台湾への出張で就労許可が必要になるケース|30日・90日の例外と罰則15万〜75万元
台湾で働く外国人は原則許可が必要。無許可就労は外国人に3万〜15万元、雇主に15万〜75万元の罰鍰。
台湾の就業服務法第43条は、例外を除き、外国人は雇主が申請した許可を得ずに台湾で働いてはならないと定めています。日本人が台湾へ出張する場合も、勞動部の函釈が「商務行為」などを第43条の対象外の類型として挙げており、機械の据付や技術指導のように台湾内の特定の相手に労務を提供する出張とは扱いが分かれます。許可なく働けば、外国人本人にNT$30,000以上NT$150,000以下、雇用した側にNT$150,000以上NT$750,000以下の罰鍰が科されます。出張の目的と日数ごとに、許可が要るかどうかを条文で整理します。
原則と罰則
第43条は「除本法另有規定外,外國人未經雇主申請許可,不得在中華民國境內工作」と定めます。条文自体には、出張者の打ち合わせや商談と「工作(働くこと)」の線引きを定義した規定がありません。代わりに勞動部の函釈(2018年11月27日 勞動發管字第1070507378號。2021年9月13日の函、11005117021號が補足)が、第43条の対象外となる行為を、商務行為、課程実習・研修行為、補助的サービス行為、一般的な交流行為、その他の5類型に分けて列挙しています。函釈は、これらの列挙に当たらない行為は、法の趣旨と個別の事実で判断するとしています。出張の内容が商務行為に当たるか判断に迷う場合は、函釈の附表と勞動部勞動力發展署で確認します。
罰則は次のとおりです。
| 対象 | 違反内容 | 罰則 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 外国人本人 | 許可なく就労(第43条違反) | NT$30,000以上NT$150,000以下の罰鍰。ただちに出国を命じられ、再び働けない | 第68条 |
| 雇主 | 許可のない外国人を雇う(第57条第1号)、不法に外国人を受け入れて働かせる(第44条。条文は「任何人不得非法容留外國人從事工作」) | NT$150,000以上NT$750,000以下の罰鍰。5年以内の再違反は3年以下の懲役、拘留または120万元以下の罰金 | 第63条 |
出国命令を受けても期限内に出国しない場合は、入出国管理機関が強制出国させ、出国までの間は収容することができます(第68条第4項)。
短期の例外(入国査証を就労許可とみなす場合)
雇主聘僱外國人許可及管理辦法第5条は、一定の目的で入国する外国人について、停留期間が30日以下の入国査証または入国許可を就労許可とみなすと定めます。対象は次のとおりです。
- 就業服務法第51条第3項の履約の仕事に従事する人
- 公益目的で、緊急事故による問題の解決を助ける専門性または技術性の仕事に従事する人
- 主管機関が認めた、または大学・政府機関に招かれた著名な専門家で、講演や技術指導を行う人
- 政府機関や各国の駐台使領館・外国機関に招かれ、非営利の実演や活動を行う人
また、入出国管理機関から学術及び商務旅行カード(ABTC)の発給を受けた外国人が、講演や技術指導を行う場合は、停留期間90日以下の入国が就労許可とみなされます。第12条により、第5条の人で停留期間が31日以上90日以下の場合は、入国後30日以内に、第9条の手続で許可を申請できます。
外国法人の履約人員(第51条第3項)
就業服務法第51条第3項は、外国法人が請負、売買、技術協力などの契約を履行するために外国人を台湾に派遣する場合を扱います。台湾に分公司や代表人辦事處(駐在員事務所に当たる代表処)がない外国法人は、契約相手の事業機関または授権された代理人が、勞動部へ許可を申請します。
審査標準第7条は、この派遣の期間が90日以下であれば、外国人の資格が第5条(修士以上、跨国企業勤務1年以上など)の制限を受けないと定めます。ただし、申請日から前1年の間の履約期間と今回の期間を合計して90日を超える場合は、第5条の第1号、第2号、第4号の資格が必要になります。日本のメーカーが台湾の取引先に機械を納入し、据付の指導のために技術者を数回派遣するときは、年間の累計日数に注意します。
手順
- 出張の目的を、打ち合わせ・視察などか、据付・保守・技術指導などの労務かに分ける。
- 労務を伴う場合は、日数が30日以下か、90日以下かを確認し、第5条の例外に当たるかを調べる。
- 契約履行のための派遣なら、台湾の契約相手を通じた許可申請(第51条第3項)を準備する。
- 過去1年間の台湾での履約日数を合算する。
- 判断に迷う場合は、勞動部勞動力發展署に事前に確認し、結果を記録に残す。
注意点
- 査証免除で入国できることと、働いてよいことは別です。入国の条件は入出国及移民法、就労は就業服務法が定めます。査証免除の期間そのものは別稿で扱います。
- 30日以下の例外は、辦法第5条が挙げる4類型の活動に限られます(履約の仕事、公益目的の緊急対応、著名専門家の講演・技術指導、政府機関などに招かれた非営利の実演・活動)。これ以外の仕事は、例外の対象としては読めません。
- 累計90日は、審査標準第7条が派遣される外国人の資格要件として定めています。同じ技術者を何度も派遣すると、早く超えるため、日程表で管理します。
- 台湾側の取引先が許可のない外国人を働かせた場合、第44条・第57条により、取引先にも罰則が及ぶ可能性があります。
よくある質問
台湾への出張で働くには必ず許可が必要ですか。
第43条の原則は、雇主が申請した許可なしに台湾で働けません。ただし、第5条の30日以下の例外、ABTCの90日以下の例外、第51条第3項の履約人員の扱いがあります。
許可なく働いたら、どんな罰則がありますか。
外国人本人はNT$30,000〜150,000の罰鍰とただちの出国命令、雇主はNT$150,000〜750,000の罰鍰です。
履約人員の90日はどう数えますか。
申請日から前1年の履約期間と今回の期間を合算して、90日を超えるかを判断します。超えると、修士以上などの資格が求められます。
出張者の打ち合わせは働くことに当たりますか。
条文に定義はありませんが、勞動部の函釈が商務行為などの5類型を挙げています。函釈の列挙に当たらない場合は個別の事実で判断されるため、勞動部勞動力發展署へ確認します。
出典
- 全國法規資料庫「就業服務法」第43・51・57・63・68條(2026-10-17 查證):除本法另有規定外,外國人未經雇主申請許可,不得在中華民國境內工作。
- 全國法規資料庫「雇主聘僱外國人許可及管理辦法」第5・12條(2026-10-17 查證):停留期間在三十日以下之入國簽證或入國許可視為工作許可。
- 全國法規資料庫「外國人從事就業服務法第四十六條第一項第一款至第六款工作資格及審查標準」第7條(2026-10-17 查證):其工作期間在九十日以下者,外國人資格不受第五條之限制。
- 勞動部「補充107年11月27日勞動發管字第1070507378號函附表內容」(2021-09-13)(2026-10-17 確認):分為商務行為、課程實習或研修行為、輔助性服務行為、一般聯誼行為及其他非為境內任何人提供勞務為目的,且無妨礙本國人就業機會之行為共5類。