日台租税取決めの利子・使用料|台湾国内の源泉税率20%が10%上限に下がる仕組み
日台取決めで、利子と使用料の源泉地での税は10%が上限。台湾国内税率は一般の利子・使用料が20%。
台湾の会社が日本の企業へ利子や使用料(ロイヤルティ)を払うとき、台湾の国内法では非居住者への源泉徴収が20%です。日台民間租税取決めの第11条と第12条は、受益者が相手側の居住者である場合、源泉地での税額が利子・使用料の額の10%を超えないと定めています。台湾子会社への貸付や、日本本社が持つ特許・商標のライセンス料を設計するとき、どちらの税率を前提にするかで手取りが変わります。国内税率と取決めの上限、対象の範囲を整理します。
台湾の国内法の源泉徴収率
財政部の「各類所得扣繳率標準」(2021年6月30日修正)第3条は、台湾内に居住しない個人や、台湾内に固定の営業場所がない営利事業(日本企業など)への源泉徴収率を、次のように定めています。
| 所得 | 台湾の国内税率 |
|---|---|
| 公債、社債、金融債の利子、短期票券の利子など | 15% |
| その他の利子 | 20% |
| 使用料(権利金) | 20% |
| 賃貸料 | 20% |
| 配当(株式の配当) | 21% |
つまり、日本企業が台湾の子会社へ貸し付けた金銭の利子(債券でない一般の貸付)は20%、ライセンス料も20%が国内の源泉徴収率です。
取決めの上限(第11条・第12条)
取決めの規定は次のとおりです。
- 第11条(利子):一方の地域で生じ、他方の地域の居住者に支払われる利子には、源泉地でも課税できるが、その税額は利子の額の10%を超えない。
- 第12条(使用料):同様に、使用料の額の10%を超えない。
たとえば、台湾の子会社が日本の親会社に100万元の使用料を払う場合、国内法の20%なら源泉税は20万元ですが、取決めの上限10%を適用できれば10万元です。ただし、取決めの特典を受けるための手続は、台湾の主管機関の規定に従います。本稿ではその手続を確認できていないため、実際の適用前に財政部と台湾の税務当局で確認します。
利子の免税(第11条第3項)
利子のうち、次の場合は、受益者の居住地側だけで課税します。
- 受益者が、相手側の行政当局、地方公共団体、中央銀行、または輸出促進を目的とする金融機関(その行政当局などが全額所有するもの)である場合
- 受益者が相手側の居住者で、その利子が、こうした金融機関によって保証・保険引受・間接融資された債権について支払われる場合
第11条第4項は、この金融機関を、日本は日本銀行、株式会社国際協力銀行、独立行政法人日本貿易保険、台湾は中央銀行と輸出入銀行と定めています。
「利子」と「使用料」の定義
第11条第5項は、利子を、あらゆる種類の信用に係る債権から生じた所得(担保の有無や債務者の利益の分配を受ける権利の有無を問わない)と定義します。公債、債券、社債の所得もこれに含まれます。ただし、配当に当たる所得、支払遅延に対する損害金、信用供与による設備や物品の販売・役務提供の一環として生じる債権の所得は、利子に含まれません。
第12条第3項は、使用料を、文学、芸術、学術上の著作物(映画フィルムなどを含む)の著作権、特許権、商標権、意匠、模型、図面、秘密方式・秘密工程の使用または使用の権利の対価、および産業上・商業上・学術上の経験に関する情報の対価として受け取る全ての種類の支払金と定義します。
取決めが適用されない場合
利子・使用料の受益者が、相手側の地域に恒久的施設(PE)を持ち、その債権や権利がPEと実質的な関連を有するときは、第11条・第12条の10%上限は適用されず、事業利得(第7条)の規定を適用します。
また、支払者と受益者の特別な関係により、利子や使用料の額が、その関係がなければ合意したとみられる額を超える場合は、合意したとみられる額にだけ取決めが適用されます。超過部分は、各地域の法令に従って課税されます。台湾子会社と日本親会社の関連者間のロイヤルティ率は、独立企業間価格の観点で検討する必要があります。
手順
- 取引ごとに、台湾の子会社が日本の親会社に払う所得が、利子、使用料、配当のどれに当たるかを分類する。
- 台湾の国内法の源泉徴収率(利子20%・15%、使用料20%)と、取決めの上限(10%)を比べる。
- 受益者の日本企業が、取決めの居住者の要件を満たすことを確認する。
- 適用手続を台湾の税務当局に確認し、必要書類を準備する。
- 関連者間の取引では、利子率・使用料率が独立企業間の条件と大きくずれていないかを点検する。
注意点
- 国内税率は、債券かそれ以外かで利子の15%と20%に分かれます。取決めの上限は、どちらにも10%です。
- 第11条の免税(政府・中央銀行など)は、10%への軽減とは別の扱いで、源泉地では課税されません。
- 使用料の対象にソフトウェアが含まれるかは、条文に明記されていません。契約の実態にもとづいて、台湾の税務当局に確認します。
- 本稿の国内税率は財政部の2021年6月30日修正版にもとづきます。改正がないか確認してから使います。
よくある質問
台湾から日本へ使用料を払うと源泉税は何%ですか。
国内法では20%、日台民間租税取決め第12条を適用できる場合は、使用料の額の10%を超えません。
利子の源泉税率はいくらですか。
一般の利子は国内法で20%、公債・社債・金融債などの利子は15%です。取決め第11条により、受益者が日本の居住者なら10%が上限です。
日本銀行向けの利子にも源泉税がかかりますか。
第11条第3項により、受益者が日本の中央銀行(日本銀行)などの場合、利子は受益者の居住地である日本だけで課税されます。
取決めの10%はどんな場合に使えませんか。
受益者が台湾内のPEを通じて事業を行い、その債権や権利がPEと実質的に関連する場合です。この場合は事業利得の規定が適用されます。
出典
- 日本台湾交流協会掲載「日台民間租税取決め」第11・12条(2026-10-17 確認):その税額は、当該利子の額の10パーセントを超えないものとする。
- 全國法規資料庫「各類所得扣繳率標準」第3條(2026-10-17 查證):權利金按給付額扣取百分之二十。