日台投資取決め(2011年9月22日署名)の中身|内国民待遇・収用の防止・送金の自由・ネガティブリスト方式
日台投資取決めは2011年9月22日署名。内国民待遇・収用防止・送金の自由・紛争解決を備える。
日本と台湾の間には、投資を保護するための民間の取決めがあります。2011年9月22日に、日本側の窓口機関の交流協会(当時の名称)と、台湾側の亜東関係協会(当時の名称)が、台北で「投資の自由化、促進及び保護に関する相互協力のための取決め」に署名しました。台湾の行政院は、2011年9月29日の院会で、この取決めの要点を発表しています。台湾に投資する日本企業が、投資財産の保護の枠組みを知るために、行政院の発表にもとづく要点を整理します。取決めの条文そのものは本稿では取得できていません。
署名の経緯
行政院の発表によれば、台湾は長年、日本と二国間の投資保護協定を結ぶ交渉を進めてきましたが、日本側が政治的な要因から前向きな返答をしなかったとされています。前年(2010年)から日本側の態度が前向きになり、複数回の協議を経て、2011年9月15日に協議草案の内容を確認し、9月22日に署名しました。台湾の行政院は、これを、台湾が重要な貿易相手と結んだ最初の経済貿易協議と位置づけています。
投資の保護については、国際的には、二国の政府が投資保障協議を結ぶのが通例だと、経済部は説明しています。台湾は、1952年に米国と「投資制度の保証に関する交換公文」を交わして以来、2011年の時点で29か国と二国間の投資保障協議を結んできました。
取決めの本文の要点
行政院の発表が挙げる、取決め本文の主な項目は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 内国民待遇 | 相手側の投資家に、自国の投資家と同様の待遇を与える |
| 最恵国待遇 | 第三国の投資家に与える待遇を下回らない待遇を与える |
| 透明性 | 投資に関する法規の透明性を確保する |
| 収用の防止 | 不当な収用を防ぐ |
| 資金の送金の自由 | 投資に関する資金の為替・送金の自由を保障する |
| 投資紛争の解決 | 投資に関する紛争の解決の手続 |
| 基本的な安全保障上の利益 | 一般的な適用除外の条項 |
| 第三国への特典の拒否 | 第三国の利益を拒否する条項 |
理律法律事務所のニューズレターによると、この取決めには、使用する現地原材料の比率に制限を設けることができなくなること、現地の国籍を持つ取締役や幹部を雇うよう要求できなくなること、投資家と相手国政府の投資紛争を国際仲裁機関に委ねることが含まれます。台湾が外国資本の投資を制限している電信、金融、海運などは、取決めの対象から除外されたとも説明されています。
附属書とネガティブリスト
行政院の発表によると、附属書では、現状の開放を原則とし、リストはネガティブリストの方式です。既存の措置についての留保と、将来、取決めに合わない措置を採る権利の留保に分かれ、リストに載る留保項目以外は、日本に対して開放された項目です。
つまり、日本の投資家は、台湾が留保として挙げた項目以外では、原則として開放された分野に投資できます。外資の禁止・制限業種の確認は、別稿のネガティブリストの記事で扱います。
第三国への特典の拒否
台湾は当時、中国大陸からの投資に制限を設けていました。行政院は、この制限を避けるため、日台間の投資取決めを利用した迂回投資(日台に空殻会社を作る、日本企業に出資する、台湾内の日系企業に出資するなど)を防ぐ目的で、「第三国に利益を与えることを拒否する条項」を置いたと説明しています。
手順
- 投資の分野が、台湾の外資制限(ネガティブリスト)に当たらないかを確認する。
- 取決めの利益を受ける投資家の定義(日本の投資家かどうか)を、取決めの本文で確認する。
- 台湾の投資審議など、国内法上の投資手続を別に進める。取決めは、国内の許可手続の代わりにはならない。
- 送金や収用など、投資の保護に関わる懸念が生じた場合は、本文の紛争解決の規定と、専門家の助言を使う。
注意点
- 取決めは、交流協会と亜東関係協会という民間の窓口機関の取決めです。台湾の行政院の発表も、協議の名称をこの2つの協会の名で記しています。
- 本稿は行政院の発表と、理律法律事務所のニューズレターにもとづきます。条文の文言は未確認のため、法的な判断に使う場合は、本文を取得して確認します。取決めの発効日と現在の有効性は、この記事では確認していません。
- 投資家や投資財産の定義、収用の補償の基準、仲裁の手続の詳細は、本稿では確認していません。
- 取決めが国内の許可手続を代替しないという点は、本稿の整理であり、取決めの本文では確認していません。
よくある質問
日台の投資取決めはいつ署名されましたか。
2011年9月22日に、台北で署名されました。
取決めは何を保護しますか。
行政院の発表では、内国民待遇、最恵国待遇、投資法規の透明性、不当な収用の防止、資金の送金の自由、投資紛争の解決などが挙げられています。
附属書はどんな方式ですか。
ネガティブリスト方式です。留保として載せられた項目以外は、日本に対して開放された項目になります。
中国大陸の資本が日台の取決めを使うことはできますか。
行政院は、迂回投資を防ぐために、第三国への特典を拒否する条項を置いたと説明しています。
出典
- 行政院「院会通過「亞東關係協會與財團法人交流協會有關投資自由化、促進與保護合作協議」」(2011-09-29)(2026-10-17 確認):附件部分:雙方約定以現況開放為原則,清單採負面表列方式。
- 理律法律事務所「日台投資協定」ニューズレター(2026-10-17 確認):国際仲裁機関による解決に委ねることがその重点に含まれる。