台湾でオフィスを借りるときの契約|民法の「1年超は書面」・催告後に家賃滞納2か月で終了・担保金は2か月分
1年超の賃貸借は書面が必要。催告しても支払われず滞納が2か月分に達すれば貸主は終了でき、期間の上限は20年。
台湾に拠点を作る日本企業は、会社を登記する前後にオフィスを借りることが多く、その賃貸借契約は台湾の民法が基本のルールです。民法の賃貸借の規定には、期間、修繕、滞納による解除、契約の終了、建物が売却されたときの扱いなどが含まれます。この記事では、オフィスの賃貸借契約を結ぶ前に確認する民法と土地法の条文を、条番号とともに整理します。実際の条項の交渉や、賃料の相場は扱いません。
書面にする必要がある契約
民法第422条は、不動産の賃貸借で期間が1年を超えるものは、書面(字據)で結ぶと定めています。書面で結ばなかった場合は、期間の定めのない賃貸借とみなされます。
期間の上限は、民法第449条第1項により20年です。20年を超える期間は20年に短縮されます。当事者は、期間を更新できます(同条第2項)。
契約の終了
期間を定めた賃貸借は、期限が来ると終了します(民法第450条第1項)。期間を定めていない場合は、各当事者がいつでも終了できます。ただし、承租人に有利な慣習があれば、それに従います(同条第2項)。不動産の家賃が1か月ごとに支払われるときは、貸主は暦の月末を終了日とし、少なくとも1か月前に通知します(同条第3項)。
期間の満了後も借り手が使い続け、貸主がすぐに反対の意思を示さなければ、期間の定めのない契約として続いたものとみなされます(第451条)。
修繕
民法第429条第1項は、賃貸物の修繕は、契約に別の定めがあるか、別の慣習がない限り、貸主が負担すると定めています。貸主が賃貸物を保存するために行う必要な行為を、借り手は拒めません(同条第2項)。
借り手が貸主の負担すべき修繕が必要になったと考える場合は、相当の期間を定めて貸主に催告できます。貸主が期間内に修繕しなければ、借り手は契約を終了するか、自分で修繕して費用の償還または家賃との相殺を請求できます(第430条)。
オフィスの内装や設備の工事が、「契約に別の定め」に当たるかどうかは、契約書の文面で決まります。
家賃の滞納による解除
民法第440条第1項は、借り手の家賃の支払いが遅れたとき、貸主は相当の期間を定めて催告でき、借り手がその期間内に支払わなければ、契約を解除できると定めています。
賃貸物が建物の場合は、滞納の合計が2か月分の家賃に達しなければ、この規定による解除はできません。家賃が各期の初めに支払う約束なら、2か月を超えて遅れたときに初めて解除できます(同条第2項)。
建物の売却と賃貸借
民法第425条第1項は、貸主が賃貸物を引き渡した後、借り手が占有している間に、所有権を第三者に譲っても、賃貸借はその第三者に対して続くと定めています。ただし、公証を受けていない不動産の賃貸借で、期間が5年を超えるものと、期間の定めのないものには、この規定が適用されません(同条第2項)。
土地法の担保金と家賃の上限
土地法第97条第1項は、都市の房屋の家賃は、土地と建物の申告総価額の年10%を超えないと定めています。約束した家賃がこれを超えるときは、直轄市または県(市)政府が、基準に従って強制的に減額できます(同条第2項)。
土地法第98条は、現金を賃貸借の担保にしたときに、その現金の利息を家賃の一部とみなすと定めています。第99条は、この担保金が2か月分の家賃の合計を超えてはならず、超過分は借り手が家賃に充てられると定めています。
土地法のこれらの条文が、オフィスや店舗など、住居以外の賃貸にどのように適用されるかは、条文の文言だけでは分かりません。個別の契約では、確認が必要です。
手順
- 借りる建物の所有者と、登記された建物の面積・用途を確認する。
- 賃貸借の期間を決める。1年を超える場合は、書面で契約する。
- 修繕、内装工事、原状回復の負担を、契約書に明記する。
- 家賃の支払日と、担保金の金額を決める。担保金は2か月分以内を基準に確認する。
- 期間の途中で終了する場合の条件(通知期間、違約金など)を、契約書に定める。
- 建物の所有者が変わった場合の扱いを、民法第425条で確認する。
- 会社登記に賃貸借契約書の写しを使う場合は、別稿の登記住所の記事の添付書類と照らして確認する。
注意点
- 民法の規定の多くは、契約で別の定めを置けます。契約書の文面が優先される場合があります。
- 公証を受けていない5年超の契約は、建物の売却後に新しい所有者に対抗できない場合があります。
- 土地法の担保金の上限と家賃の上限が、オフィスにも当てはまるかは、確認が必要です。
- 賃貸借に関わる営業税や印紙税は、本稿では扱いません。
よくある質問
台湾でオフィスを借りるとき、契約は書面にする必要がありますか。
期間が1年を超える不動産賃貸借は、書面で結ぶ必要があります。書面でなければ、期間の定めのない賃貸借とみなされます(民法第422条)。
家賃を滞納すると、いつ契約を解除されますか。
貸主が催告し、借り手が期間内に支払わなければ、解除できます。建物の場合、滞納の合計が2か月分に達している必要があります(民法第440条)。
賃貸借の最長期間は何年ですか。
20年です。当事者は更新できます(民法第449条)。
担保金はいくらまで預けられますか。
土地法第99条は、2か月分の家賃の合計を超えてはならないと定めています。
出典
- 全國法規資料庫「民法」第422・425・429・430・440・449・450・451條(2026-10-17 查證):租賃物為房屋者,遲付租金之總額,非達二個月之租額,不得依前項之規定,終止契約。
- 全國法規資料庫「土地法」第97・98・99條(2026-10-17 查證):前條擔保之金額,不得超過二個月房屋租金之總額。