台湾の個人所得税|年間183日で居住者に|居住者は5月に確定申告、非居住者は源泉徴収18%・基本工資の1.5倍以下は6%
1課税年度に台湾で183日以上居留する個人は居住者。居住者は5月に申告、非居住者の給与は18%の源泉徴収。
台湾に駐在する日本人は、台湾で何日過ごしたかによって、所得税の扱いが大きく変わります。台湾の所得税法は、個人を「境内居住の個人」と「非居住の個人」に分け、居住者には綜合所得税の結算申告、非居住者には源泉徴収を定めています。この記事では、所得税法の条文にもとづいて、居住者の判定、課税される所得の範囲、申告の時期、非居住者の源泉徴収の率を整理します。税率表や控除額は別稿で扱い、日台の租税取決めによる軽減は含みません。
居住者と非居住者の判定
所得税法第7条第2項は、台湾に居住する個人を、次の2種類と定めています。
- 台湾に住所があり、常に台湾に居住する人。
- 台湾に住所がなく、1課税年度のうちに台湾に居留した日数が合計183日以上の人。
この2種類以外の個人は、非居住者です(同条第3項)。つまり、住所のない外国人は、1つの課税年度で183日以上居留すると、居住者になります。
課税される所得の範囲
第2条は、台湾に源泉のある所得がある個人に、その台湾源泉の所得について、綜合所得税を課すと定めています。非居住者で台湾源泉の所得がある人は、特別な定めがない限り、納税額は源泉徴収によって納めます。
第8条は、台湾源泉の所得として、次のものなどを挙げています。
- 台湾の会社や、台湾で営業を認められた外国会社の配当。
- 台湾内で提供した労務の報酬。
- 台湾内の財産の賃貸による賃料、台湾内で使用させる特許権や商標権などの権利金。
- 台湾内の財産の取引の利益。
労務の報酬には例外があります。非居住者が、1課税年度に台湾内に居留した日数が合計90日を超えず、台湾外の雇用主から受け取る報酬は、台湾源泉の所得に含まれません(第8条第3号)。
居住者の申告
第71条第1項は、納税義務者が、毎年5月1日から5月31日までに、結算申告書を主管の税務機関へ提出し、前の年に得た所得と、減免や控除の事実を申告すると定めています。申告前に、年間の納税額から、暫繳税額や源泉徴収済みの税額を引いた結算税額を、自分で納めます。
非居住者の源泉徴収
台湾内の支払者は、非居住者に給与などを払うとき、各類所得扣繳率標準第3条の率で税を源泉徴収します。主な率は次のとおりです。
| 所得 | 率 |
|---|---|
| 給与 | 18% |
| 給与(個人で、全月の給与総額が行政院が定める基本工資の1.5倍以下) | 6% |
| 配当(個人株主) | 21% |
| 手数料 | 20% |
| 賃料 | 20% |
| 権利金 | 20% |
| 執行業務の報酬 | 20% |
| 退職所得 | 定額の免税を引いた残りに18% |
例として、2026年の基本工資が29,500元のとき、その1.5倍は44,250元(29,500 × 1.5)です。全月の給与総額がこの額以下の非居住者には、6%が適用されます(この計算は本稿のものです)。
手順
- 年間の台湾での居留日数を、日付ごとに記録する。
- 1課税年度に183日以上になるかを確認する。住所の有無も確認する。
- 居住者になる場合は、翌年5月1日から5月31日までに、結算申告をする。
- 非居住者の場合は、台湾内の支払者が、各類所得扣繳率標準の率で源泉徴収する。
- 台湾外の雇用主から受け取る報酬で、台湾内の居留が90日を超えない場合は、台湾源泉の所得に当たるかを確認する。
- 日台の租税取決めによる扱いは、別稿で確認する。
注意点
- 183日は、1課税年度(暦年)での判定です。年をまたいで数えません。
- 居住者になるかどうかは、毎年判定されます。
- 台湾源泉の所得があっても、居住者と非居住者では、課税の仕組みが異なります。
- 日本側の課税(日本の居住者の場合)は、本稿では扱いません。
よくある質問
台湾で何日過ごすと居住者になりますか。
台湾に住所がない人は、1課税年度のうちに、台湾に居留した日数が合計183日以上になると居住者です(所得税法第7条)。
居住者の確定申告はいつですか。
翌年の5月1日から5月31日です(第71条)。
非居住者の給与の源泉徴収率は。
原則18%です。個人の全月の給与総額が基本工資の1.5倍以下なら6%です(各類所得扣繳率標準第3条)。
台湾外の会社から給与をもらう出張者も、台湾で課税されますか。
非居住者で、1課税年度に台湾内の居留が合計90日を超えず、台湾外の雇用主から受け取る報酬は、台湾源泉の所得に含まれません(第8条第3号)。
出典
- 全國法規資料庫「所得稅法」第2・7・8條(2026-10-17 查證):於一課稅年度內在中華民國境內居留合計滿一百八十三天者。
- 全國法規資料庫「所得稅法」第71條(2026-10-17 查證):納稅義務人應於每年五月一日起至五月三十一日止,填具結算申報書。
- 全國法規資料庫「各類所得扣繳率標準」第3條(2026-10-17 查證):薪資按給付額扣取百分之十八。