台湾の個人情報保護法|収集時の告知6項目・特別な個人情報・2025年11月改正の内容
台湾の個人資料保護法は収集時に6項目の告知が必要。2025年11月に改正公布、施行日は行政院が決める。
台湾で従業員や顧客の個人情報を扱う日本企業は、個人資料保護法(個資法)に従う必要があります。非公務機関(民間企業)が個人情報を集めるときは、第8条により、機関名、収集目的、情報の種類、利用の期間・地域・対象・方法、本人が行使できる権利、提供しない場合の影響の6項目を本人に告知します。2025年11月11日には法律が改正公布されましたが、施行日は行政院が別に定める形で、2026年10月17日の時点で施行日の公告は確認できていません。ここでは現行の基本ルールと、改正の内容を分けて整理します。
個人資料の範囲と特別な情報
第2条は、個人資料を、氏名、生年月日、国民身分証統一編号、パスポート番号、特徴、指紋、婚姻、家族、教育、職業、病歴、医療、遺伝子、性生活、健康診断、犯罪前科、連絡方法、財務状況、社会活動など、個人を直接または間接に識別できる情報と定義しています。第6条は、このうち病歴、医療、遺伝子、性生活、健康診断、犯罪前科の6種類を、原則として収集・処理・利用してはならないと定めます。例外は、法律の明文、法定義務の履行に必要な範囲、本人が公開した情報、本人の書面による同意などです。
日本企業が従業員の健康診断結果を扱うときや、採用時に犯罪経歴を確認したいときは、この例外に当たるかを確認します。書面での同意を使う場合も、特定目的の必要な範囲を超える利用や、本人の意思に反する同意は認められません。
収集・利用のルール
| 条 | 内容 |
|---|---|
| 第8条 | 本人から収集するとき、6項目を明確に告知する |
| 第9条 | 本人以外から収集した情報は、処理や利用の前に、情報の出所と第8条の項目を告知する |
| 第19条 | 収集・処理に特定の目的があり、法律の明文、契約関係、本人の同意などのいずれかに当たること |
| 第20条 | 利用は、収集の特定目的の必要な範囲内で行う |
第20条の第2項と第3項は、収集した情報をマーケティングに使う場合、本人が拒否を表明したら直ちに停止し、最初のマーケティングのときに拒否の方法を提供し、必要な費用を負担すると定めています。
国際移転の制限
第21条は、非公務機関が個人資料を国外へ移転する場合に、主管機関が制限できるケースを4つ挙げています。
- 国の重大な利益に関わる場合
- 国際条約や協定に特別の規定がある場合
- 受け入れ国の保護法制が不十分で、本人の権益を損なうおそれがある場合
- 第三国を経由して本法を回避する場合
日本の本社に台湾の従業員情報を送る場合は、この規定によって主管機関が制限する可能性があります。本稿の「主管機関」は改正後の条文の表記(個人資料保護委員会)です。同委員会が主管機関として発足するまでの間、制限する機関が誰かは、施行済みの条文で確認します。
2025年11月11日の改正の内容
法律は2025年11月11日に、第1-1条、第12条、第18条、第21条、第22〜26条、第41条、第47〜49条、第52条、第53条、第55条を修正し、第1-2条、第20-1条、第21-1〜21-5条、第51-1条、第53-1条を増訂し、第27条を削除して公布されました。施行日は行政院が定めるとされています。
改正条文の主な内容は次のとおりです。
- 主管機関は個人資料保護委員会(第1-1条)。
- 個人資料が盗まれる、改ざんされる、毀損される、滅失する、漏洩したことを知った機関は、本人に通知する。一定の範囲では主管機関にも通報する(第12条)。
- 個人資料ファイルを持つ非公務機関は、安全維持措置を取る(第20-1条)。
- 安全維持義務(第20-1条)などに違反した非公務機関には、2万元以上200万元以下の罰鍰を科し、期限内に改善されなければ、15万元以上1,500万元以下の罰鍰を按次に科す(改正後の第48条)。この金額の枠が旧条文からあるものか、改正で初めて設けられたものかは、本稿では旧条文を取得できておらず、確認していません。
罰則のうち第41条は、不法な利益を得る意図で第6条第1項などに違反し、他人に損害を与えるおそれがあるときは、5年以下の有期懲役とし、併せて100万元以下の罰金を科すことができる(得併科)と定めます。
手順
- 台湾で収集する個人資料(従業員、顧客、取引先)を一覧にし、第6条の特別な情報が含まれるかを確認する。
- 収集時の告知書面に、第8条の6項目を入れる。
- 利用目的を、収集時の特定目的の範囲に限定する。マーケティングには拒否の方法を付ける。
- 日本本社への情報の移転がある場合は、移転の範囲と目的を記録し、主管機関の制限の有無を確認する。
- 改正法の施行日の公告を確認し、漏洩時の通知・通報の手順と安全維持措置を整備する。
注意点
- 全国法規資料庫に表示されている条文は、2025年11月11日の改正後のものです。施行されるまでは、現行の施行済み条文と異なる部分があります。
- 台湾の特別な情報は、第6条が挙げる6種類です。自社の取扱い項目が、この6種類に当たるかを個別に確認します。
- 本人から収集しない情報も、第9条の告知が必要です。取引先の名簿を購入して使う場合が典型です。
- 罰則額は施行日の前後で適用される条文が変わるため、施行日が公告された時点で再確認します。
よくある質問
台湾の個人情報保護法は、日本企業にも適用されますか。
台湾内で個人資料を収集・処理・利用する非公務機関が対象で、台湾の子会社や支店は従います。さらに第51条第2項は、公務機関と非公務機関が台湾の領域外で台湾国民の個人資料を収集・処理・利用する場合にも、この法律が適用されると定めています。日本の本社が、日本国内で台湾の人の個人情報を扱う場合も、対象になり得ます。
個人情報を集めるとき、本人に何を告知しますか。
第8条により、機関名、収集目的、情報の種類、利用の期間・地域・対象・方法、本人の権利、提供しない場合の影響の6項目です。
2025年11月の改正は、もう施行されていますか。
2025年11月11日に公布されました。施行日は行政院が定めるとされ、2026年10月17日時点で施行日の公告は確認できていません。
台湾から日本へ個人情報を送れますか。
原則として一律の禁止ではありません。第21条は、国の重大な利益に関わるなど4つの場合に、主管機関が国際移転を制限できると定めています。制限の有無は個別に確認し、移転の目的と範囲を記録しておきます。
出典
- 全國法規資料庫「個人資料保護法」(民國114年11月11日修正)第2・6・8・9・19・20・21條(2026-10-17 查證):非公務機關為國際傳輸個人資料,而有下列情形之一者,主管機關得限制之。
- 全國法規資料庫「個人資料保護法」第12・20-1・41・48條(2026-10-17 查證):公務機關或非公務機關知悉所保有之個人資料被竊取、竄改、毀損、滅失或洩漏時,應通知當事人。
- 全國法規資料庫「個人資料保護法」第51條第2項(2026-10-17 查證):公務機關及非公務機關,在中華民國領域外對中華民國人民個人資料蒐集、處理或利用者,亦適用本法。