台湾の投資抵減|研究開発費15%・AI/5G設備5%、先端研究25%は研究開発費60億元以上
研究開発費は15%を当年の法人税から抵減(上限は税額の30%)。第10条は2029年末まで。
台湾には、研究開発や設備投資の支出に応じて法人税額を減らせる「投資抵減」があります。産業創新条例第10条は、研究開発費の15%を当年の営利事業所得税額から抵減する方式、または10%を3年間で抵減する方式のどちらかを選べると定め、いずれも各年度の抵減額は当年の納付税額の30%が上限です。台湾に子会社を置いて研究開発やAI・5Gの設備投資をする日本企業が、補助金とは別に検討できる税制を、2026年9月30日修正版の条文で整理します。
研究開発費の抵減(第10条)
直近3年間に、環境保護・労働・食品安全衛生の法律に関する重大な違反がない公司または有限合夥事業が対象です。研究開発の支出について、次の2つから1つを選びます。一度選ぶと変更できません。
| 方式 | 内容 |
|---|---|
| 方式1 | 支出額の15%を限度に、当年度の営利事業所得税額から抵減 |
| 方式2 | 支出額の10%を限度に、当年度から3年以内に各年度の税額から抵減 |
どちらの方式も、抵減額は当年度の営利事業所得税額の30%が上限です。税額が少ない子会社は、上限が先に効きます。第10条の施行期間は、条例第72条により、2017年11月24日から2029年12月31日までです。
AI・5G・省エネ設備の抵減(第10条の1)
2025年1月1日から2029年12月31日まで、新品のスマートマシン、5G、情報セキュリティ製品・サービス、AI製品・サービス、省エネ・脱炭素の設備やソフトなどを自社で使うために投資した場合、同一課税年度の支出が100万元以上20億元以下なら、次のいずれかを選べます。
- 支出額の5%を限度に当年度の税額から抵減
- 支出額の3%を限度に、当年度から3年以内に各年度の税額から抵減
抵減額は当年度税額の30%が上限です。申請には、一定の効果を持つ投資計画について、各中央目的事業主管機関の専案承認が必要で、同一課税年度に1回までです。
先端研究の抵減(第10条の2)
国際サプライチェーンで重要な位置を占め、台湾内で技術革新を行う公司は、次の条件を満たせば、前瞻創新研究開発支出の25%を当年度税額から抵減できます(上限は税額の30%)。
- 同一課税年度の研究開発費が60億元に達していること
- 同じ年度の研究開発費が営業収入純額の6%に達していること
- 当年度の実効税率が、2023年度は12%、2024年度以降は15%を下回らないこと(2024年度は、OECDの最低税負担制の状況により12%に調整され得るとの但書があります)
- 直近3年間に環境・労働・食品安全衛生法で重大な違反がないこと
以上は「公司前瞻創新研究發展及先進製程設備支出適用投資抵減辦法」第3条の基準です。研究開発費と営業収入純額は、会計士が査核簽證した当年度の個体損益計算書の金額で見ます。設備の5%抵減は、先進プロセス用の新品の機械・設備の購入額が同一課税年度に100億元に達する必要があります。研究開発支出は台湾内で行ったものに限られます(辦法第7条第1号。委託先や共同研究が国外の場合の例外あり)。第10条の2の施行期間は、2023年1月1日から2029年12月31日までです(条例第72条)。このため、実際に使えるのは、研究開発費が極めて大きい企業に限られます。
さらに、先進プロセス用の新品の機械設備を一定規模で購入した場合は、支出額の5%を抵減できます。条文の排除は2つに分かれます。25%の抵減を使う公司は、その年度の研究開発支出の全体について、第10条などの優遇を使えません。設備の5%抵減を使う公司は、その年度の機械・設備の購入支出の全体について、第10条の1などの優遇を使えません(第10条の2第3項)。
併用の上限
第10条の1と第10条の2は、同一年度に複数の投資抵減を併用する場合、合計の抵減額が当年度の営利事業所得税額の50%を超えないと定めています。
手順
- 子会社が公司または有限合夥事業として、直近3年間に重大な違反がないことを確認する。
- 研究開発費の支出と、設備投資の支出を、課税年度ごとに区分して記録する。
- 第10条の方式1(15%)か方式2(10%を3年)かを選ぶ。変更できないので、税額の見通しを立ててから決める。
- AI・5Gなどの設備投資は、投資計画を作り、主管機関の専案承認を申請する。
- 抵減額を、結算申告(5月)で当年度の税額から差し引く。
注意点
- 抵減は税額が出ていることが前提です。赤字や税額が小さい年度は、使い切れない場合があります。
- 第10条の適用範囲・申請手続きは、主管機関と財政部が定める辦法に委ねられています。第10条の1と第10条の2を含め、実際の申請前に最新の辦法を確認します。
- 先端研究の抵減(25%)は、辦法第3条の基準(研究開発費60億元、比率6%)を満たす大企業向けです。多くの日系子会社は、まず第10条(15%または10%)の適用を検討することになります。
- 先端研究の抵減の対象となる支出は、辦法第5条・第6条が定めます。全職の研究人員の給与、研究専用の消耗品、専用の特許・技術の償却などが対象で、行政管理費、例行的な資料収集、市場研究、出張費などは除かれます。
よくある質問
台湾の研究開発費の税額控除はいくらですか。
第10条により、支出額の15%を当年度に抵減するか、10%を3年で抵減するかを選びます。上限は当年度の営利事業所得税額の30%です。
AIや5Gの設備投資も抵減できますか。
第10条の1により、2025年1月1日から2029年12月31日まで、支出額の5%(または3%を3年)が抵減できます。支出額は100万元以上20億元以下で、専案承認が必要です。
複数の抵減を併用できますか。
併用はできますが、合計の抵減額は当年度税額の50%が上限です。25%の抵減や設備5%の抵減を使う場合は、同じ支出に他の優遇を重ねて使えない排除規定もあります。
外資系の子会社も対象になりますか。
条文の対象は、公司または有限合夥事業と書かれており、国籍による区別は条文にありません。個別の適用可否は、辦法と主管機関で確認します。
出典
- 全國法規資料庫「產業創新條例」第10・10-1・10-2條(民國115年9月30日修正)(2026-10-17 查證):於支出金額百分之十五限度內,抵減當年度應納營利事業所得稅額。
- 全國法規資料庫「所得稅法」第71條(2026-10-17 查證):每年五月一日起至五月三十一日止,填具結算申報書。
- 全國法規資料庫「公司前瞻創新研究發展及先進製程設備支出適用投資抵減辦法」第3・5・6・7條(2026-10-17 查證):在同一課稅年度內之研究發展費用達新臺幣六十億元。