聯を印刷しない電子発票を指します。営業税法第6条第4号の営業人、つまり台湾に固定の営業場所がない外国の事業者が、インターネットなどで電子役務を台湾内の個人に販売する場合は、記載事項を外国語、日付を西暦、金額を外貨表示にでき、外貨表示のときは計価通貨を併記します。
発票を使わなくてよいケース
第4条は、次のような事業者・取引について統一発票の使用または発行を免除できるとしています。
- 小規模営業人
- 計程車業(タクシー)など交通運輸事業の客票収入
- 医院・診所による医療役務、薬品、病室の宿泊と食事
- 学校など教育文化機関の教育役務
- 銀行業、保険業、信託投資業、証券業、期貨業、票券業
- 営業人が外銷(輸出)する貨物、輸出に関連する役務、国内で提供して国外で使用される役務
日本から台湾へ物販やサービスを輸出する側の事業者は、台湾側で営業人に該当するかどうかで扱いが変わります。免用の対象かどうかは、台湾の主管稽徵機関(国税局)が最終的に核定するため、自社の業種で判断を確定させてから運用を決めます。
少額取引と按月彙開
第15条は、1件あたりの売上額と営業税額の合計が50元(NT$50)未満の取引について、買い手の要求がなければ逐件の発行を省略できるとしています。ただし、1日の営業終了時にその日の総額を「彙開」と記して1回で発行します。電子発票やレジ発行の場合はこの特例を使えません。
また、第15条の1により、無滞納で、直近2年度の営利事業所得税を会計士の簽證または藍色申告書で処理している営業人は、他の営業人向けの取引を月末に1回で一括発行できる申請が認められます。
手順
- 取引先が営業人か個人かを確認する。法人なら三聯式(または電子発票の営業人宛て)、個人なら二聯式を選ぶ。
- 初回の購票時は、主管稽徵機関で統一発票購票證を受け、専用章を用意する。
- 電子発票に切り替える場合は、財政部の電子発票整合服務平台へ存証できる仕組みを会計システム側で確認する。
- 品名、数量、単価、金額、売上額、課税別、税額、総計を、課税・零税率・免税を分けて記載する。
- 2か月ごとの営業税申告(零税率の営業人は申請により月次)に、統一発票明細表を添えて、発行した発票の内容と整合させる。
注意点
- 三聯式は買い手の名称と統一編號を必ず記載します。法人宛てなのに二聯式で出すと、買い手が税額控除に使えません。
- 製造業や輸入貿易を営む営業人が個人へ販売する場合、買い手の名称と住所、または身分証統一編號の記載が求められます。
- 1件の取引が50元未満でも、買い手が求めれば1件ずつ発行します。
- 購票証の紛失は即日、番号を稽徵機関に届け出て再交付を受けます。
よくある質問
台湾の領収書は統一発票と別物ですか。
日本の領収書に当たる書類は、統一発票が中心です。営業税法第32条1項は、営業性質が特殊な営業人と小規模営業人について、普通收據(普通の領収書)を発行して統一発票を使わなくてよいと定めます。また同条は、応税の貨物・役務の価格は営業税を内含して表示するとしています。買い手が営業人の場合、営業税の仕入税額控除の証憑として第33条が挙げるのは、名称・住所・統一編號を記載した統一発票などで、普通收據は条文に挙がっていません。
三聯式と二聯式の違いは何ですか。
三聯式は営業人向けで3枚構成、扣抵聯が買い手の税額控除に使われます。二聯式は個人向けの2枚構成です。
電子発票は紙の発票より簡略ですか。
簡略かどうかを条文は定めていません。電子発票は紙と同じ正式な統一発票で、存根檔、收執檔、存證檔の3つで構成され、存證檔を財政部の平台へ送る義務があります。
NT$50未満の取引でも発票が必要ですか。
買い手が求めれば発行します。求められなければ、その日の合計を営業終了時に1枚の彙開発票にまとめられます。
出典
- 全國法規資料庫「統一發票使用辦法」第7條(2026-10-17 查證):三聯式統一發票:專供營業人銷售貨物或勞務與營業人。
- 全國法規資料庫「統一發票使用辦法」第4・6・7-1・9・15・15-1條、「加值型及非加值型營業稅法」第32・33條(2026-10-17 查證):每筆銷售額與銷項稅額合計未滿新臺幣五十元之交易,除買受人要求者外,得免逐筆開立統一發票。