台湾駐在員の就労許可|日本本社の転勤者に必要な「1年以上」と月給47,971元
駐在員は日本本社で1年以上勤務し、月給47,971元以上が基準。申請は台湾の雇用主が行う。
日本本社から台湾の子会社や支店へ駐在員を送る場合、就労許可の申請者は駐在員本人ではなく、台湾側の雇用主です。勤務資格の基本は、跨国企業(多国籍企業)に1年以上勤務し、台湾への派遣を受けた人であること。給与は月平均47,971元以上が下限として公告されています。ここでは、就業服務法に基づく「外国人從事就業服務法第四十六條第一項第一款至第六款工作資格及審查標準」と、雇主向けの許可管理辦法の条文から、駐在員の就労許可のハードルを整理します。
駐在員が当てはまる枠と資格要件
本稿が扱うのは、就業服務法第46条第1項第1款の「專門性或技術性工作」の枠です。審査標準第4条は、この専門技術性の仕事を、営繕工程・建築技術、交通事業、財税金融サービス、不動産経紀、移民サービス、弁護士・専利師、技師、ソーシャルワーカー(社会工作師)・医療保健、環境保護、文化・スポーツ・レジャーサービス、学術研究、獣医師、製造業、批発業(卸売業)など15のカテゴリで定めています。就業服務法第46条第1項第2款には、華僑または外国人が政府の許可を得て投資・設立した事業の「主管」(責任者)という別の枠があり、日本企業の台湾子会社の総経理(公司経理人)などがこちらに当たる場合は、同じ審査標準の第38条(資格)と第39条(雇用主の要件)が別に定めています。その詳細は本稿では扱いません。
審査標準第5条は、これらの仕事に就く外国人に、次のいずれかの資格を求めています。
- 専門職業及び技術人員考試法により証書または執業資格を得た者
- 大学の関連学科で修士以上の学位、または学士の学位と2年以上の関連実務経験を持つ者
- 跨国企業に1年以上勤務し、台湾への派遣を受けた者
- 専門訓練や自学により5年以上の関連経験を持ち、創見や特別な成果がある者
駐在員の典型は3番目です。日本本社や関連会社で1年以上働き、その企業が台湾への派遣を命じたことが基準になります。審査標準第5条第3号そのものには学位の要件がありません。ただし、許可管理辦法第9条は、申請書類に卒業証書の写しを求めています(本稿の書類の節を参照)。
給与の下限
審査標準第8条は、専門技術性の仕事に就く外国人の給与について、中央主管機関(勞動部)が公告する額を下回ってはならないと定めます。勞動部の公告(2017年8月14日発文、2017年8月1日施行)は、月平均給与を47,971元以上と定めています。この公告は勞動力發展署のサイトで2025年8月13日に検核されており、2025年時点で有効です。
この公告に改定がないかは、申請前に勞動部・勞動力發展署の最新公告で再確認してください。公告に、研究助理などの例外(学士の研究助理は月31,520元、修士は月36,050元)が含まれるため、自社の職種が例外に当たらないかも確認します。
台湾側の雇用主にも要件がある
審査標準第36条は、第4条第15款や製造業(第34条)、批発業(第35条)などの外国人を雇う雇用主に、次のいずれかの条件を求めています。
| 雇用主の区分 | 条件(いずれか) |
|---|---|
| 台湾の公司(設立1年未満) | 実収資本額500万元以上、営業額1,000万元以上、輸出入実績の総額100万米ドル以上、または代理手数料40万米ドル以上 |
| 台湾の公司(設立1年以上) | 最近1年または前3年度の平均で、営業額1,000万元以上、輸出入実績100万米ドル以上、または代理手数料40万米ドル以上 |
| 外国公司の台湾分公司(設立1年未満) | 台湾での営運資金500万元以上、営業額1,000万元以上、輸出入実績100万米ドル以上、または代理手数料40万米ドル以上 |
| 外国公司の台湾分公司(設立1年以上) | 最近1年または前3年度の台湾での平均営業額1,000万元以上など |
| 外国公司の代表人辦事處(駐在員事務所)で、台湾に実績がある場合 | 中央目的事業主管機関の許可を受けていること |
| 研発中心・企業営運総部 | 中央目的事業主管機関の承認を受けていること |
| その他 | 国内経済への実質的な貢献などで、専案認定を受けた場合 |
日本企業が新しく設立した製造業・卸売業の台湾子会社は、設立から1年未満の区分に当たります。月給や勤務経験の要件を満たしても、雇用主の要件を満たさないと許可は受けられません。
雇用主が出す申請書類
許可管理辦法第6条は、外国人が台湾で働く場合、雇主が中央主管機関に許可を申請すると定めています。第9条の第1類外国人(専門技術性の仕事に就く外国人)の申請書類は次のとおりです。
| 書類 | 備考 |
|---|---|
| 申請書 | 雇主が作成 |
| 申請人または会社負責人の身分証明、会社登記証明など | 台湾法人の登記が前提 |
| 雇用契約書の写し | 許可管理辦法第9条第1項第3号の書類 |
| 被雇用外国人の名簿、旅券写しまたは居留証写し、卒業証書写し | 卒業証書写しは第9条第1項第4号に含まれる。派遣の証明などは第6号の「その他中央主管機関が定める文書」として求められる場合がある(要確認) |
| 審査費の領収書 | 原本 |
第7条により、第1類から第4類の外国人を雇う申請は、勞動部が公告する項目についてネット送信で行います。書面の原本は雇主が5年以上保管します。
更新と不許可
許可期間の満了前4か月以内に、雇主は延長申請を出します(第11条)。許可期間が6か月に満たない場合は、期間の3分の2が過ぎてから申請します。第14条は、虚偽や失効した資料の提出、健康診断の不合格、書類不備の未補正があれば、許可や延長を不許可にするとしています。審査標準第2-1条は、外国人が申請日前3年以内に、無許可の就労、許可外の雇主での就労、連続3日の無断欠勤で連絡不能になるなどの事情が「あってはならない」と、要件として定めています。
手順
- 台湾側の雇用主(子会社・支店)の登記が済んでいることを確認する。
- 駐在員が日本本社または関連会社で1年以上勤務していることを、在職証明や人事記録で示せるようにする。
- 雇用契約で月給47,971元以上を確認する。
- 雇用主が勞動部へネットで許可を申請し、審査費を納める。
- 許可後、入国して居留証の手続き(移民署)に進む。
注意点
- 日本本社に在籍していても、台湾の雇用主が申請しなければ就労許可は得られません。
- 外国法人が契約履行のために派遣する人は、90日以下なら審査標準第5条の資格が不要になる特例があります。ただし、申請日から前1年の履約期間と今回の期間の合計が90日を超えると、第5条の第1号、第2号、第4号の資格が必要になります。
- 公告の下限は「月平均給与」です。雇用契約に記載する給与額で、この水準を満たすか事前に確認します。
- 3年以内に無許可就労などの事情があると、第2-1条の要件を満たしません。許可後は居留証(ARC)の手続きが必要で、制度は別稿の居留証の記事で扱います。
よくある質問
駐在員の就労許可は誰が申請しますか。
台湾側の雇用主が、勞動部へ申請します。外国人本人ではなく雇主が申請人です。
日本本社での勤務は何年必要ですか。
審査標準第5条第3号は、跨国企業に1年以上勤務し、台湾へ派遣を受けた人を対象にしています。
駐在員の月給は最低いくらですか。
勞動部の公告は、月平均給与47,971元以上を下限としています。改定の有無は、申請前に最新公告で再確認します。
就労許可の更新はいつ出しますか。
許可期間が切れる前の4か月以内です。6か月に満たない許可期間なら、期間の3分の2が過ぎてからです。
出典
- 全國法規資料庫「外國人從事就業服務法第四十六條第一項第一款至第六款工作資格及審查標準」第5・8條(2026-10-17 查證):服務跨國企業滿一年以上經指派來我國任職者。
- 勞動力發展署「專門性及技術性工作薪資公告」(106年8月14日)(2026-10-17 查證):其月平均薪資不得低於新臺幣四萬七千九百七十一元整。
- 全國法規資料庫「雇主聘僱外國人許可及管理辦法」第6・9・11條(2026-10-17 查證):聘僱許可有效期限屆滿日前四個月期間內,雇主如有繼續聘僱該第一類外國人之必要者。