台湾の会社名称の預査(予備審査)|保留は6か月・延長は1か月を1回、名称に使えない文字と「我が国の文字」の規定
設立前に名称と事業内容を預査。承認後の保留は6か月、延長は1か月を1回だけ。
台湾で会社を設立するとき、最初の手続きの1つが、経済部に会社の名称と事業内容を審査してもらう「預査」です。公司法第18条は、会社の名称と業務を、登記の前に先に申請して承認を得ること、一定の期間は保留されることを定めています。この記事では、公司法と、経済部の「公司名称及業務預査審核準則」(2018年11月8日修正)の条文にもとづいて、誰が申請できるか、保留の期間、名称のルールを整理します。規費は別稿で扱っています。
預査が必要な場面と申請者
準則第2条第1項は、会社の設立登記または変更登記の前に、申請人が申請表を備えて、経済部に預査を申請すると定めています。同条第2項により、インターネットでも申請できます。
申請人の資格は、同条第3項で次のとおりです。
| 場面 | 申請人 |
|---|---|
| 設立登記 | 将来の設立時の、股份有限公司の発起人。有限公司の株主。両合公司・無限公司の無限責任株主。法人が申請人のときは、代表者または将来指派する代表者の氏名を加える |
| 変更登記 | 現在の会社の代表者 |
| 外国公司 | 台湾内で指定した負責人、または将来の分公司の経理人 |
所営事業の登記を減らすだけで、準則第8条第2項の事情がない場合や、会社法による組織変更の場合は、預査が不要です(同条第4項)。
保留の期間
準則第3条第1項は、預査が承認された場合、承認の日から数えて6か月は保留されると定めています。期間の満了前に、延長を申請でき、延長は1か月で、1回に限られます。保留の期間内に会社の登記を申請しなければ、預査の承認は失効するため、再び申請が必要になります(同条第3項)。
業務の性質から長い準備期間が必要な場合などは、保留の期間を経済部が公告します(同条第2項)。
承認を得た後、公司法の登記の手続きは、別稿の会社登記の記事のとおりです。
会社名称の構成とルール
公司法第18条第1項は、会社の名称は「我が国の文字」を使い、他の会社または有限合夥の名称と同じにしてはならないと定めています。異なる業務の種類や、区別できる文字を名称に表示した2つの会社は、名称が同じではないとみなされます。
準則第6条は、会社の名称を次のように構成すると定めています。
- 特取名称(その会社固有の名前)と、組織の種類(股份有限公司など)で構成する。
- 地区名は、特取名称の前、または特取名称の後ろに隣接して置く(第2項)。
- 業務の種類を示す文字と、堂・記・行・号・社・企業・実業・産業・工業・商事・商業・事業など、営業組織や事業の性質を示す文字は、この順で、特取名称の後、組織の種類の前に置く。ただし、堂・記・行・号・社は、業務の種類を示す文字の前に置くこともできる(第3項)。
- 外国公司は、種類を標記し、名称の前に国籍を示して「商」の字を加える(第4項)。
会社の名称に表示できる業務の種類は、最大2種類です(第8条)。
第9条は、使えない文字を定めています。特取名称には、条文のいう「我国国名」を使えません。「台湾」という語そのものが含まれるとみなされるかは、本稿では確認していません。会社の名称全体には、次のような文字を使えません。
- 管理処、サービスセンター、協会、財団法人など、政府機関や公益団体と誤認させる文字。
- 有限合夥など、有限合夥に似た組織の文字。
- 関係企業、集団、連盟、連鎖など、企業の結合を示す文字。
- 専門職業人の業務範囲と関係があると誤認させる文字。
- 営利事業ではないと誤認させる文字。
- 目的事業主管機関が適当でないとした文字。
外国公司の名称が、本店の外国語の名称を中国語に訳したものである場合は、準則第6条第1項から第3項、第8条第1項、第9条第1項第2号の制限を受けません(第10条)。免除されるのは第6条第1項から第3項までなので、第4項の国籍の標記と「商」の字は、外国公司の名称にも必要です。たとえば日本の会社の分公司なら、名称の前に「日商」のように国籍を示す形になります(例は本稿の説明です)。
日本語の表記について
公司法第18条は、会社の名称に「我が国の文字」を使うと定めています。日本語の漢字や仮名がどのように扱われるかは、条文に書かれていません。日本の社名をそのまま使えるかどうかは、窓口の運用を確認する必要があります。
所営事業
公司法第18条第2項から第3項は、会社の所営事業は、許可を要する業務は定款に載せる必要があり、その他は制限されないこと、所営事業は中央主管機関が定める営業項目コード表に従って登記することを定めています。
手順
- 会社の名称の案(特取名称、業務の種類、組織の種類)を、複数用意する(1回の申請で書けるのは最大5社名まで。準則第2条第5項)。
- 使えない文字(国名、関係企業・集団などの語)が入っていないかを確認する。
- 申請人(発起人、株主など)を決め、経済部に預査を申請する。
- 承認を得たら、承認の日から6か月以内に、会社の設立登記を進める。
- 間に合わない場合は、満了前に1か月の延長を申請する(1回のみ)。
- 所営事業は、営業項目コード表に従って記載する。
注意点
- 延長は1か月を1回だけです。6か月を過ぎると、保留は終わります。
- 名称が他の会社と同じでなくても、使えない文字が含まれていれば承認されません。
- 預査の申請が却下されても、規費は返還されません。
- 名称の商標との関係は、本稿では扱いません。
よくある質問
預査の保留期間は何か月ですか。
承認の日から6か月です。延長は1か月を1回だけです(準則第3条)。
会社の名称に「グループ」と付けられますか。
準則第9条は、関係企業、集団、連盟、連鎖など、企業の結合を示す文字を使えないと定めています。
1つの会社の名称に、いくつ業務の種類を表示できますか。
最大2種類です(準則第8条)。
預査の申請は誰がしますか。
設立登記では、股份有限公司の発起人、有限公司の株主などです。外国公司は、台湾内で指定した負責人などです(準則第2条)。
出典
- 全國法規資料庫「公司名稱及業務預查審核準則」第2・3・6・8・9・10條(2026-10-17 查證):保留期間為六個月。
- 全國法規資料庫「公司法」第18條(2026-10-17 查證):公司名稱,應使用我國文字,且不得與他公司或有限合夥名稱相同。